西荻窪『田毎』3代目による鶏もつ煮とおでん。錫チロリの燗酒とともに

西荻窪『田毎』3代目による鶏もつ煮とおでん。錫チロリの燗酒とともに

2022年1月30日

まもなく創業から半世紀。三代目が守る老舗暖簾『田毎』。西荻窪で人気のおでん居酒屋です。錫(すず)の酒たんぽを供される日本酒に、深い味わいのおでんがよく合います。山梨かつ煮や甲府とりもつ煮といった中央線繋がりのご当地料理も名物です。

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西荻南の商店街を歩く

隣町は全国的な知名度を誇る吉祥寺。華やかな吉祥寺があったからこそ、西荻窪には昔の中央線沿線の風情が残ってきたと思います。一方通行が多い駅前通りに、戦後の露店由来の南口飲食店街、戸建てがびっしりと立ち並ぶ中を蛇行した善福寺川が流れる街です。

アンティークシップや古本の街と言われていますが、西荻窪は飲み歩きを楽しむ街としてもとても魅力があります。

目指す田毎はやや駅から離れており、JR西荻窪駅の南口から住宅街を10分ほど歩きます。商店が点在しており、中には新進気鋭のもつ焼き店やオーセンティックバーもあり、地元の人達の隠れ家として親しまれています。

昭和51年創業、カウンターだけのおでん屋「田毎」

外観

レトロな建物にシンプルなファサード、赤ちょうちんがぼんやり灯る店構え。昔ながらの落ち着いた居酒屋の佇まいです。

内観

中央に店名の由来でもある田の字形のおでん鍋が鎮座し、それを囲むようにL字のカウンターを配したつくり。テーブルや小上がりはありません。三代目になる大将がお一人で切り盛りされています。店の大きさはこじんまりとまとまっていて、これがとても心地良いです。

乾杯は「キリンラガー」大瓶で

樽生ビールはキリン一番搾り。瓶はキリンラガーが用意されています。今日は瓶ビールをちびちび飲みながらおでんをつまみたい気分。それでは乾杯。

品書き

お酒

樽生ビールキリン一番搾り):550円、瓶ビールキリンラガー)大瓶:680円、ギネス:700円

日本酒は、灘の菊正宗 本醸造 生酛辛口:550円、由利本荘の天寿 純米:660円、二本松の大七 純米生酛:750円、富士川町の春鶯囀(しゅんのうてん)純米:780円など、大将のこだわりが感じられる顔ぶれです。

おでん

玉子こんにゃくちくわぶなど:150円、とうふ半ぺんがんもどきなど:200円、ふくろつみれさつま揚げ:250円

料理

甲府とりもつ煮:610円、山梨煮かつ:830円、ピーマン明太子:660円、陳麻婆豆腐:790円など。

温かいお酒とともに、渋いカウンターに溶け込む幸せ

甲府とりもつ煮(610円)

鶏モツの砂肝レバハツキンカンを、ししとうと一緒に砂糖、醤油などで甘く煮たとりもつ煮。キンカンが入っているのが甲府の特徴です。甘い汁で閉じ込められたモツは噛むほど旨味が溢れ、これがキリン特有の苦味ととても良く合います。

すじ(200円)

さて、少しお腹を満たしたところで、そろそろゆっくりとおでんを摘もうかと思います。まずはすじから。他のおでんの具とは別に盛り付けられます。下ごしらえがとても良いようで、柔らかくとろっとした食感、濃厚な旨味に思わずうなずいてしまいます。

菊正宗(550円)

冷たいものには冷たいお酒。温かいものにはお燗酒。おでんと一緒に菊正宗の上燗をお願いしました。日向燗、人肌燗、ぬる燗、上燗、熱燗、とびきり燗と、お燗の要望に柔軟に応えてくれます。年季の入った酒たんぽ(チロリ)で提供されます。菊正宗は御存知の通り大手の蔵ですが、お燗をつけることで伸びが感じられる美味しいお酒だと思います。

ちくわぶ・さつまあげ(150円~250円)

染み具合が絶妙な、ねっとりとしたちくわぶは素朴な美味しさ。常に継ぎ足している昆布出汁がとてもいい塩梅です。

テレビをBGMに静かな時間

店の奥に置かれたテレビから流れるドキュメンタリー番組をBGMに、西荻の住宅街でゆっくりと時の流れを楽しみました。どこまでもアナログな空間、いぶし銀のカウンターに癒やされます。

ベッドタウンなので営業開始はやや遅め。女性のお一人様や夫婦で飲みに来る人も多いようです。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名おでん田毎
住所東京都杉並区西荻南2-6-14
営業時間営業時間
18:00~24:00
定休日
日曜日
開業年1976年