つくばエクスプレスの開業で秋葉原まで最速45分で結ばれたつくば研究学園都市。徹底的な都市計画、都市設計がされた街に立ち並ぶ最先端の企業や国の研究施設。近隣のマンション群も統一されたデザインでつくられていて、まるで都市開発ゲームのような町並みが広がっています。
横丁はおろか、大衆酒場的な赤ちょうちんすらないように思われがちですが、ちゃんとあるんです。大手資本のチェーンばかりではなく、個人経営に近い酒場もあります。ここ「鳥吉」は、つくば市内で3店舗を展開する焼鳥酒場。
碁盤の目で道路が敷かれた研究学園都市開発エリアの外側にもあり、つくば市内の焼鳥といえばここというくらい、地元では定番です。20年以上続く地元では古参の店。
焼台に面したカウンターは、無垢の分厚い木。赤い丸イスがならび、焼台の大将とちょっとした会話でもしながら飲めば、ここが日本の先端研究の特化都市とはとても思えない。
客層はスーツ姿のほかに、いかにも研究者的なラフな姿だけど地元の人ではなさそうな方もみかけます。ここは東京の延長なのだというのが客層からも感じるのがおもしろい。
ビールはキリン。生が一番搾りで、瓶でラガー(RL)、一番搾りとアサヒスーパードライ。中ジョッキで500円(税込)。酎ハイ、角ハイボールなどは420円。日本酒の定番は玉乃光で400円です。税込みなので、実はそこそこ飲んでも「これくらいで済んだ」という印象。
3店舗とも人気店で、駅前店は入れないほど賑わうことも。奥の座敷をいれて70席近くあるのに満席というのだから、人気ぶりがお分かりいただけるかと。人気なのでビール樽や食材の回転が良い。新鮮で美味しいものが楽しめます。
メインは定番の焼鳥で、サイドは日替わりで様々。東京に近いといっても、ここは茨城県。当たり前であんこうの料理も並びます。
まぐろ、サーモン、ヒラメでお刺身盛り合わせ。盛りは人数に応じて細かな注文にも答えてくれます。海鮮は日替わりでいいものが多い。
メインの焼鳥から、人気の「くび」(160円)とはつきも(160円)。独自のルートで仕入れた鶏を店でその日の分を一本一本串打ちし、備長炭で焼き上げたもの。ちゃんとつくると焼鳥の仕込みは大変な労力ですが、ここの串は本物です。
手羽やつくね、レバーなど定番は1本140円。
くびは独特なしゃきしゃくとした食感。正肉とモツの間の不思議な存在。あぁ、また食べたい。
タレ、にんにく、塩の3種の味が用意されていますが、レバーは絶対タレがおすすめ。ほくほくで口の中で優しく広がる味に、やや甘めのタレが抜群の相性です。
せっかくなのであんこうの唐揚げ(700円)を。ボリューム満点。生ビールや酎ハイで飲み進めてきましたが、ここで瓶ビールへ。
最近は大衆酒場でも見かける機会が増えたシードル。フランス・ノルマンディーのビール的飲料ですが、日本人的にはチューハイと同じような感じでしょうか。焼鳥とあわせても実は結構いけます。
きれいな町並みでも、職場と自宅の間にはやっぱり酒場が必要なのだというのが、ここの人気ぶりから感じられます。これから30年、40年とたって、いつかは「老舗」と紹介する日がやってきそうです。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/キリンビール株式会社)
鳥吉 研究学園店
029-855-7858
茨城県つくば市苅間1223 研究学園D12街区6D12-107
17:00~24:00(無休)
予算2,400円