赤羽、小岩、蒲田…。東京都と隣県の堺にある街は、いずれも飲み屋が非常に充実しています。赤羽はメディアなどに多数取り上げられて、すっかり昼飲み処として知られるようになりましたが、同じ京浜東北線は蒲田だって素敵なお店は数多あります。
街の中華屋さんもアイドルタイムは居酒屋使いというお店が多く、ご隠居さんがテレビを見上げながら瓶ビールを傾けています。
「寶華園」はJR蒲田駅すぐにある人気店。創業から半世紀、二代目のご主人が老舗暖簾を受け継いでいます。レトロな店構え、いぶし銀の店内。合板に赤い化粧板を張った昔ながらのカウンターとテーブル席が並びます。
「東京大田汐焼きそば」やカレーチャーハンなど麺飯類が人気ですが、”Syupo”としてはぜひ飲める街の中華としてご紹介したいです。というのも、店内は居酒屋さんに見紛うほどのお酒のポスターが貼られています。定番の紹興酒に選択肢があるだけでなく、ボトルの本格焼酎まであります。
いらっしゃい!と迎えてもらい、15席ほどの店内でタイミングよく空いていたテーブル席へ。土曜日の午後3時。満卓です。
中華屋さんでビールを頼まなかったことは、ここ10年で一度もないかも。キリンクラッシックラガー(大ビン546円)をもらって、それでは乾杯!
キリンのクラシックラガーは、昭和40年代のキリン味を再現したもので、寶華園の創業時期と重なります。
ビールは種類が多く、キリンクラシックラガーのほかにキリン一番搾り、そしてサッポロ黒ラベル、さらに赤星ことサッポロラガーの計4種類から選べます。
酎ハイ類(346円~)もいろいろ。
チンジャオロースや八宝菜など、本格中華の一品料理が豊富にあり、それでいて懐に優しいお値段です。
炒飯は546円、おつまみチャーシュー346円、瓶ビール1本で軽く飲んで〆の食事を食べて、千円ちょっと。嬉しいですね。さりげなくアメリカンチャイニーズの「チャプスイ」がメニューにあります。
エビチリソース(728円)もお手頃価格。注文が入ってから海老を揚げ、目にも留まらぬ速さで他の注文もこなしつつ、さっと手元に届きました。ボリュームはしっかり。ソースが馴染んだ千切りキャベツもビールのお供になります。
酢豚(619円)も具だくさん。ちょっぴり濃い目の味は、お酒好きにはちょうどよいです。甘酢あんをたっぷりまとわせていただきます。
緑茶割り(346円)。焼酎の濃さはほどほど。厨房から聞こえるフライパンの音、ながら観のテレビの音声、外を行き交う電車の音、商店街の喧騒、それらの音もおつまみにして、すいすいと酎ハイが進みます。
大ぶりなシューマイ(5個400円)。豚肉が詰まってもっちりした食感。ザーサイ(228円)をもらって、もう一杯。
それにしても、この時間にも結構なお客さんの出入りがあります。満席になる前に、さっと飲みきって席を次の方へ。近隣は大衆割烹に立ち飲み焼鳥に、鰻の酒場と、個人経営のほっこりするお店がいくつもあります。さあ、このあとも楽しみです。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
寳華園
03-3734-4440
東京都大田区蒲田5-10-1
11:30~22:30(日定休)
予算2,000円