ボストン「Union Oyster House」 アメリカ最古のレストランで、名物クラムチャウダーとビール

ボストン「Union Oyster House」 アメリカ最古のレストランで、名物クラムチャウダーとビール

歴史と文化と学問の街「ボストン」。アメリカ独立の舞台となったこの地は、数多くの歴史的建造物が立ち並び、市内にはそれらの施設をたどることができる「フリーダムトレイル」と呼ばれる赤レンガのラインが引かれています。

全米最古の街のひとつであり、ダウンタウンはレンガや石造りの建物が多く、ヨーロッパの町並みを彷彿させます。ここには現存するアメリカ最古のレストラン「Union Oyster House」があります。創業は1826年。建物はそれよりもさらに昔からあるとされています。外観・インテリアともに創業時の面影を残しており、ここでお酒を飲めば、フリーダムトレイルとは別の視点でアメリカの歴史ロマンに浸れます。

 

ボストンはアメリカの歴史にとって重要な舞台となるため数多くの映画やドラマにもおなじみ。街を歩けば知っている建物がすぐにみつかります。また、映画に出てくる天才科学者やマッドサイエンティストの母校として名前が上がるMITことマサチューセッツ工科大学もこの地にあります。

 

植民地のころから貿易港として栄えたボストンは今もアメリカを代表する港町。肉料理のイメージが強いアメリカ料理ですが、ボストンの郷土料理はロブスターや二枚貝など海鮮のオンパレード。最近は本マグロの水揚げ港としても知られています。

 

フリーダムトレイルのコース上に目的のレストラン「Union Oyster House」もありますので、前菜感覚で食前の町並み探検をはじめましょう。米国最古の都市公園「ボストンコモン」がコースのスタート地点です。

 

市内はこのように、歩道や横断歩道を右へ左へ、ダウンタウンを中心に約4キロ敷かれています。

 

植民地時代に建てられた「旧マサチューセッツ州会議事堂」は、ボストンに現存する中で最古の公共施設。高層ビルに囲まれていますが、今も街の中心です。2階にあるバルコニーは「独立宣言」が読み上げられた米国にとって最も大切な場所の一つです。

 

軽い気持ちで町並みを眺め風を感じながら歩くだけでもフリーダムトレイルは楽しめます。

 

古い街は万国共通、魅力的です。イタリア街にはイタリア料理店が多数。おもわず吸い寄せられそうになります。

 

公共交通も充実しており車を使わずに十分に街をめぐることができるボストン。市内は路線バスと地下鉄が網羅。都市間を結ぶAmtrak(政府系鉄道公社)でニューヨークやメーン州ポートランドに日帰りも可能です。

 

歩き疲れたので、地下鉄に乗ってショートカット。そろそろビールが飲みたいです(※公共の場での飲酒は禁止されています)。地下鉄は1897年の開通で、こちらもまた全米最古。トラムのような小さな電車がゴトゴトと走っています。薄暗いですが中心部を乗る限りは治安は良好でした。

 

さて、たいへんお待たせいたしました。Union Oyster Houseに到着です。重厚な建物は飲食店というより博物館のよう。一階ではミュージアムショップのごとくグッズが売られています。

 

一階はカウンター席でバーテンダーから受け取るオイスターバー。常連さん風のお父さんたちが早いうちからワインやカクテルを片手に隣同士とワイワイ飲んでいます。二階はダイナー。二階のテーブル席はケネディ大統領が常連だったのだそう。

 

さあ、飲みましょう。一階にはバーを併設しており、カクテル、ワイン、ビールは大抵のものはオーダーが可能。ウエイターさんのおすすめということで、ボストンのペールエールをオーダー。それでは乾杯!

 

オイスターハウスクラムチャウダーボストンクラシック($7.50)

ボストン発祥のクラムチャウダー。観光案内所の資料によれば大鍋を表すフランス語「chaudière」が語源とのこと。ボストンに漂着したフランス人漁師が広めたと紹介されています。食文化にふれる楽しい時間です。

 

トロトロのとクリームに、ホンビノス貝がたっぷり沈んでいます。かなり粘度があり、スープと言うよりは煮込みです。コクがあってビールを進ませます。

前菜はムール貝やシュリンプカクテル($14.95~)、生牡蠣・生チェリーストーンハマグリ(ホンビノス)などを載せたオイスターバーから届くコールドシーフードサンプラー($17.95)は人気だそう。

一人でくるとあれもこれもは食べられないのが残念なところですが、前菜、スープ、メインと順に頼む必要はありませんので、ここは一人でも食べられそうなビールのお供をチョイス。

 

Scrod($17程度)、BOSTON版のフィッシュ・アンド・チップス。ニューイングランドの伝統食材「Scrod」と呼ばれる北大西洋でとれるタラの幼魚を使います。パン粉でまぶして焼き上げたりフライにして食べる食堂メニューです。

 

一般的なフィッシュ・アンド・チップスよりも身は薄いですが、クリスピーな食感や、白身の繊細さが楽しめます。三枚におろした身を形そのままに揚げているのも面白いところ。

フライドオイスターやメカジキのグリル、ロブスターなどのメインディッシュが揃っていますが、軽く立ち寄るならばこれくらいがちょうど良いかもしれません。(※取材・記事の内容はすべてランチです。ディナーはより本格的です。)

 

ビールをおかわりして、窓から外を眺めれば、そこは1636年に整備されたユニオンストリート。わずかな時間しか滞在していませんが、長い時間を見てきたような、そんな錯覚を感じそうなまどろむひとときでした。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

Union Oyster House
http://www.unionoysterhouse.com/
+1 617-227-2750
41 Union St, Boston, MA 02108 アメリカ合衆国
11:00~21:30(基本無休)
予算$35