町田『柿島屋』桜肉の銘店は、歴史とこだわりが味の秘訣

町田『柿島屋』桜肉の銘店は、歴史とこだわりが味の秘訣

2019年8月5日

町田で最も古くから続く飲食店「柿島屋」は、1884年(明治17年)の創業です。ちなみに、皆さんお馴染みの聖獣”麒麟”がトレードマークの「キリンビール」の発売が1888年(明治21年)ですから、その歴史は飲食店としては驚くべきものです。

1859年(安政6年)の横浜港開港により多くの生糸が輸出されるようになりました。そのとき、関東一円の生糸の集積地となった八王子から、港のある八王子への輸送ルートとして整備・強化されたのが浜街道・神奈川往還(現在の町田街道に近い)です。

当時はまだ物流の主役は荷馬車で、そこで活躍したのが馬喰の業者です。

そう、お気付きの通り、明治期創業の柿島屋は、そんな荷馬車の馬を扱い、料理として提供したのが原点です。

日本のシルクロードと呼ばれていた浜街道ですが、横浜鉄道(現在のJR横浜線)の開業によって交通の主役は交代。柿島屋は、馬喰から馬肉料理屋となりました。近代にはいり町田はそんな鉄道によって大きく発展し、柿島屋も大いに賑わうことになりましたから、感慨深いものです。

平日は16時オープン。土日祝は正午から通しで営業し、早い時間から常連さんたちで賑わいます。

現在の店舗は関連ビルの1階で、125席もある大箱。移転前を知る常連さんによると、町の食堂風で雑多でわいわい飲んで食べていくようなお店だったそうです。

カウンター席はなく、分厚い一枚板の杉を多用したテーブルが並ぶほか、宴会用の座敷、掘りごたつの上席も用意されています。お一人様の姿も多いのでご安心を。一人の場合はテーブルを挟んで千鳥状に空間をシェアします。

ビールは昔からキリンラガー。昭和40年頃から、当時はまだ珍しかった樽生ビールをキリンビール横浜工場から運び入れて提供していたそうです。そんな背景に思いを馳せつつ、樽生キリンラガー(580円)で乾杯!

品書きはこれ一枚。単純明快です。巨大なジョッキで用意される生ビール大(1,000円)、瓶ビールもキリンラガー(RL・大ビン700円)です。

飲み物の注目は、書き始めが「梅割り(300円)」というところ。ヤエガキ酒造(兵庫県・播州林田)の甲類焼酎「白梅(しらうめ)」を使用しています。日本酒は定番酒に珍しい岡山・倉敷の櫻冠。白梅、櫻冠ともに、半世紀に渡って柿島屋が取り扱い続けている銘柄です。

創業時から続く変わらないメニューの肉皿(550円)や肉そば(550円)、馬肉屋の定番、馬刺しなど、料理の8割以上が馬肉を使った料理です。

最初の注文でおすすめしたい組み合わせは、馬刺し(並900円)と肉皿、そしてキリンラガー生ビール。もうこれだけで幸せです。

肉皿は馬肉の煮込みです。こんにゃく、ごぼう、ねぎが控えめに入り、大量の馬肉が盛られてきます。甘く旨味たっぷり。硬そうにみえて、ほどよい歯ごたえで肉汁が染み出すちょうどいい具合になっています。

肉皿と梅割りでちゃちゃっと済ませるベテランさんの姿もある、変わらない人気メニューです。

店頭の案内によると、神奈川や山梨で育った4歳以下のメスの馬を一頭買いをしているそう。鮮度にもこだわり、馬肉では一般的な冷凍保存は行っていないとこのこと。とろっとした溶けるような食感と、赤身なのに滲み出して来る旨さがあって、箸が進みます。

馬肉専門だけあって、冷奴も肉味噌載せです。甘辛く煮込まれた肉味噌は、ビールだけでなく、日本酒や焼酎を誘います。

おまたせしました。それでは気になる梅割りをご紹介します。珍しく、グラス、焼酎、梅エキスがそれぞれ別にやってきます。テーブルの上がにぎやかです。

梅エキスはお好みの量で。たぶん全部入れると甘いと感じるはずです。程よく風味付け程度にぽちょんと。ぶどう割りの場合は、エキスがぶどうエキスになります。

梅割り片手に肉皿を頬張る。なんとも馬力ある組み合わせです。上品な雰囲気になっても、安く美味しく度数高くのニーズに答えてくれる柿島屋です。

梅割りはほぼ焼酎のためアルコールが20度近く酔っ払っちゃう。そんなときには、サワーがおすすめ。赤と青線が入る昔ながらの酎ハイタンブラーとコダマサワー(レモン)が加わります。(セット465円)

甲類、サワー、そしてお好みでぽちょんと梅エキスを垂らせば、ここは下町ではありませんが、下町酎ハイこと、焼酎ハイボールの完成です。

割材が炭酸ではなくレモンサワーなのでいくらか甘酸っぱいのが特長です。

何度か通ってあれこれ食べ比べていますが、どれも美味しく毎回満足です。メンチ(320円/個)は、梅割り・ぶどう割りと好相性。

ウスターソースをしっかりかけるもよし。馬肉メンチそのものに胡椒や肉の旨味が詰まっているので、何もかけなくても美味しいです。

肉皿と梅割り。そして馬肉のメンチと梅割り。ね、素敵でしょ。この組み合わせ。

柿島屋といえば、馬肉をつかった「肉なべ」という方も多いです。夏でも肉なべは大人気。並が1,300円で上が1,700円。桜鍋の専門店でこの値段はとってもリーズナブルです。※写真は上一人前

二人で1人前をシェアすることが可能です。馬刺しなどあれこれ食べたいときにこれは嬉しいポイントです。

青ネギ、しらたき、ごぼう、豆腐。そして一人前でもしっかりしたボリュームの馬肉。すき焼き風の甘い味付けで溶き卵にくぐらせて頬張ります。馬肉は赤みがかっている状態でも食べられて、柔らかくジューシーな味わいを楽しみます。

一通り食べ終えた鍋は、ごはんやそばを入れて締めの一品に。メニューにある「肉そば」とは別に用意されている、鍋専用のそば玉(250円)はぜひお試しを。

稲庭うどんほどの太さがあり、コシのある蕎麦。鍋で煮込まれてもしっかりとした食感を保っています。それでいて、馬肉の旨味が染み出した汁をしっかり纏っています。

※写真は追加でネギを加えて、卵で綴るようにつくりました。

町田を代表する老舗居酒屋の「柿島屋」。大箱で美味しい料理を独り占めする楽しさも、気心の知れた間柄の飲み友達や家族とわいわい過ごす楽しさもあります。

こだわりの馬肉料理と丁寧な給仕、そしてその歴史もおつまみにして、今日も柿島屋で大満足です。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名柿島屋 (かきじまや)
住所東京都町田市原町田6-19-9 アーバン柿島2 1F
営業時間営業時間
月・火・木・金
16:00~22:00(L.O.21:30)
土・日・祝
12:00~21:00(L.O.20:30)
5月3日は、定休日です。
日曜営業
定休日
水曜日
開業時期1884年