八王子『多摩一』言わずと知れた名酒場、木のぬくもりに癒やされる

八王子『多摩一』言わずと知れた名酒場、木のぬくもりに癒やされる

2016年8月9日
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本日は八王子に飲みに来ています。久しぶりに降り立ちましたが、かわらず賑わいがありほっとします。どことなく、地方の県庁所在地のような雰囲気を感じさせるふるきよき繁華街が広がっています。古くは繊維街として発展しましたが、いまは大学や研究施設などの学研都市として、そしてなにより東京中心部からのベッドタウンという印象が強い。この街で飲むといえば、高尾山から下山してきたあとの”お疲れさん会”や、地元大学の教員やOB・OG会などが多いのではないでしょうか。古くから栄える街には名酒場がある、という公式は八王子にも当てはまる、今回はそんなお店をご紹介いたします。

「多摩一」は1949年創業の街を代表する古典的な酒場です。現在の店主山崎正人氏が二代目で、八王子の街の発展をずっと赤ちょうちんの側から見守ってきた八王子飲み屋街の”主”のような方。丁寧な接客と親切な対応は、これぞ酒場店主のあるべき姿という雰囲気です。

街の開発とともに、現在は北口のビルの地階にはいっていますが、それでも、「多摩で一番」というものを感じさせる立派な内装にお酒とつまみ、そして店主を慕って集う常連さんが醸し出すゆったりとしたオーラが心地よい名店です。

20年ほど前に、先代の店主の出身地、奥多摩の檜原村の木を切り出してつくったという立派な丸太の内装は壮観。柱もテーブルも椅子もまるで奥多摩の歴史ある民宿にいるかのような錯覚になります。

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ではドリンクメニューをみてみましょう。名物は瓶で熟成している焼酎で480円。日本酒は京都・伏見の銘酒「鶴正宗」という渋いチョイスがまた老舗らしくてしびれます。ビールはキリンです。

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食べ物はお刺身、揚げものから焼鳥までなんでもありますが、それぞれに歴史を感じるものが多い。とうふ料理として、独立しているのもおもしろい。豆腐屋から仕入れているというこだわりのもの。

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それでは、ビールでまずは乾杯しましょう。ニスによって飴色に輝く内装に、大びんのビールが大変良く似合います。老舗にラガー、日本の酒場の風景、ここにあり。では乾杯!

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お通しがなく、大箱でゆったり過ごせるのにビールもおつまみも安い。普段から通いたくなるこの感じこそ、大衆酒場の醍醐味。枝豆(320円)をつまみに、ラガーを飲み進めていく、身近な幸せがここに。

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昔ながらの日本酒の樽を空にして、それにニスを塗ってテーブルにした一画があります。ここは常連さんのお気に入りの空間です。

日本酒の樽をテーブルにして、豆腐料理と伏見のきりっとした本醸造をあわせて楽しむ、実にいいものです。

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店主の弟さんが厨房を担当。鮮度のいいお刺身は盛りも美しい。人気のまぐろぶつ(450円)をつまみにビール・日本酒が進みます。

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生ビール(中・550円)もキリンラガー。泡のバランス、クリーミーさ、鮮度、ガス圧、すべて大満足の生ビールが夏の暑さをわすれさせてくれます。

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お店によく顔をだしている方から教わったおすすめ、肉じゃがコロッケ(420円)は食べごたえのあるに握りこぶしサイズのものがふたつ。具だくさんで甘みのある味に、サクサクの衣がよく合います。ウスターソースをさっとかけて頬張れば誰でも笑顔になるに違いない。

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酎ハイ類も多く、樽詰めサワー(400円)はガス圧がつよくて甘すぎず、食べ物との相性もなかなかのも。瓶に入っている紹興酒も炒めものとの相性がよく、杯が進みます。

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八王子には半世紀近く続く酒場がいくつかありますが、多摩一はその中でも代表的な酒場。奥には座敷もあり、総席数は100席ほどある大箱ながら、古き好き大衆酒場のゆったりとした空気が漂っています。八王子で飲み歩くならば、まず外すことはできない名店と言えるでしょう。

地階にある大箱で、奥多摩の大木の暖かさを感じて飲む。八王子らしいお店です。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/キリンビールマーケティング株式会社)

多摩一
042-622-5457
東京都八王子市旭町7-10地階
16:30~23:00(日祝定休)
予算2,500円

店名多摩一
住所東京都八王子市旭町7-10
営業時間16:30~23:00(日祝定休)
開業年1949年