駅は立派になっても、駅前には昭和の私鉄沿線らしい佇まいが残る平和島。細い商店街は個人店が多く、懐かしい雰囲気の居酒屋が点在しています。
商店街の一軒に、京都のお酒「富翁」の文字入り電照看板に明かりが灯る。時刻は16時、ひと足お先に飲もうという人が吸い込まれていく酒場は「卜伝」(ぼくでん)です。
平和島の個人店で宴会といえばココ
創業から37年になる家族経営の店で、フロアを女将さんが、厨房は女将さんの息子さんが担当しています。「いらっしゃい」、優しい笑顔に迎えらると、思わず張り詰めていた気持ちがふわっと緩みます。
流通センターなどで働く人たちが集った、賑わいある宴会処だった場所。二階はそうした用途に対応し席数80もあるお座敷が広がっています。
いまは1階のテーブル席で一人飲みや、夫婦で夕食がわりに一献楽しむ姿がみられます。
ビールは大森のアサヒ、肴は故郷のドテ煮込み
近くにあるイトーヨーカドー大森店の場所には、かつてアサヒビールの工場がありました。そのため大森から平和島にかけて老舗の酒場では非常にアサヒ率が高く、卜伝でも樽生はスーパードライ(中390円・以下税別)を繋ぎ、エクストラコールドも設置されています。
瓶(大びん600円)では、アサヒのほかに、キリンクラシックラガー(CL)、サッポロラガー(赤星)も用意。スーパードライと悩んだものの、今日はなんとなく赤星気分。では乾杯。
品書き
ホッピー(セット510円)は白・黒と取り扱いあり。酎ハイ各種は320円と記載されていますが、店内のポップにあるように、緑茶ハイとウーロンハイは中ジョッキで199円、大ジョッキでも299円と、驚きのサービス価格。
さらに19時までは、レモンサワーとハイボールも一杯195円で提供されます。
日本酒は看板の通り、伏見の富翁(2合550円)。
料理は店内の短冊とホワイトボードを要チェック。品揃えは昔ながらのまんべんなく揃えた大衆酒場といった内容です。
ですが、実は名物料理はどて煮と馬刺し。そして、愛知出身の女将さんがつくる赤味噌仕立ての牛すじ煮込みなど、名古屋風「どて盛り合わせ」が評判です。
直近では客数が不安定なため仕込みを休止していましたが、2021年1月30日(土)にテレビで紹介される予定で、それから復活を考えているとのこと。
常連さんがの評判で続いてきた料理
ほどよくお手頃、お刺身は二点盛りで499円。ホタテはみずみずしく歯ごたえもある鮮度の良いもの。しめ鯖も厚切りでものがよい印象です。
名物料理はニラ玉(380円)。旨味がしっかり効いた懐かしい味、食べごたえもあって素朴ながらビールを誘う一品です。
お茶割り大は299円。
大ジョッキが安いならば、悩むことなく頼みたい(※適正飲酒を心がけながら)。
お茶は自家製の濁りのあるもの。焼酎の割合はとても優しい塩梅で、もし濃いめにするならば+100円で注文を受けてくれます。
アサヒのストレートジョッキの大。この「飲んでる!!」ってインパクト感じるフォルムが好きです。
女将さんのおすすめ、創業時から続くメニューで「常連さんが美味しいって言うからずっと続いてきた」と照れながらだしてくれた、納豆いなり包揚(360円)。シンプルだけどこういうのが美味しいのです。
夕暮れに照らされた平和島の賑やかな商店街を扉越しに感じつつ、ほっと一息、落ち着く酒場時間でした。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 卜伝 |
住所 | 東京都大田区大森北6-27-1 |
営業時間 | 営業時間 [月~金] 16:00~23:30(L.O.23:00) [土] 15:00~24:00(L.O.23:30) 営業時間は祝祭日で変更する場合があります。 定休日 基本日曜日、不定期休みあり。日、月連休の場合は月曜休み |
開業年 | 1983年 |
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