都営浅草線の本所吾妻橋駅から徒歩10分ほど。駅から離れているのに大盛況の飲み屋があります。その名は「わくい亭」。1989年(平成元年)創業です。
特長はなんといっても、旬の料理を揃えた黒板メニュー。そして、ボリュームたっぷりの揚げ物や洋食も人気です。オーソドックスな大衆酒場とは少しことなり、筆者のイメージでは「大衆小料理屋」。女将さんを始めとしたお店の皆さんが、気の利いたつまみを普段飲みの値段で食べさせてくれる、そんなお店です。女将の涌井 純子さんは「お惣菜ふう酒の肴」という本もだされています。
最寄りに駅のない、三ツ目通りと春日通りが交差するところに「わくい亭」はあります。本所の町並みを散策しながら向かうもよし、都営バスの本所4丁目バス停からならばすぐの場所です。
カウンターとテーブル席が厨房脇に並ぶ典型的な居酒屋の配置。一人飲みならば調理風景も眺められるカウンターが特等席です。とくにカウンターの角は店内も見渡せて、店の雰囲気をより感じられます。
乾杯は、地元墨田区のビール会社、アサヒがつくるプレミアムビール「アサヒプレミアム熟撰」(中650円)です。では乾杯!
瓶ではアサヒスーパードライ、日本酒は定番に麒麟山、そして新潟を筆頭に全国のこだわり銘柄を揃えています。
料理は定番ではなく、すべて黒板や短冊に書かれた日替わりメニューになっています。この品書きを眺めているだけでお酒が進む人ならば、きっとわくい亭にぴったりなお方です。豊洲から仕入れる魚介類からはじまり、カニグラタンやきくらげ玉子炒めまであります。コロッケなどももちろん手作りです。
鮮度の良さを感じるピンとしていて、食感はもちもちのとり貝(800円)。
揚げ物はボリュームがあることで有名で、時期のいいカキフライはこの大きさです。価格も3個で500円と良心的。
揚げてもこのサイズなのですから、もとは相当に立派だったはず。ジューシーで優しくまろやかな磯の風味がたまりません。
かぼすハイ(400円)などの柑橘系酎ハイもおすすめです。搾りたての爽やかな香りは魚介類との相性抜群。
子持ちヤリイカ(500円)は、ちびりちびりとお酒のつまみにゆっくり食べたい一品。味付けが非常に繊細で、卵やキモの味わいをじんわり感じさせてくれます。
そこに麒麟山のお燗(小徳利450円)をひとつ。人気の居酒屋ですが、皆さん穏やかに美味しい料理とお酒に向き合っていて、賑やかでも騒がしくありません。そんな店内だからこそ、お酒と肴をこうしてのんびり味わいたくなります。
料理好きのご夫婦がはじめた30年続くわくい亭。グループでも一人でも、きっと楽しいひとときを過ごせると思います。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
わくい亭
03-3829-3751
東京都墨田区本所3-22-12
17:30~22:00(日祝定休)
予算3,000円