アーリントン『Quarterdeck Restaurant』超ワイルド!トンカチで蟹を叩いて頬張る

アーリントン『Quarterdeck Restaurant』超ワイルド!トンカチで蟹を叩いて頬張る

2021年5月7日

ワシントンD.C.の名物料理のひとつ、ブルークラブ。茹でたカニにたっぷりのスパイスをまぶしたもの。これを豪快に木槌で叩き割って食べます。これがペールエールとの相性が抜群なんです。今回はアーリントンから、人気の一軒をご紹介します。

アメリカ料理といえば、ステーキにハンバーガー、シカゴピザなど、肉料理をイメージしがち。ですが東海岸の各都市を代表する料理といえば、実は海鮮が多いものです。首都・ワシントンD.C.のローカルフード「ブルークラブ」もそのひとつ。

世界中から要人が集まる街だけあって、ワシントンD.C.は、各国の美味しいものが勢揃いしています。もちろんアメリカ料理は言うまでもなく。ただ、どこのお店も結構な高級店。そんな中でも見つけました、手頃な地元向けのシーフードパブを。

Quarterdeck Restaurant(クォーターデッキレストラン)」は、40年以上続くフォートマイヤーハイツ地区の人気店。日中から夜11時まで通しで営業し、ウィークデーの真っ昼間から、ビールと甲殻類や貝類で一杯やっている人たちで賑わっています。

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お腹を減らすためにホワイトハウス周辺散策

名物のカニを食べにやってきたワシントンD.C.。アメリカンサイズのボリューム満点の料理に備え、朝食は食べずに朝の街中を散策。どこもかしこも、政府機関や大使館ばかり。お店はホテルの中以外はほとんどありません。

カニを食べる前の運動にぴったり。ひとつひとつの施設の規模が大きくて、景色がなかなか変わりませんが…。

映画ではよく大変なことになっている建物。現実ではとても穏やかな雰囲気です。

この街の名物料理は、ブルークラブのほかに、チェリーストーンという二枚貝があり、生牡蠣のようにレモンを絞ってそのまま食べるものがあります。日本では「ホンビノス貝(白はまくり)」と呼ばれるもの。日本人的には、生で食べるのは勇気がいります。

あとは、クラブケーキやソフトシェルクラブなど。やはりカニ料理がメインです。

目的のクォーターデッキレストランは、リンカーン記念堂からポトマック川を渡った対岸、ワシントンD.Cではなく、バージニア州アーリントンにあるお店。徒歩だとホワイトハウスから1時間ほどかかる距離です。途中で疲れてきたのでお散歩は終了。路線バスに乗ってショートカットで向かいました。

アーリントンの住宅街、ここだけ漁師小屋。

アメリカ映画でよく見かける施設の脇を通り、アーリントン墓地の先にある住宅街の中にある、一軒家の店。ここだけ突然チェサピーク湾の漁師小屋がやってきたような雰囲気。赤く可愛い扉を開くと、ジーパンにワシントン・ナショナルズの野球帽をかぶったおっちゃんたちが、テレビを見ながらビールを飲んでいるカウンターに出ました。

一人、二人はカウンターや後ろのコンパクトなテーブル席を利用し、観光客は店先のテーブル席を利用するようですが、また開店したてということもあって、私もおっちゃんたちに混ざって飲むことになりました。

なにが素晴らしいって、カニ料理以前に、10種類以上のタップビールがあるところ。「atlasbrewworksBullpen Pilsner など、バージニア州ではここだけでしか飲めない樽もある」と、お店のフェイスブックにも書かれていますが、ビールの品揃えにこだわっている様子。ミラーライトのように大手ブランドもあります。値段は、16オンス(約450ml)で6ドルから。

ビールと海鮮料理でお昼から酔うのは日本人だけじやない

思わず、”ふへへ”ってにやけてしまいそうな、美しい色合いのStone IPA(8ドル)。それでは乾杯。

「平日のお昼間から、大きなカメラを持ったアジア人がぐびっとやっていても誰も気にしない、さすが自由の国だ!」と、よくわからない独り言を脳内でしゃべりつつ……。

いや、そんな雑談をしている場合じゃないほど、このIPAが美味しい!松のような香り、柑橘系のしっかりとした酸味。余韻はクリーミーで、しばらく経つともう一口飲まずにはいられない旨さがあります。

クラムチャウダー

メインのカニ料理は注文してから茹で始めるそうで、それまでのビールのおつまみにクラムチャウダー(約5ドル)を。日本で一般的な白いクラムチャウダーはニューイングランドスタイル。こちらはニューヨークやボルチモアでおなじみ、トマトベースのマンハッタンスタイルでやってきました。

いんげん豆、セロリ、じゃがいも、人参、ホンビノス。そしてクラッカーをトッピング。豪快でちょっぴりこぼれているのもご愛嬌。深いコクがあって、IPAとの相性は抜群にいい!

トンカチでスパイシーなカニを叩き割る

さて、そうこうしているうちに、テーブルには模造紙のような巨大な紙が敷かれ、木槌とバケツがやってきました。

明るいキャラのお兄ちゃんって感じのスタッフが、鼻歌交じりで近づいてきました。別のお客さん用かな?と思っていたら、こんな量を一人で飲みにきている私のテーブルの上に全部投下していきました。

最小ロットの、ミディアムクラブの1/2ダースで注文したのにこのボリュームなんです。

甲殻類マニアの心をくすぐるこのインパクト!

ブルークラブはこの界隈では、産地の海の名前からチェサピーククラブと呼ばれています。ワタリガニやガザミに似ていますね。

注文のときまでは活きていたカニを一気に蒸して、チリなどのスパイスをたっぷりまぶして出来上がり。腹と甲羅を開くのは日本のカニと同様の食べ方ですが、手足はハンマーでガンガン叩き割ってきます。

脱皮したてのソフトシェルはそれほど硬くなく、バリバリとしゃぶるように食べている地元の人の姿もみかけました。

アッラガッシュ トリプルエール Allagash Tripel Aleでリフレッシュ

見た目同様に味は強く、とってもスパイシー。そしてやや塩分強め。だからビールもぐんぐんと進みます。メーン州のクラフトビールでリフレッシュ。このビール、アルコール度数は9%もあります。

そして、再び、アメリカの裁判長のごとく、ハンマーで「ゴンゴン」とやりつつ、身をさぐりだしていきます。

カニを食べると人間は黙る、というのは日本人だけみたい。グループで来ている家族連れはワイワイやりながら、子供のようにカニを叩き、みるみるうちにバケツの中にカニの甲羅の山ができていきます。

私はといえば、日本からカニフォークを持参すればよかったと悔やんでいるくらい。手荷物検査で引っかかりそうだけど。

アメリカはやっぱり豪快です。最後はお客さんみんな蟹まみれ。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名Quarterdeck Restaurant(クォーターデッキレストラン)
住所1200 Fort Myer Dr, Arlington, VA 22209 アメリカ合衆国
営業時間11:30~23:00(基本無休)
開業年1979年