江戸時代、灘など日本全国のお酒が江戸に船で運び込まれました。とくに灘から届くお酒は、上方から届くことから下り酒と呼ばれ、質の高さが評判になりました。これが、ネガティブな表現に使われる”くだらない”の語源となったと言われています。
中央区新川は、江戸時代、日本酒の集積地として多くの倉庫がつくられました。現在も、新川や八丁堀界隈は日本盛、櫻正宗、白鷹、金盃、白鹿、大手卸の日酒販など、そうそうたる酒類企業の東京支店や本社が集中しています。
そんな新川で、実は角打ちが楽しめるということをご存知でしょうか。創業は1923年。界隈の飲食店や一般家庭が長年利用している酒販店「今田商店」です。
日本酒の品揃えは言うまでもなく豊富で、近隣にはワイン商社などがあることから、珍しいワインや洋酒も取り扱っている、酒好きの心をくすぐるお店です。新川に事務所を持つ酒類会社の営業さんが説明役で来るお酒のイベントなども盛んに行われています。
「富久長」や「誠鏡」などを、長い付き合いからおすすめされている銘柄もあります。
現在お店の暖簾を守るのは4代目となる今田健夫さん。小売だけでなくお酒の楽しみ方を幅広い方に知っていただけたら、と角打ちで営業をされていまます。
半月状のカウンターは、数多くのお酒に囲まれて飲めるお酒好き垂涎の試飲コーナーです。
3種類飲み比べセット(500円)をまずはお試しあれ。相当な品揃えがあり、そこからご主人のチョイスを聞くのも楽しみです。
こだわりの銘柄が手頃な価格で楽しめるのは非常に魅力。誠鏡の純米の旨味・優しい米の甘さがたまりません。
クラフトビールもも用意されています。クラフトのなかでも有名銘柄ではなく、「へぇ、ここで飲めるんだ!」と嬉しくなる、各地のものが並んでいます。ホヤチースをおつまみにして、なまはげがトレードマークの十和田湖ビールをいただきます。
おつまみは持ち帰りもOK.おなじみの乾き物が並ぶほか、珍しい缶詰や真空個包装のおつまみも用意されています。
日本酒、クラフトビールもいいけれど、私は焼酎派。そんな方も安心です。焼酎セットもあり、氷もよいものを使われています。頂いたのは、吉永酒造 五郎。
泡盛や伊豆諸島などの離島のお酒まで幅広く揃える「今田商店」。新川らしい豊かな品揃えと知識ある店主さんの接客は、ただ飲むだけの角打ちにはない、お酒の”知りたい”を満たしてくれます。
ビジネス街の新川ですが、近所にお越しの際はふらりと立ち寄られてみてはいかがでしょう。ここならば、次のお酒のお気に入りが見つかります。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
今田商店
03-3551-5885
東京都中央区新川1-10-10
17:00~20:00(第2・4土曜は13:00~18:00・日祝定休)
予算1,000円