東京から日帰りできる観光地といえば、箱根や日光、高尾山などよりどりみどり。ふと一日空いたら、どこか普段と違う街にぶらりでかけたくなりますよね。
そんな思いから、「今日は美味しい魚で一献傾けたい」と、東京駅を発車するJR東海道線の特急踊り子号に乗って伊豆を目指すことにしました。
南伊豆の温泉町・下田の駅前にある昼から通しで営業する食堂「魚河岸」をが目的です。
東京から終点の伊豆急下田駅までは2時間45分ほど。少し距離はありますが、小田原を過ぎたあたりから車窓には相模湾が広がり、風光明媚な熱海・伊東の眺めを缶ビール片手に楽しんでいればあっという間です。
終点の伊豆急下田に到着です。古くからの行楽地として栄えた下田の玄関口は、休暇を過ごす和やかなムードに包まれています。
駅前広場では巨大な黒船の模型が迎えてくれます。ご存知の通り、歴史の教科書にあるペリー来航(1854年)の地がここ下田です。
東京からさほど離れていないのに、南国のような気候。喉も渇くので、すぐに目的の食堂「魚河岸」へ。カウンターと小上がりを配した典型的な大衆酒場のつくりで、ご家族で切り盛りされている街の食事と酒の店です。
地元のお父さんの姿もありますが、オンシーズンの昼食時ともなれば観光客でいっぱいになるのだそう。
では駆け込み一杯のビールで乾杯!
伊豆の地魚を語る上で外せない存在のキンメをはじめ、近海の魚を豊富にそろえています。
ビールはキリン一番搾り(中瓶700円)、地元の方は焼酎や日本酒をメインにされています。富士宮の富士高砂酒造がつくる高砂があるのが嬉しいですね。その他、地元静岡のお酒・花の舞などを飲み比べできるセットも楽しそう。
定食を食べている人が多いですが、お昼から通しで営業していて、単品も原則注文可能です。昼食時を過ぎて落ち着いた時間にお酒と刺身でちびりというのも楽しみ方です。
今日はキンメのいいものが入っているとのことでしたので、金目鯛定食(2,200円)をご飯なしにして、おつまみセットとしてお願いしました。
観光地だから…と甘く見てはいけません。なんと大皿いっぱいの金目鯛一尾まるごと煮付け、そして肉厚の金目鯛刺身が登場です。
写真付きのメニューの場合、写真よりもがっかり…なんてことはしばしばですが、ここはいい方向で裏切られました。大きく肉厚でぽくぽくのキンメ。ぷっくり肥えていて身のひとつひとつがぷりんとしています。
刺身も立派です。もっちもち、皮は花のような香りで、身は醤油に脂の輪を広げるほどねっとり脂がのっています。それでいてしつこくなく、爽やかな余韻は日本酒をぐんと誘います。
冷タンになみなみ注がれた冷たいお酒。ボリューム満点の金目鯛づくしにお酒を飲まずに過ごせるわけもなく、お昼からたっぷり楽しませていただきました。
オンシーズンの昼食時は観光客のランチでいっぱいになりますが、地元の方も贔屓にされていらっしゃる方が多いという魚河岸。この日も地元のお父さんが早めの一献を楽しませていました。
みなさんも、伊豆は温泉や海水浴だけではなく、地魚でお昼酒いかがでしょう。ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
魚河岸
0558-27-1552
静岡県下田市東本郷1-1-12
11:30~20:30(不定休・火が休みのことが多い)
予算3,400円