石川台「鯰屋(鳥岡商店)」 商店街の人情鳥肉店。立ち飲みコーナーで焼鳥を頬張る

石川台「鯰屋(鳥岡商店)」 商店街の人情鳥肉店。立ち飲みコーナーで焼鳥を頬張る

2020年8月13日

私鉄沿線の商店街歩きが趣味の一つです。急行が止まらない駅でも、駅前商店街はかなり立派ということがよくあり、その地域のコミュニティの濃密さに触れられるような気がします。

石川台希望が丘商店街もそんな魅力を感じられる場所です。東急石川台駅から南へ伸びるレトロな商店街。ここに店を構えて長い「鳥岡商店」が今日ご紹介するお店です。

ふつうの鶏肉屋ではありません。店の左には「立ち飲み」の文字がはいった暖簾が掲げられています。

南に荏原病院、北に東京工業大学。久が原台、荏原台などの台地が多く起伏に飛んだ地形。閑静な住宅街ですが、街歩きは意外と体力を必要とします。

そうして上がったり下がったりを繰り返し、喉も乾いたところでやってきました、鳥岡商店。長年やっている街の鳥肉専門店です。店頭では焼鳥、唐揚げ、もも肉照り焼きなどを販売し、ご近所の方が持ち帰りで購入されていきますが、その左に「鯰屋(なまずや)」という小さな暖簾がみえています。

当初はナマズ料理の店にしようと開いたそうですが、いまは焼鳥専門です。

鯰屋は、鳥岡商店の隅っこを使った立ち飲みコーナー。というより、イートイン。そして会議机と椅子が用意されているので、座って飲むことができます。

半分倉庫のような空間ですが、ちゃんとビールサーバーも設置されています。お酒はセルフスタイルで、自分でグラスに注いでいただきます。お会計も自己申告。

樽生ビール(480円)はサントリーザ・プレミアムモルツ。冷えたグラスを冷蔵庫から取り出し、ぐーっとビールを満たして完成。では乾杯。

こちらが品書きです。生ビールのほかにビンでアサヒスーパードライ(中ビン500円)も用意があります。サワー類は420円から、ホッピーセット(520円)は白・黒用意。ワインやカップ酒も多く、社長の趣味もはいっています。

串は1本単位で注文可能で、手元の注文用紙に記入し手渡します。鶏専門店のモツ・ホルモンはもちろん鶏の部位。大メスという謎の部位が気になるところ。

ビールを飲んでいたところ、ちょうど唐揚げが揚がったタイミングなのだそうで、ひとついただきました。

揚げたてサクサク、しっかり歯ごたえがあるも身ばなれはよく、隙間から肉汁が滴ります。

串はご主人のイチオシのボンジリ、正肉、つくねをチョイス。味付けはおまかせです。店頭に販売用の串が並びますが、店内で食べるものはもちろん火を通したばかりのホクホクのもの。それにしても、ボンジリ(左)とは思えない大きさです。ぷりっぷりですが、身もしっかりついています。

お酒はセルフサービス。焼酎やウイスキーも自分の好みにあわせて自由に注げます。ただし健康のために、お酒は適量で。

黒ホッピーを頂いていると、手羽先(大180円)がやってきました。食べている部屋の隣が仕込み部屋。窓越しでご主人の作業風景がみえます。いま、まさに捌いて仕込む真っ最中。こうして営業中もつぎつぎ”まるの鶏”を捌いて部位ごとに包丁を入れ、串打ちしたり下味をつけたりされています。

なぞの大メス。ご主人があみだした企業秘密のモツ系の串。濃いめの甘タレでいただきます。

店頭で焼き場に立っているネパール人のお兄さんのゆる接客も良いし、遅い時間は飲みながら接客してくれるご主人のゆるさも素敵。個性的なお店ですが、ハマる人はどっぷりになるはずです。

ご主人は八丁堀の鶏の専門店で修行を積み、一時期は石川台の他にも何軒も鳥肉店を経営していた方。精肉店の社長という肩書とは別に、なんとプロの和楽器奏者でもあります。

お客さんはほとんどが雪谷在住の方。大きな会議テーブルを囲んで、井戸端会議のような空間を楽しみました。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

鯰屋
東京都大田区東雪谷3-19-17鳥岡商店内
15:00~20:00(火定休)
予算1,800円