池袋『ふくろ美久仁小路店』池袋駅発展の歴史を感じるスポットの定番酒場

池袋『ふくろ美久仁小路店』池袋駅発展の歴史を感じるスポットの定番酒場

2020年10月12日

池袋の「ふくろ」といえば、酒場好きの間ではお馴染みの老舗大衆酒場。

1953年(昭和28年)の創業で、池袋駅と池袋西口公園の間の小さな酒場街に店を構えています。ふくろはこの西口の本店とは別に、東口にある池袋サンシャインシティの麓にある小さな横丁「美久仁小路」にも支店があります。今日はこちらのお話。

美久仁小路は戦後池袋の復興と再開発の中をくぐり抜けてきた場所。駅前の巨大なヤミ市を移動するために、1951年(昭和26年)につくられました。新宿の思い出横丁のように、そのままその場所がヤミ市跡というわけではないにしても、ここもまたディープな雰囲気を漂わせています。

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美久仁小路の定番処

ふくろは、そんな美久仁小路の中ほど、クランクになっている角に建つ酒場です。西口の本店はビル店舗で多層構造になっているのに対し、こちらは横丁らしい2階建ての「ザ・酒場」という建物です。美久仁小路そのものの落ち着きもあり、ゆったりとした空気が流れています。

昨年耐震と内装リニューアルが完了し、キレイになったふくろ美久仁小路店。それでも、カウンターがメインなことにかわりはなく、仕事帰りの晩酌を楽しむスーツ姿の一人客がぽつぽつとやってきては、いつものお酒といつもの肴をつまんでいきます。

さてさて、まずはビールから。樽生、瓶ともに「ふくろ」はずっと前からアサヒです。ふくろの魅力の一つはその安さ。大瓶は520円です。それでは乾杯!

コの字カウンターでいろんな料理を楽しむ

樽生ビール(中410円)、日本酒(1合320円)などからはじまり、次は1合焼酎が250円。品書きをよく見ると、ホッピーはあっても「ホッピーセット」はなく、タンサンやレモンなどの割材はあっても、酎ハイはありません。これがふくろの特徴で、ベースと割材は別々に注文する必要があります。

アルコールの品揃えはとってもシンプル。ほとんどの方が1合焼酎を注文します。

刺しこみで冷酒あり。辛丹波というお酒も大関のお酒です。

ふくろの楽しさは、なんといっても短冊の並び。何を食べようか、1~2分は悩みっぱなし。今日のお刺身はかんぱち(650円)ですね。

黒板には鳥竜田、イカステーキ、はんぺんチーズ、鶏皮ぎょうざ、チーズ春巻き、グラタンコロッケなど、大衆酒場らしいわちゃわちゃした顔ぶれが並びます。もともと食堂としてはじまったふくろですから、品書きにはやはり食堂の名残を感じます。揚げ物、炒めものが充実。

寒くなったらふくろで一人鍋という楽しみもはじまります。カキ鍋、牛肉鍋、はまぐり鍋(各750円)など一人前から注文可能。

価格はどれも400円前後。ゆったり座ってちびりとつまむのには丁度いい価格です。手元の品書きは店の料理の一部しか書かれていませんので、両方要チェック。

季節感のある黒板メニューから、まいたけ天ぷら(380円)。天つゆにたっぷり潜らせ、ヒタヒタにしたくらいが酒場の天ぷらは美味しいと思います。濃いめの味を頬張ったあとに、すかさずビアタンをくいっと。

水餃子で〆たい

水ギョーザ(380円)。なんてことのない料理が多いんです。目玉焼き(380円)やポテトベーコン(430円)などなど。でも、のんびり一人酒でこういうのをつまんでいると、不思議と幸せに感じるものです。

焼酎にレモン(レモン炭酸・200円)を注文し、ふくろの緑瓶ペアを用意。割材の火星人みたいなマークは旧コクカ(現在のホッピービバレッジ)のロゴで、ここの割材はホッピー社製です。アイスペールいっぱいの氷はサービス。

ここの甲類はなかなかのキリっとしたものです。飲み過ぎにはご用心。そもそも1合という単位が普通の酎ハイやホッピーのナカと比べてだいぶ多いですから。

毎回頼んでしまう野菜炒め。ハムカツも美味しいのですが、やはり野菜不足の解消を図りたい気持ちが強く、今日も肉なし野菜炒め(380円)です。強火でガンガン炒めているようで、旨味のある味付けもあってこれはこれで酒場の味です。

大衆酒場らしい一軒。低価格系やコンセプト居酒屋など、お酒を楽しむ場所の話題はつきませんが、スタンダードな場所はやっぱりいいものです。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名大衆酒場ふくろ 美久仁小路店
住所東京都豊島区東池袋1-23-12美久仁小路
営業時間営業時間
15:00~21:00(L.O.20:00)
定休日
日曜日
開業年1953年(東口の店舗からの計算です)