京急蒲田「のんきや」 蒲-蒲商店街の昭和やきとりは腕がイイ!

京急蒲田「のんきや」 蒲-蒲商店街の昭和やきとりは腕がイイ!

2017年6月17日

京急蒲田駅とJR蒲田駅の間は徒歩で10分ほどの距離。将来両駅の間を結ぶ路線をつくり、東急沿線から羽田空港までのアクセス改善の話がでていますが、それはまだかなり先の話。

ノンベエとしては、この両駅の間にこそ魅力を感じます。この駅間、ちょいと一杯ひっかけるにはちょうどよい距離で、ハーモニカ横丁や昭和風情が残るアーケード、人気の餃子屋や立ち飲みも多数あり、梯子酒は飽きがきません。

京急蒲田寄りのアーケード商店街「あすと」は、最近はワイン立ち飲みなどオシャレなお店の進出が目立ちますが、老舗だって負けていません。もつ焼きが美味しいと地元で評判の店「のんきや」を覗いてみましょう。

屋号の横に「やきとり」と書かれていますが、これは「豚もつ」のこと。東京の古いもつ焼き屋では、ひらがなで「やきとり」と書くと豚もつを意味するというローカルな規則性があり、ここもそのひとつ。あわせて「串かつ」と書かれているのが珍しい。東京の老舗やきとり店で串かつが”同居”しているのは相当希少です。

のんきカツ(350円)と、やきとりは120円から。店頭の焼台で大将がもくもくと焼き上げる串がメインですが、サイドメニューもそこそこ充実しており、しめ鯖まであります。蒲田の老舗大衆割烹で知り合った”主”によると「煮込み」も美味しいとのこと。

ビールは昔からずっとキリン。生ビールも瓶ビールもキリンラガーを用意されています。

店は入ってすぐに焼き場があり、奥に長いカウンターが続きやや細くなり、その奥にはテーブル席もあるというひょうたん型をしています。立派な作りで、昭和の一時代を築いた雰囲気が素敵です。チェーン店の登場により、やや落ち着きつつも長年通われる常連さんとお店の間に優しい結びつきが感じられます。まさに「いつもの店」という存在。

酎ハイ類は品川区の割材メーカー博水社のハイサワー。都民には「割るならハイサワー」のCMソングでお馴染み。レモンサワーが有名ですが、青りんごや梅などバリエーションは豊かです。

それでは乾杯!

のんきカツは、関西の串かつを一回り大きくしたもので、東京の葱を挟んだとんかつ串とも違うオリジナルなもの。調理に時間が掛かるものと同時につけものを頼んでゆったりと待ちましょう。

店内は蒲田の喧噪がうそのような静けさ。テレビの音もなく、みんな淡々と飲んでいます。テーブル席のサラリーマンのグループもベテランの方たちで、大きく騒がない。

最近、続々と蒲田にはもつ焼き・焼鳥店の新店が登場していますが、街の老舗の味もやはりいいものでおすすめ。ここの大将、腕がイイ!

タレは甘めでさらりとしたもの。下ごしらえの手間がかかるシロや、鮮度が重要なハツも美味しく、常連さんが通う理由がよくわかります。

いかにも昭和の街場のもつ焼き店という雰囲気で、清潔感があるとか、女性の入りやすさとか、そういう部分について語るタイプのお店ではないですが、大衆酒場好きはきっと惹かれるものがあるはずです。

のんびりと静かな時間を美味しいやきとりと共に過ごす時間。それもまた酒場の魅力ではないでしょうか。まさに「のんき」に飲もうよという飲み処です。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

のんき屋
03-3732-0364
東京都大田区蒲田4-20-3
17:00~22:00(火定休)
予算1,800円