浜松「八百徳(駅南店)」 創業111年。駅徒歩1分、浜松の老舗うなぎ店で枡酒を飲む。

浜松「八百徳(駅南店)」 創業111年。駅徒歩1分、浜松の老舗うなぎ店で枡酒を飲む。

蕎麦、天ぷら、寿司、そして鰻。和食の専門店はいずれも飲み屋利用ができるお店が多いので、お昼飲みに重宝する存在です。

養殖だけでなく食文化としても鰻が根付く浜松に来たならば、やはり鰻を肴にして日本酒を一献楽しみたいもの。明治期創業の「八百徳」は、浜松駅すぐの一軒。営業時間は11時から20時まで、午後も通しで暖簾がでています。汽車旅ならば浜松駅で寄り道をして、老舗の味を楽しんでみてはいかがでしょう。(時節柄、状況に応じて)

 

(写真:浜松駅 画像奥が浜名湖方面)

全国でも珍しい鰻専門の料飲店組合「浜松うなぎ料理専門店振興会」によると、浜松駅周辺で鰻が盛んに食べられるようになったのは、明治20年代になってからのこと。浜名湖の最寄り駅「新居駅」から、開通したばかりの東海道本線に載せて天然鰻が運ばれてきたことがはじまり。

 

八百徳は駅の北口に本店、南口に「駅南店」があります。内容に大きな差はありませんが、南口のほうが飲み屋の雰囲気があり、酒場好きならこちらがおすすめ。

 

地元で知らない人はいないであろう定番のお店。場所柄、観光客が多いように思えますが、意外と近隣のオフィスワーカーが多く、長年通っているようなベテランの常連さんの姿がみられます。そういう老舗は、いいお店。

 

ランチのピークをずらして、時刻は13時過ぎ。少し腰を落ち着けて、さぁビール(樽生アサヒスーパードライ・600円以下税別)で乾杯。

 

生はアサヒ、瓶ビール(600円)はサッポロ黒ラベル。日本酒は花の舞(浜松市/花の舞酒造)。

一品は定番の白焼き、肝焼き、酢の物など。

 

お酒も食事も、品数はとても洗練されています。ですがこれで十二分に飲めるというもの。鰻を肴に枡で飲む地酒「花の舞」原酒、浜松にきた甲斐があります。

 

名物はお櫃鰻茶漬け(3,050円・取材時)。名古屋のひつまぶしのようですが、名古屋の一般的な鰻は関西風の「地焼き」。浜松の「八百徳」は関東風の蒸してから焼いたもの。東西の文化が交わる静岡県らしい名物料理です。

 

タレで味がついたご飯に鰻をのせてそのまま食べれば一般的なうな丼風。タレは比較的甘めで優しい味。鰻の旨味が引き立てられていて、これはこれでビールを誘う味です。

 

昆布出汁のお茶をかけ、鰻茶漬け。鰻がふわふわなのでほぐれてさらさらになります。

 

何度もお伺いしているので、こちらは別日(2019年土用の丑の日)に頂いたうな重。鰻一匹をつかったもので、今回はおつまみにするために「ご飯は薄めに」とお願いしました。背開き、蒸焼き、ふっくらと仕上がった鰻には日本酒が欲しくなります。

 

冷原酒マス(660円)。

すっと香る米と枡の香り。フルーティーな香りに対して甘さは控えめ、まろやかできれいな余韻がじんわりと残ります。そこに鰻の旨味があわされば、それはもう幸せです。

列車の乗り継ぎに1時間もあれば、さっと立ち寄り小一時間のお昼酒が楽しめる「八百徳」。地元で長年愛されている味に、土地のお酒をあわせる楽しさがここにはあります。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

うなぎ八百徳駅南店
053-452-5755
静岡県浜松市中区砂山町325-7
11:00~20:00(月定休・月1回火休)
予算3,000円