浜田山「和田屋」 家族経営のほっこり飲み屋。鮮魚と手作り料理を満喫

浜田山「和田屋」 家族経営のほっこり飲み屋。鮮魚と手作り料理を満喫

2019年9月17日

都内各地に存在する「和田屋」。港区にかつてあった大正時代創業の食堂「和田屋」からの暖簾分けとききます。どのお店も庶民的な雰囲気で気取らず飲めて、しかも美味しく値段も手頃と大好きな暖簾です。

京王井の頭線の浜田山駅前にある「和田屋」もまたとてもいい飲み屋です。地元の方で毎夜満席になる賑わい。親子二世代・三世代で飲みに来る光景も見られる、地域に根付いた一軒です。

浜田山駅は急行が止まりません。幹線道路からも離れているので、ちょっと昔の私鉄沿線の町並みが残り、彩り豊かで風情があります。こういう町で長く続く大衆飲み屋があるのはとても素晴らしいことです。

JR阿佐ヶ谷駅から杉並区コミュニティバス(路線)すぎ丸・けやき線が浜田山駅まで結んでいます。小さなバスに乗って善福寺川のほとりを散策し、ゴールに和田屋の縄のれんなんていうコースはいかがでしょう。

やきとん「和田屋」。創業から48年を迎えた老舗です。昭和ムード漂う引き戸の向こう側から、早い時間にも関わらず飲み屋の熱気が伝わってきます。

いらっしゃい!笑顔で迎えてくれる女将さんと、入口近くの板場で店内を見渡すご主人。家族経営のお店で、阿吽の呼吸で次々入る注文を手際よくこなしていらっしゃいます。

長いカウンターとテーブル席の典型的な酒場の配置。メニューは魚中心で、分類するとすれば大衆割烹です。お客さんが席を詰めてくださり、空いた1席に、両脇の方に軽く会釈をしつつ着席。さぁ、ビールを頼みましょう。

樽生ビールはサッポロ黒ラベル。中生と大生(850円)があるので、ここは思い切って大きいのを。

片手で持ち上げられる限界の重さ。どっしり入って嬉しい800mlジョッキ。さらに、ジョッキのデザインは数世代前のもので、まだサッポロビールの星が赤い頃のもの。歴史あるお店で、変わらぬビール。それでは乾杯!

料理は入り口に掲げられた黒板から確認。定番は店内随所に短冊で書かれていますので、肴の組み立てをするのはあっちこっちを見回して忙しい。でも、この瞬間のワクワクがたまらないのです。

マグロ、イカ、北海酢だこ、サンマ、ぶりといった魚介類。ガツ刺し、肉じゃが、鳥カツ、そしてやきとん各種(1本から1串100円)と、魚と肉、どっちで進めるか悩ましいところ。

人気の「いかそうめん」(450円)は逸品。すぐに出てきて、スルスルとつまめばいい気分。

うずら卵とめんつゆをまとって輝きます。一人でつまむのに丁度いい量で、ビールや日本酒を誘います。

おひたし(300円)は、その日の仕入れ次第でさまざま。女将さんが手際よく盛り付けてくれます。派手な料理も好きですが、SNS映えのない優しい料理が嬉しいです。

春巻(400円)はロングセラーの人気もの。具だくさんの特製で、もちろんオーダーを受けてから上げてくれるので、熱々でパリッパリ。

醤油もよいけれどソースも合うよ、と教えてくれた隣のお客さん。お腹にたまりますが、飲み屋で手作りのシュウマイや春巻などがあるとついつい頼んじゃいます。

日本史湯は菊正宗(兵庫県・灘)と仁勇(千葉県・神崎)、ビールはサッポロ、酎ハイはハイサワー、ホッピーも。昔から続く安定感あるお酒と、常連さんの胃袋を掴む手作り料理たち。

平均年齢高めの落ち着いた感じのお客さんと、あったかい接客のご夫婦がかもしだす優しい空間です。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

和田屋
03-3329-3917
東京都杉並区浜田山2-24-8
17:00~24:00(水定休)
予算2,000円