大岡山「大衆酒場やかん」 手作り肉料理に金宮を。居心地抜群のカウンターで酔う。

大岡山「大衆酒場やかん」 手作り肉料理に金宮を。居心地抜群のカウンターで酔う。

2019年8月18日

今日は大岡山の人気店「大衆酒場やかん」をご紹介します。

創業は2016年とまだ新しいながら、すっかり街の風景に溶け込んでいます。日曜祝日は15時から暖簾が掲げられ、夕暮れ前から飲み屋好きのお客さんでにぎやかです。

大岡山は、東急目黒線と大井町線が交差する乗換駅。各方面からアクセスしやすいです。全国でも珍しい病院併設の駅舎で、一部の改札は東急病院に直結しています。

大岡山駅の真正面には、東工大こと、国立東京工業大学のメインキャンパスがあります。古き良き私鉄の人情商店街が広がる大岡山は、東工大の学生の姿も街に活気をあたえています。

目指す「大衆酒場やかん」は、この駅舎と東工大に挟まれた商店街を北へ10分ほど。チェーンが増えましたが、いまでも老舗の中華や和食、食堂などがあって街に個性があります。

楽しい商店街散歩でやってきました「大衆酒場やかん」。赤ちょうちんに下げられたアルマイトのやかんが洒落ています。

強面だけど気さくに話しかけてくれた大将と若いスタッフで切り盛りされています。お客さん同士の雰囲気も伝わってくるコンパクトであったかいムード。座ったときからカウンターに体が馴染む感覚です。

さぁ、今日も始めましょう。通期販売は瓶でしか行われていない、サッポロビールの原点銘柄「サッポロラガー」(中びん500円)で乾杯。

樽生ビールはアサヒスーパードライ。メインは焼酎甲類のキッコー宮をつかった酎ハイ(400円~)です。日本酒(460円~)もいくつか置いてあります。

手作りの肉料理が揃う楽しい品書き。右上の”1番席”が蒸し手羽(330円)というところに、只者ではない感じがビシビシきます。

お通しなし、すぐでるおつまみが200円台からと良心価格です。

黒板メニューは定番に加え日替わりが入ります。うーん、どれも魅力的です。

お店の定番、「蒸し手羽」は冷製で、頼むとすぐでてきます。軽く醤油ベースで味付けされており、煮凝りのように表面をゼラチンが覆っています。

まれに中華料理店でみかける冷製手羽。揚げたり焼いたりするよりもするっと食べられて、まろやかな旨味が心地よく残る美味しい一品です。みっちり肉が引き締まっていますので、箸で食べることは難しく、ここは豪快で手づかみでいただきます。

黒板メニューから、トマトとタルタルサラダ(380円)を。自家製タルタルにたっぷりふりかけた胡椒が味にアクセントを与えています。

酒場の冷やしトマトのアレンジに新発見です。これでビールが進むこと間違いなし。

ビールのあとは、屋号にもなった「やかん酒」に挑戦。お一人様3杯までと書かれた魔法のお酒。やかんの中身はアルコール度数25%のキッコー宮焼酎。氷が敷き詰められた桶に冷やされて、ただでさえ飲み心地のよいキッコー宮焼酎が、一層アルコール感が閉じ込められています。

グラスも冷やされており、注ぐ様子は涼しさたっぷりです。

そのまま飲んでもよいのですが、ここは長年の東京酒場の風習に合わせて、梅エキスを数滴垂らし梅割りとしていただきましょう。

このくらいかな。少し焼酎を飲んでおかないと垂らしたエキス分でこぼれてしまいます。

梅割りには煮込み。間違いのい組み合わせです。ニンニク辛味噌を添えた塩もつ煮込み(380円)。

丁寧にアクとりをされているようで、クセがなくただ素直に旨味を感じます。煮込みの汁にも油浮きがなく、驚くほどあっさり。

ほかにも度数高めな焼酎ベースの飲み方をいくつか用意されていますので、お試しあれ。こちらはコーヒー焼酎。一個だけいれた氷によって、気分はまるでアイスコーヒー。砂糖を入れていないのにほのかに甘く感じるのが不思議です。

コーヒー焼酎にゴーヤをあわせて、気分は沖縄の大衆酒場。

こちらはまるごとトマト搾りサワー。すっきり爽快な味で喉越しも抜群。

チャーシューやハムカツ、しゅーまいなどが人気です。一人前サイズなので何種類か頼んでみたくなりますが、今日はもうお腹いっぱい。

暮れゆく大岡山のひとときを、焼酎片手に過ごす良い時間。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

大衆酒場 やかん
03-6421-1588
東京都大田区北千束1-62-2
17:00~22:30(日祝は15:00~21:30・月定休)
予算2,000円