郡山『花春酒蔵 河童』安積国造神社前で68年。街を代表するコの字酒場。

郡山『花春酒蔵 河童』安積国造神社前で68年。街を代表するコの字酒場。

2020年9月15日

福島県のほぼ中央に位置する郡山は、昔から交通の要衝として、商業や工業で栄えてきました。駅周辺にはオフィスビルが多く、また、近郊には大規模な製造事業所が多数存在します。例えば、アサヒビール福島工場の場所も郡山都市圏です。そういった街の特性もあって、駅前は立派な飲み屋街が広がっています。

そんな郡山で飲み歩くとき、老舗を探しているならばぜひここは立ち寄ってほしいというお店が「花春酒蔵 河童」です。

スポンサーリンク

郡山に来たら一度は訪ねたい老舗酒場

駅から徒歩10分、郡山のメインの飲み屋街から少し離れた場所にあります。創業は1954年(昭和29年)、60年以上続く店ですが、近年代替わりをして、若大将が暖簾を引き継ぎました。

花春酒蔵と冠した店名の通り、お酒は福島県会津若松市にある花春酒造がつくる「花春」のみ。そして、ビールも長年に渡りアサヒビール一筋という酒場です。

魅惑のコの字カウンター

テーブル席はない、焼台を凹に配置したコの字カウンター20席のみ。変わらぬ常連が連日顔を並べ、大将やお客さん同士の会話を楽しんでいます(距離を開けて小声で)。

お通しは地元のきのこや根菜をつかった煮物など、郷土色ある小鉢がだされます。それでは、福島・本宮市(郡山市の隣)でつくられるアサヒスーパードライ(600円)で乾杯!

スーパードライは大瓶(750円)もあり。珍しいアサヒ熟撰もおいているのは、お店のこだわり(600円)。日本酒は花春のみで、普通酒(500円)、にごり酒(750円)、純米辛口(700円)、大吟醸(950円)と、縦方向に揃い踏み。

焼酎や泡盛があるのも特長で、ご主人のこだわりの銘柄が並びます。

つづいて料理の献立。メインは昔からもつ焼きで、しろ、れば、つくね、かしら、たん、とり、軟骨、バラ肉、うずらなど、部位は非常に多いです。1本150円から。継ぎ足し続けたタレ、塩は岩塩、めずらしいにんにく醤油は、鳥のしっぽにぴったりなのだそう。

郷土料理といえば、馬刺しや鰊の山椒漬けなど、しっかり揃っています。

河童サラダ(500円)は特徴的な和風ドレッシングがお酒を誘う味。日本酒とサラダなんて組み合わせも全然あり。

炭火でじっくり時間をかけて焼き上げる河童の串。1本単位から可能で、味付けはおまかせです。かしらは塩で。

粘度のあるタレは、濃厚で旨味たっぷり。シロのクセを優しく包み、心地よいバランスにまとめています。

花春のお燗酒

ビールもよいけれど、花春もね。非常に珍しい構造の徳利で供される普通酒のお燗酒。お米の甘さを感じながらも、キレはよいワザを感じる一杯です。お隣さんと距離を開けての一期一会の乾杯をしつつ、郡山の少し涼しい夜はゆっくりと深まっていきます。

ご主人イチオシ、奇跡の三種盛りをパワーアップさせた、スペシャルな一品。いわゆる「ばくだん」なのですが、野沢菜や大根、たっぷりの白ネギにたくわん、納豆、そして歯ごたえがあるイカと、いろんなものを刻んで混ぜ込んだおつまみ。

ボリュームがあってもヘルシー。お酒をめちゃくちゃ誘う味で、冷酒をもらったあとは、さらに泡盛か。

のんびり飲んでいたら、そろそろ列車の時間。繁盛している老舗酒場のカウンターは、時間がゆっくり流れているようで、気づけばあっという間に時計の針が進んでいる不思議な場所です。

ちょっぴり敷居が高く感じる常連さん中心のコの字の店ですが、大将も女将さんも、そして地元の人も丁寧に受け入れてくれる酒場です。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名花春酒蔵 河童
住所福島県郡山市清水台1-6-15
営業時間営業時間
17:00~22:00
定休日
日曜祝日
開業年1954年