チェコ共和国の首都プラハ。旧市街は、まるで中世にタイムスリップをしたかのような雰囲気です。今回訪ねるお店は、1843年創業の歴史あるレストラン「ウ・ピンカスー(U Pinkasů)」です。
伝統的なボヘミア料理をリーズナブルに食べさせてくれる「ウ・ピンカスー」は、地元のグルメな人たちで毎日満卓近い賑わいです。
また、このレストランはビールの歴史において重要な存在です。チェコは一人あたりのビール消費量が世界一というビールが大好きな国。そんなチェコ・プラハで、はじめてピルスナービールを提供したお店が、実はこの「ウ・ピンカスー」です。
ルネッサンス、バロック、アールヌーヴォーなど様々な様式の建物が立ち並ぶプラハ中心街は、ガイドブックに載っているような名所に行かず、ただ街歩きをしているだけで楽しめます。さらに多くのレストランやホテルが店頭にテラス席を設け、ビールを飲ませてくる。もうたまりません。
目指す「ウ・ピンカスー」はヴァーツラフ広場から石畳の路地に入りしばらく進んだ先にあります。比較的治安はよいので、一人歩きも可能です。
営業時間は午前10時から午後11時まで。ありがたいことに通しで営業しています。三階建ての建物で、一階は一杯飲みができるパブ、二階が食堂、三階は宴会などができるようになっています。
2世紀ほど前の建物でビールが飲めるということだけでも素晴らしい体験です。
チャーミングなウェイターさんにたどたどしい注文をしつつ、目当てのビールが登場です。ビールは創業時から店の定番銘柄プルゼニ・プラズドロイの下面発酵ラガー「ピルスナーウルケル」(48CZK/250円)です。
ピルゼン・プラズドロイは1842年に、ピルスナービールの元祖「ピルスナーウルケル」を登場させ、以来、世界的にピルスナーが広まっていくことになりましたが、このお店が取り扱い第一号。れでは、乾杯!
風味豊かでコクと喉越しのバランスが絶妙。飲み飽きないビールです。
内陸国のチェコは昔から肉料理と川魚が豊富。豚ひざ肉のオーブンや、カツレツなどがっつり肉料理もあれば、サラダやヘルシーな料理もあって、メニューを眺めるのがとても楽しいです。メインディッシュでも200CZK(約920円)程度と手ごろなのも人気の理由。
名物のひとつにビーフタルタルステーキ(約200CZK)があります。ウェイターさんによると「ピルスナーとタルタルステーキの組み合わせは夢見心地のよう」なのだそう。
新鮮な生の牛肉のミンチにオニオン、卵黄を和えて、胡椒や塩、パプリカパウダー、マスタード、トマトソースで味を好みの具合に調整してできあがり。
タルタルステーキは、このまま「ねぎとろ」みたいにつまむものではなくて、付け合せのパンに塗るところまでやって完成。添えられた生のにんにくをパンにこすり付けた上にタルタルステーキを載せて、いただきます。
ねっとりとしていながらも、余韻はさわやか。そこにすかさず、ピルスナーをぐっとあわせていきます。長年愛されてきた組み合わせは期待を裏切りません。
黒ビール(Black Kozel)もぜひ。なんたって、0.5Lで48CZK(約250円)ととってもお手頃なんですから。これは世界一飲んじゃうわけですね。
ステンレスの樽から豪快に一度注ぎで注がれる樽生のビールたち。ベテランの腕にかかれば、黒ビールもしっかり甘さを感じるほどまろやかに仕上がります。上下で色が異なるピルスナー&黒ビールの二色注ぎもあります。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
レストラン・ウ・ピンカスー
Restaurace U Pinkasů
+420 221 111 152
Jungmannovo nám. 15/16, 110 00 Můstek, チェコ
10:00~23:00(基本無休)
予算450CZK