東京駅から新幹線で37分。伊豆国の一宮として栄え三島大明神に見守られる三島は、大衆酒場好きも注目したい街です。
東海道五十三次の三島宿としての歴史に加え、富士山麓の湧水が育てた食文化は、県庁所在地・静岡市にも引けを取らないレベルです。
東京からふらっと日帰り旅行で飲みに行くにも最適で、軽い気持ちで取材にやってきました。三島といえば鰻ですが、大衆酒場ならば「唐揚げ」がソウルフード。唐揚げ専門で半世紀やっているお店もあるのですからホンモノです。
三島もよくある地方都市のようにJR駅周辺から少し離れた場所に繁華街があります。三島は本町と呼ばれるエリアでもちろん旧東海道沿いに広がっています。
そんな本町で地元の人に親しまれてきた酒場が「はし膳」。17時のオープンから続々と常連さんが集まってきます。
「から揚げ」が文字通り看板料理。
ご夫婦で営むカウンターと小上がりのこじんまりとしたお店で、昔ながらの居酒屋のぬくもりたっぷりの空間が広がります。
テーブルには今日の大皿料理がずらりと並びます。家庭料理のたきものが中心ですが、板前修業を続けてきたご主人がつくる日替わり料理も評判です。
飲みものは生ビールがキリン一番搾り、瓶ビールがキリンラガー(RL)、酎ハイはリーズナブルで300円です。
夏でも冬でも、居酒屋の一杯目は昔からビールが一番。横浜工場づくりのキリンラガーで乾杯!
品書きの一番はじめが「唐揚げ」から始まるはし膳。天ぷら、カルパッチョにうなぎ肝焼きとなかなかのレパートリー。
これに加え、あじ刺身(500円)、タイ刺身(500円)、地だこ(400円)、底魚でんでんやメゴチの天ぷら(400円)など駿河湾の魚介類が日替わりで加わります。
まずは目の前の大皿から茹でイカをもらいましょう。ちゃちゃっと手際よく動かれるご主人。沼津の市場から仕入れる海鮮類はどれも美味しいと常連さんの太鼓判。
そうして、やってまいりました。骨付きのからあげ!半身ですがももとむねの2つに別れています。小骨まで食べられるカリカリの仕上がりで、身はとってもジューシー。お店ごとに香辛料が異なるもののどれもビールや酎ハイと相性抜群です。
一度食べたらやみつき。記事に起こしていたらまた食べたくなってきました。37分でいける誘惑がすごい。
ビールのあとは酎ハイで。プレーンで甘くなくすっきり。そしてまた手が伸びる唐揚げ。持って帰ろうか悩みながら結局完食してしまいました。
さて、次は富士山麓の水を楽しむ日本酒で。花の舞と開運が地元のお酒。燗酒は2合で600円、生貯蔵の飲みきりでも800円とこれもまた良心価格。
静岡県の東端駿河三島から静岡県の西端・遠江浜松のお酒を選んでみました。花の舞は1864年創業の老舗蔵。本醸造生貯蔵は静岡県産米を使いまるく優しい味です。
軽いおつまみをもらって、楽しいカウンターのおしゃべりを。女将さんはとても会話上手で常連さんも交えて三島話に花が咲きます。
楽しい時間をありがとうございます。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
はし膳
055-973-1856
静岡県三島市本町5-4
17:00~22:00(日月定休)
予算2,600円