浅間通りで70年、商店街にある懐かしい雰囲気の「おがわ」は、静岡名物の黒いおでんをおつまみ日中から生ビールで乾杯できる素敵な昼飲みスポットです。
静岡おでんをご存知でしょうか。「しぞ~かおでん」と呼んでいます。
東京のおでんや関西の関東煮とは大きく異る静岡のおでんの特徴は、一言で表せば「黒い」です。大正時代、屋台を中心に広まったという静岡おでん。牛すじなどで出汁をとった醤油ベースの黒いつゆに、青魚をアラごとすりつぶした黒いはんぺんが浮かび、これに鰹だし粉と青のりをかけて食べるというもの。港町が多い静岡らしい郷土料理です。
おでんをだすお店は専門店や居酒屋に限らず、食堂やおにぎり店でも通年で取り扱いがあり、静岡駅周辺だけでも約70店も静岡おでんを提供するお店があります。
その中でも、とくに有名なお店が静岡浅間神社の参道にある「おがわ」です。
静岡浅間神社の参道を歩く
静岡城を横目に、おでんを肴にするべく…ではなく、静岡浅間神社へご挨拶に向かいます。
平安時代から駿河国の総社とされた神社。静岡の街の発展と変化を見守ってきた場所です。
参道の浅間通りには、大きな鳥居が建てられています。おでんの「おがわ」はこのすぐ近くです。
懐かしい雰囲気の商店街を歩いていると、まるで物語の中に登場しそうな、レトロな佇まいの「おがわ」が見えてきます。
営業開始は朝10時。ホテルをチェックアウトして遅めの朝食に向かうのにも丁度いいです。
飲み屋や食堂というよりは、かき氷などをだす駄菓子屋に近い雰囲気です。店先にはおでん鍋かあり、だしの香りが湯気とともに店先を包んでいます。
国民的アニメや多くのテレビ番組に登場していることもあり、店内には作者や演者のサインが所狭しと掛けられています。
個性的な具材と豊富なお酒の品揃え
人気はもちろん黒はんぺん(90円)。名物は牛すじおでんです。静岡おでんはどれも串に刺さっているのが特徴です。
「おがわ」は郷土料理の店、ご当地グルメとして有名ですが、私はここでそっと伝えておきたいことがあります。
「おがわは昼飲みできる酒場です」
夜は営業しないにも関わらず、生ビールは2種類ありますし、お燗酒も用意されています。まさかのホッピーまで揃っています。
静岡の定番酎ハイ「静岡割り」(500円)は、ここでもベースは麦焼酎。甘さが増して優しい味が楽しめます。
キリンもサッポロも大好きですが、地域限定に惹かれてしまい、今回は静岡・焼津でつくられる静岡県内限定ビールの「静岡麦酒(ばくしゅ)」(550円)の樽生をいただきました。
それでは乾杯。
砂糖やみりんを使用しない、創業時からの味
牛すじは具材でありながら、出汁でもあり、70年間継ぎ足し続けてきた牛すじの味がだしに深いコクをうみだしています。
茶色いので醤油味が強いかと思いますが、むしろ逆で大変優しい味です。砂糖やみりんで味をつくるのではなく、具材そのものが長年生み出してきた「ウマミ」が最大の調味料になっています。
家族連れやご年配の方もふらっと立ち寄り、おもいおもいに過ごしていく参道のお茶屋さんの雰囲気に心が癒やされます。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | おがわ |
住所 | 静岡県静岡市葵区馬場町38 |
営業時間 | 営業時間 10:00~18:30(ネタがなくなり次第閉店) 日曜営業 定休日 水曜、祝日の場合は営業(GW・盆時期・年末年始は営業) |
開業年 | 1948年 |