静岡『角屋』おでんの黒さは店の歴史。濃厚な肴に濃厚なお茶割りを。

静岡『角屋』おでんの黒さは店の歴史。濃厚な肴に濃厚なお茶割りを。

2022年2月1日

静岡・駒形通の角にある店『角屋』。長く地元に親しまれてきたおでんと串モノの大衆酒場です。真っ黒になるまで浸かった静岡おでんや手羽串はあと引く美味しさで、静岡麦酒やお茶割りが進みます。

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静岡駅から徒歩15分、それでも飲みに行きたい店。

静岡市役所前から南西に一直線に伸びる緑地帯・青葉シンボルロード。その終端にある常磐公園は、イルミネーションや噴水があるロマンチックな場所です。この界隈は駅からやや離れているものの、古くから栄えてきたエリアなので老舗の飲食店が点在しています。駅前よりも落ち着いていて、通好みな店が多い印象です。

そうした一軒が、交差点の角にあるいぶし銀の店『角屋』です。

外観

レトロな店構えに背筋が伸びますが、家族連れの常連さんの姿もある地元密着のいい酒場。口開けから少しずつお客さんが集まってきます。

店は厨房を囲む大きなL字のカウンターと数卓の小上がりというつくり。カウンターはどの席からも厨房を含め店内をすべて見渡せるため、小学校の教室分くらいある空間はとても広く感じられます。

カウンターに入り込むように設置された大型のおでん鍋。そこから立ち上る湯気はカツオと昆布出汁の優しい香りをまとって店の隅々まで充満していきます。

静岡のおでんは継ぎ足し続けることや、黒はんぺんなどの成分によって黒さが増していくと言われています。角屋の真っ黒いおでん出汁は店の歴史をあらわしているようです。

乾杯は「サッポロラガービール」大瓶で

切り盛りされているご夫婦のペースにあわせ、そっと瓶ビールをお願いしました。銘柄はサッポロラガー、静岡県焼津で製造されたビールです。ビヤタンをトクトクと満たして、それでは乾杯。

品書き

お酒

サッポロ系の酒類が揃います。樽生ビールはサッポロビール静岡工場で製造する静岡県内限定の静岡麦酒:550円、瓶ビールは大瓶で、サッポロ黒ラベル:715円、サッポロラガービール:650円。

ハイボールはデュワーズ:400円、酎ハイ類はパンチレモンサワー:400円、ホッピー(白/黒):400円など。静岡といえば静岡割りとまで呼ばれているお茶割りですが、こちらでも人気メニューの様子。

おつまみ

串焼き、串打ちしたフライ、そしておでん。静岡おでんは串打ちされていますので、角屋はそのほとんどが串モノになります。

串焼きは、もつ:130円、シビレ:190円、かしら:190円、ピーマン肉詰め:200円など。

フライは、串カツ:173円、れんこん:150円、ふわ:110円、はんぺん:110円など。

おでんは、もつ:130円、牛すじ:190円、たまご:110円、はんぺん(黒):110円など。

真っ黒いおでんがビールを進ませる

静岡おでん 玉子、糸こん、たけのこ(110円~130円)

濃い口醤油を使用し、さらにこれだけ真っ黒になっていると、味はかなりしょっぱいのでは?と思うかもしれません。これが驚くほどに優しい味なのです。ただただ濃厚な旨味をゆっくりと楽しみます。

また、静岡おでんはその黒さだけでなく、牛すじを入れることで脂とコクが鍋全体に行き渡ることも特徴です。さらに鰹節や鯖節、青のりなどを混ぜた店それぞれのだし粉をかけて出来上がり。見た目も味も、あと引く美味しさです。

お茶割り(400円)

静岡おでんには、やはりこれ。静岡茶をつかったお茶割りでしょう。大手の割材ではなく、店それぞれで用意していることが多く、ベースの焼酎は甲類や麦焼酎などさまざま。角屋のお茶割りは焼酎もお茶もかなり濃く、一杯でかなり満足します。

わさび茎漬け(300円)

ちょっとした箸休めにも静岡要素が嬉しいですね。わずかにツンとくる茎山葵。お茶割りと相性ぴったりです。

手羽先(1串190円)

焼台は女将さんの担当。皮の脂が滴り、熱せられて燻し返すように焼かれたパリパリの手羽先です。シンプルな塩味ですが、まるて素揚げのような食感と肉厚の手羽から溢れる肉汁は、おでんに並ぶ魅力を感じる一品です。

静岡ならてはの大衆郷土料理が揃う『角屋』。カウンターで一人、ちょっぴり背筋を伸ばして地元の人と一緒に土地の味を楽しむ、典型的な心地よい大衆酒場です。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名角屋
住所静岡県静岡市葵区駒形通1-1-17
営業時間17:00~21:30(日は16:30~20:30・月火定休)