伊丹『大阪王伊丹店』メニューは餃子と赤星のみ!9席で2400個売る店

伊丹『大阪王伊丹店』メニューは餃子と赤星のみ!9席で2400個売る店

2021年12月21日

着席した途端「ビール飲みますか?」と聞かれる店。なぜなら、餃子とビールしかなく、入店とともに餃子の準備はすでに始まっているからです。ミシュランガイドにも掲載された、9席しか無い小さな餃子店『大阪王伊丹店』を紹介します。

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なぜ、伊丹で餃子を食べるのか

兵庫県伊丹市は、大阪府に接するベッドタウンです。阪急伊丹駅とJR福知山線 伊丹駅が挟み込むようなかたちで飲食店街が広がっています。

市の名前の通り、伊丹空港から近く、大阪国際空港(伊丹空港)から伊丹駅までは市営バスで30分・210円。午前の飛行機で大阪・伊丹についたなら、まずは伊丹駅前で腹ごしらえ(お昼酒)というのはいかがでしょう。

ここ伊丹には、ミシュランガイド兵庫2016に紹介された小さな街の餃子屋があります。ただの大衆中華(街中華)とあなどるなかれ、なんとメニューは餃子とビールの2種類しかありません。

伊丹名物 大阪王というキャッチフレーズ。兵庫県・伊丹の名物で「”大阪”王」、細かなことは気にしません。本店は大阪京橋にあり、創業は1969年。大阪のローカルチェーンで、大阪や兵庫で現在11店舗を展開しています。

2019年8月よりビヤホールでおなじみ、株式会社サッポロライオン(以下SL社)の傘下となり、サッポログループの飲食店となりました。そのため、大阪王の餃子のノウハウを活かした餃子を、東京でもSL社が運営するする『銀座ライオン』等で食べることができます。

とはいえ、やはり本場の店で食べなくては!ということで、羽田から飛行機で伊丹へ一直線。正午の大阪王伊丹店へやってきました。

いざ、店内へ

商店街に向いた角に、レトロな赤いファサード。地元の人が買いに来る地域密着の店。正面は持ち帰り専用で、店内飲食は脇のサッシ扉から入ります。

9席だけのカウンター

関西の狭小物件の居酒屋に多い、タイル張りのレトロな雰囲気。ミシュラン掲載、大手酒類メーカー系列といっても、ここは昔ながらの餃子店。この内装がむしろ気分を盛り上げてくれるというもの。ちなみに、本店はコース料理もある大箱の中華店で全く異なります。

品書き

品書きといっても、餃子と瓶ビールしかないため、価格早見表しかありません。瓶ビール大(サッポロラガー)が580円。餃子は一人前280円。餃子は2人前からの注文が必要で、多くの人は大瓶1本と餃子2人前で1,140円を支払っていきます。

9席しかない店ですが、価格早見表にはビール10本、餃子12人前で9,160円まで記載があります。たくさん飲んでも大丈夫ということでしょう。※お酒は適量で。

店に入り、席に着くかつかないか…というタイミングで、「ビール飲みますか?」と聞かれます。「はい」と答えればマッハの速さで栓が抜かれ、目の前にやってきます。

乾杯はサッポロラガー大瓶で

続けて入ってくる夫婦やテイクアウトしていくお客さん、餃子の焼ける音。BGMのない空間ですが、この空気感は心地いいです。ビヤタンをトクトクと満たし、レトロなカウンターに似合う赤星を置いたら、では乾杯。

一日2,400個以上をつくり続ける

調理風景

店員さんは、包み担当と、焼き担当のコンビ体制。店は広くなく、厨房側は2名でいっぱいです。大阪・鶴見のセントラルキッチン(自社工場)でつくるとう餡も、包むのはお店の担当。その数、伊丹店だけで一日2,400個以上だといいます。飲んでいる間も横では次々と番重(ばんじゅう)が満たされていきます。

2つの巨大な餃子専用の蓋付き鉄板は常に稼働し続けています。店内で食べる人もいますが、テイクアウトも多いので注文を受ける前から調理を始めていても、ちょうどよく売れていくようです。

使い込んだ黒い鉄板に、餃子を6個1組で6組並べたと思えば、すぐさま水を加えて鉄板は地獄谷状態に。

すかさず蓋をおろし水蒸気を閉じ込め、蒸し焼きのように仕上げていきます。

待つこと1分ほどでしょうか。蓋を開いたら、目にも留まらぬ速さで盛り付けて、はい、完成。

お客さん側は、その様子を眺めながらビールをぐっと一口。職人技をみながら飲むビールは格別です。

焼き上る前に準備しておきたいのは、餃子のタレとラー油のセット。ラー油は、大きなスプーンでぐっと底から持ち上げるようにすると、食べるラー油のような粘度のある唐辛子がでてきます。

餃子&ビール、間違いない組み合わせ!

サッポロラガーと餃子2人前

絵に描いたような眺め。カウンターに揃うギョーザとダイビン。ご飯もないお店で、このペアを楽しむための空間です。ビールを飲まない人もいらっしゃいますが、2つの相乗効果あってこその魅力がここにあります。

パリパリ、ときどきザクザクとした食感のきつね色の焼き面。ハリがあり、ほんのり透けた皮から肉や野菜の汁が見えています。

具は5割がキャベツ。風味をしっかり感じる大きくカットされた生姜、ニオイ控えめな僅かな分量のニンニク、そして豚肉。たぷんとした餃子は、2人前でボリュームがありますがそれほど重たくはなく、瓶ビールと一緒に完食は確実でしょう。

新幹線で大阪へ行くことが多く、これまで伊丹で餃子を食べてこなかったことが悔やまれる美味しさ。クセになりました。次回も、大阪へ向かうときは餃子のために飛行機を選びたくなるほどです。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名大阪王 伊丹店
住所兵庫県伊丹市中央1丁目9-16
営業時間11:00~21:00(基本無休)
開業年1969年