雑色『よし成』京急線名酒場の1つ。江戸前含む刺身盛りと50品の地酒

雑色『よし成』京急線名酒場の1つ。江戸前含む刺身盛りと50品の地酒

2022年8月10日

「寿司屋に負けない美味しい刺身を揃えた名店が雑色にある」、そう地元の人から評されてきた『活魚料理よし成』。以前のいぶし銀の店舗は建て替えによって近代的になりました。ずば抜けて美味しい魚料理の数々に豊富な市日本酒の品揃えに、圧倒されること間違いない酒場です。

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京急沿線はローカルな駅だっておもしろい!

常日頃から感じていることですが、京急沿線は酒場好きにとって魅力に感じる街が非常に多いです。どの街にも個性があり、その地で何十年と親しまれてきた酒場がのれんを掲げています。優等列車が通過するローカルな駅前だってそうです。むしろ、より濃厚で地域に密着した名店が存在します。

品川から普通電車で約20分。大田区の雑色(ぞうしき)駅周辺もそのひとつです。雑色は近年開発された街ではなく、東海道筋として江戸時代以前から人の往来が盛んだった地域。そんな歴史も現代の街の賑わいに影響しているように思えます。

駅前から東西へ伸びる昔ながらの人情漂う商店街は、大勢の人々が行き交いとても賑やかです。活気のある商店街では、家族経営の食堂や中華、そして大衆酒場も元気いっぱいです。

今回ご紹介する『よし成』は、そんな元気な雑色で「魚がうまい店」と評判の大衆酒場です。

店の歴史

細い二車線道路を車線幅いっぱいに路線バスが行き交う三軒通り沿いに店はあります。雑色の海鮮居酒屋で研鑽を積んだ大将が、1988年に独立して開いた酒場です。

大将は開業当時から毎朝築地(現在は豊洲)へ仕入れに行き、天然モノにこだわった鮮魚を仕入れては、上等な魚を酒場価格で提供し続けてきました。以前は木造でいかにも酒場らしいカウンターと小上がりの店舗でしたが、2019年より建て替えを行い、2021年に新装開店となったのでした。

内観

お祭り好きの大将らしい提灯飾りなどがアクセントとなっている店内。新築なので明るくバリアフリーになっているものの、やはり酒場らしい適度なゴチャゴチャ感があって、それがむしろ落ち着きます。

品書き

定番のお酒

樽生ビールはサッポロ黒生ビール黒ラベル小:400円、中:550円、大:850円。

瓶ビールは、アサヒスーパードライキリンラガーサッポロラガー大瓶:各690円と、キリンハートランド中瓶:590円。

酎ハイ類は、レモンサワーお茶割りバイスサワー:各380円。ハイボールはデュワーズ:420円など。

日本酒は、定番酒に秋田酒類(秋田)高清水:440円~。

地酒

地酒は550円から。50種類以上のお酒が常時用意されています。地酒専門店もびっくりの品揃えです。本格焼酎も常時30品近くを用意しており、日本酒、焼酎好きの人に安心して紹介できます。

ホワイトボードメニュー

刺身は、刺身盛り合わせ5点盛り:1,800円、本まぐろさしみ(生):1,800円、かつおさしみ:850円、釣あじさしみ:850円、活帆立さしみ:750円、まだこ(江戸前):850円、炙りサワラさしみ:850円など。

子持ちヤリイカ煮付け:850円、銀だら煮付け:850円、アジフライ:750円、かつ煮:1,150円、山形小なす:520円など。

定番料理

定番に、鳥の竜田揚げ:820円、玉子焼き:480円、生きくらげ卵炒め:750円、牛タタキ:950円など。

お通しからもう美味しい!そして注文必須の刺身盛り合わせ

キリンラガー大瓶(690円)

ビールはアサヒ、キリン、サッポロが揃っており、どれから飲もうか悩んでしまいます。ここは京急沿線つながりで生麦で製造されたキリンラガーではじめましょうか。それでは乾杯!

サッポロラガー大瓶(690円)

店内のポスター等から店はサッポロ推しでもあるようなので、酒場に似合う赤い星、サッポロラガーも1本。

お通し

『よし成』を一言で紹介するならば、“料理が美味しい店”です。なにより、お通しの一口目から「あ、美味しい!」と笑顔になれる味付けなのがスゴイです。内容は日々変わりますが、この日はつくね、がんもどきなど。茶色系でシンプルな肴ですが、味付けがとてもいいのです。

刺身盛り合わせ(1,800円)

今回の主役はこちら。刺身盛り合わせです。魚に力を入れている酒場といっても、盛り合わせでこれだけ品数を用意してくれる店はそうはありません。鮮度の良さ、仕事の丁寧さが感じられる美しい盛り合わせに、思わずうっとりとさせられます。

生本まぐろ、ほたて、ホタルイカ、蝦蛄、うに、小肌、道産あんこう肝、江戸前まだこ、とり貝、かつお。なにかの記念日かのような、立派な盛り合わせです。

店の看板料理として雑色の魚好きから「名店」と言われてきた理由がわかります。

肉どうふ(680円)

品書きにはとんかつやポークソテーなど豚料理が豊富な同店ですが、隣の常連さんも豚料理をお決まりのように頼んでいます。魚もいいけれど、豚料理も人気のようです。いい仕入先があるのでしょうね。

店内に漂う出汁やみりんの香りに誘われて、2品目に注文したのは肉どうふ。玉ねぎの浸り具合がちょうどよく、なにより豚の味が濃く、それでいてくどさは皆無です。実に良い味付けです。

キリンハートランド中瓶(590円)と高清水2合(820円)

ハートランドを和らぎ水代わりに、日本酒をもらいましょうか。料理が美味しいとお酒が進みます。

清酒高清水。最もポピュラーなタイプのようですが、刺身とよくあういいお酒です。冷(常温)でもらって、ちびりちびりと。

銀だら煮付(850円)

刺身も肉どうふも美味しければ、煮魚も美味しいに違いありません。みてください、この美しい銀だら煮付けを。東京らしい甘くとろみのある飴色の煮汁が飴色に染めています。白髭ねぎも見た目と味にいいアクセントです。

脂がのった銀だらですが、ほどよい弾力を残しつつ中までしっかり味が染みています。ぷりっとした食感と、甘く豊かな脂の美味しさが口いっぱいに広がり、ほっぺが落ちそうです。そこへすかさず、高清水を一口。あぁ、雑色まで飲みに来てよかった――

丁寧な接客と美味しい料理の数々。常連さんたちから「今夜は美味しいものを食べるぞ」という意気込みも感じられ、実に心地よいひとときでした。酒場の用途は、酔いたい、盛り上がりたいなど様々ですが、一番は「美味しいもので癒やされたい」ですよね。ここはそんな気持ちに応えてくれる酒場です。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名活魚料理 よし成
住所東京都大田区仲六郷2-8-12
営業時間17:00~(木定休)
開業年1988年(2021年11月3日新装)