盛岡を代表するアーケード街「肴町商店街」。元気な商店街としてメディアに取り上げられることも多く、いまも80軒ほどの商店が営業中です。江戸時代からすでに商店が建ち並んでいたと言われるこの地には、歴史あるお店が多いです。
酒販店の鍵屋もそんな一軒です。創業1906年(明治39年)、世紀を超えてこの街でお酒を販売されています。実はここ鍵屋は、店内で日本酒やビールを楽しむことができる”角打ち”営業をしています。
盛岡城や盛岡八幡宮、清酒酒蔵・あさ開などの観光名所にも近く、この地を訪れた際にはぜひ立ち寄って欲しい酒飲み処です。
盛岡駅からは少し離れていますが、街の中心街である肴町へは高頻度で路線バス(岩手県交通)が結んでおり、時刻表要らずです。商業施設やバスセンターの機能が一体となった正面口。ここから少し進むと鍵屋酒店です。
赤レンガ調の重厚な建物に、老舗酒販店の風格を感じます。店先に置かれた「Kagiya Bar」の看板が角打ち営業の目印です。店内の案内では、「バーは夕方から20時まで」と書かれていますが、酒販業務に余裕があれば日中でも利用はOKだそう。
南部杜氏で知られる酒処・岩手。この地の銘酒がずらりと並ぶ圧巻の売り場の脇に、角打ちのスペースが用意されています。ワインが並ぶ棚に囲まれた、お酒好きにはたまらない場所で一献傾けましょう。
ビールはキリンハートランド、ピルスナーウルケル、そして地元岩手のお酒を中心に全国の地酒が用意されています。値段も手頃で、乾き物のおつまみと合わせても千円でお釣りがきます。お酒好きにはカフェ感覚でしょ。
グラスも用意していただけます。それでは、緑の瓶にちょっぴり特別感のハートランドで乾杯!
テーブルと椅子が用意されていて、街歩きの合間の小休憩にぴったり。ただ、居酒屋さんではありませんので、長居はせずにささっと利用したいですね。
500円の飲み比べは、品書きにあるものから好きに選べるほか、店員さんやご主人にチョイスしてもらうことも可能です。「岩手のお酒で」というお願いに、この3種を用意してくれました。
左から酉与右衛門(よえもん)県内産美山錦純米(合資会社川村酒造店・花巻)、龍泉 八重桜 純米(泉金酒造株式会社・岩泉)、盛岡復活蔵でつくる赤武(赤武酒造株式会社・大槌町→盛岡市)。少数生産で幻の酒と呼ばれているものや限定ラベル、震災から復活した蔵など、個性豊かな顔ぶれです。
日本酒に力を入れている東京のお店ならば、こう気軽には飲めなさそうなところを、グラスにしっかり注いでくれてワンコイン。
旅先の楽しみの一つ、地酒。それは産地や蔵を見て知って飲む魅力だけでなく、街の酒販店や飲食店でふらっと立ち寄って出会える楽しさにもあります。
この春は、東北へお酒を飲みに出かけてみませんか。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
鍵屋酒店
019-624-2036
岩手県盛岡市中ノ橋通1-5-25
10:00〜20:00(基本無休)
予算1,000円