茨城県北、多賀山地と太平洋に挟まれた扇状地につくられた日立市。日本鉱業発祥の地として知られ、日立鉱山の系譜にあるJX金属日立事業所が現在も創業の地に事業所を構えています。また、ご存知の通り大手電機メーカー日立製作所創業の地であり、市の人口18万人に対し、3万人以上が日立製作所やグループ企業の従業員です。
鉱山からはじまり、日本を代表する電機メーカーが成長した日立は、同時に非常に海が美しい「海の街」でもあります。水戸の御老公でおなじみ水戸黄門がこの地を訪れた際に太平洋から昇る日の出を眺め、「日の立ち昇るところ領内一」と称えたことが地名の由来と言われています。
そんな日立を訪れたならば、地元の海の幸を食べさせてくれる大衆割烹で一献いかがでしょう。今回は日立市中心市街地・鹿島町にある「味どころ あかま」をご紹介いたします。
日立市へは、東京駅からJR常磐線の特急ひたち号で日立駅まで約90分。仙台からも乗換なしで約3時間でアクセス可能(2020年3月14日より)です。
地元出身の建築家妹島和世の設計で2011年4月に開業した新駅舎は、ガラスを多様した開放感あるつくりで、改札口を抜ける前から水平線を望むことができます。海側に突き出した併設のカフェからの眺めは美しいと評判です。
駅前には工業都市・日立のシンボルとして、発電所用の大型タービンの試作機がモニュメントとして設置されています。もちろん日立製作所製。
海と工業、さくっと眺めたところで、そろそろお昼酒の気分です。目指すお店は中央口から目抜き通り(平和通り)を西へ900mほど。
「お魚専門料理 味どころ あかま」の大きな文字が目印です。3階建ての大きな建物で目立ちますが、一階はシャッターが降りています。シャッターの間にあるちょっぴり薄暗い登り階段がお店の入口です。大丈夫か心配になりますよね。でも大丈夫!スーツや作業着姿の会社員でお昼時は満卓になりますし、夜の宴会も多いそうです。
シャッターがしまっている一階は、もともと赤間水産という鮮魚店だった場所。現在は食事処一本で営業をされているとのこと。
いざ二階へ。
元気のいいお姉さんがいらっしゃい!と迎えてくれて、畳敷きの小上がりの席へ案内してくれました。民宿の食事処のような雰囲気。まずは、なにはともあれビールから。サッポロ黒ラベル中ビン(550円)をもらって、それでは乾杯!
店内の一画には鮮魚店のコーナーが残されていて、ここに並ぶ食材をつかった料理をお願いすることができます。
小名浜港で水揚げされた魚を中心に、太平洋沿岸の海の幸がずらりと並ぶ光景は圧巻です。
さてさて、何を食べましょうか。お昼の営業時間に訪ねましたが、料理はランチメニュー以外も歓迎だそう。刺身の舟盛りに、天ぷら、どれも魅力的。この界隈では「赤次」と呼ばれる魚は、キンキのこと。地元でお祝い事に欠かせない魚だそうです。
ビールは樽生がアサヒ、チューハイ類はアサヒの樽ハイ倶楽部で400円。おすすめの日本酒は、椎名酒造店「富久心」と宏和日立酒造「十王蔵」、どちらも首都圏では見かけることがない地元のお酒です。
海鮮丼・天ぷら5点定食(2,000円)。軽く飲みつつ食事もとりたい人向けのセットが充実していますので、今日はこんなチョイス。天ぷらとお寿司、お刺身など組み合わせ色々。追加で鮃刺し(580円)をつけてもらえば、それはもう豪華絢爛になることでしょう。
海鮮丼(写真はごはん少なめ)は、小名浜港で水揚げされたまぐろや鯛を中心にとてもにぎやかです。
天ぷらは海老にイカ、春菊、カボチャ、ナス。地元の料理人がつくる料理は、その素朴な感じもまた魅力。自家製の野菜や近隣でとれた食材を中心にした料理がうれしいです。
海岸沿いの街らしい豪快な料理を肴に、ビールや地酒を楽しむひととき。のんびりした日立の町並みを眺めて、すっかりほろ酔いです。
地元の人御用達、階段がちょっぴり敷居を高めていますが、入ってみればとても居心地の良い飲みの場所。日立で貴重な鮮魚楽しむ昼飲み処でもあります。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
味どころ あかま
0294-21-1070
茨城県日立市鹿島町1-1-14
11:30~14:00・17:30~21:00(月定休)
予算2,500円