京成中山「赤坂たつきち」 親娘で切り盛り、焼鳥の美味しい街の飲み屋。

京成中山「赤坂たつきち」 親娘で切り盛り、焼鳥の美味しい街の飲み屋。

2018年7月21日

船橋市本中山。関東の日蓮宗大本山である法華経寺の参道を軸にして栄えた門前町です。JR下総中山駅北口の正面から伸びる商店街は、そのまま山門へと繋がっています。いまはすっかりベッドタウンに飲み込まれているものの、歴史ある寺前らしい商店街に街歩きの楽しさを感じます。

中山といえばもうひとつ、中山競馬場の名も有名ですが、こちらは船橋市古作にあり最寄り駅も船橋法典なので別のエリアといったところです。地名は知られていても、中山には古き街並みが残っています。

そんな門前町で炭火の香りを漂わせている大衆酒場「赤坂たつきち」をご紹介します。

カウンター4席にテーブル2卓というコンパクトなつくり。今日も地元のご隠居や旦那衆、そして女性グループも酒の場を求めて集まっています。

看板料理は炭火の焼鳥。店先にはその日に打った串がケースに並び、出番を待っています。

まずは最初の一杯。昭和の空間では、昔ながらの「とりあえず生」でホッとしたい。樽生は黒ラベル、瓶ではヱビス・プレミアム・ブラックも用意しています。細かい点ですが、昔のサッポロ社の楕円に星マーク(ギャラクシー)入りの冷蔵庫が現役です。

生は470円、酎ハイ類は370円、ホッピーセットは420円です。日本酒は菊正宗です。

たっぷり入る昭和な形状のジョッキが好き。それでは乾杯!

お通しは枝豆と小鉢。今日は冷奴。とろろ昆布を載せています。ふらっと入った大衆酒場で軽い緊張の中でぐっと飲む生ビール。そのあとの冷奴。この瞬間、心がふわっと柔らかくなるような気がして、毎夜の酒場通いがやめられません。※適正飲酒のため休肝日をつくりましょう。

看板料理の焼鳥は1本から注文可能で130円。ももひな、砂肝、ヒナ皮と鶏揃い。常連さんにはせせりが人気とのこと。数量限定です。

自家製つくね。みっちり詰まった鶏挽肉は芯までじっくり火を通し、噛むとしっかりした肉汁の旨味が溢れてきます。炭の香ばしさと鶏の脂のコクが、お酒を誘います。

瓶詰めの菊正宗樽酒は老舗蕎麦屋でもおなじみのもの。升に注いでもらってきゅっと飲めばふわっといい香り。さっぱりした塩焼きに樽酒は夏にピッタリの組み合わせです。

巻物や肉詰めは150円。日替わりはオクラの肉巻きです。じっくり丁寧な焼き加減。ほどよい塩気でお酒が進み、気持ちもますます柔らかくなっていきます。

半分ではなく、まるまる一個使ったグレープフルーツサワー。割材はほとんど果汁そのものです。

炒めもの、揚げ物、〆には麺類まで、焼鳥屋と思っていたらさばの味噌煮まで置いています。さらに日替わりメニューで、例えば冬ならば牡蠣なども加わります。

春夏限定のお店自慢の料理・もつ炒め。酒場の定番であるもつ煮込みはこちらでは秋冬限定となっていて、夏はこちらに切り替わります。ピリっと旨辛に仕上げた豚モツ。レタスと一緒に頬張れば、酎ハイのペースはますます上がるはず。

最後は自家製のごま茶割りと美味しいに決まっている、炭火焼きおにぎり(500円)で満腹満足。

ご主人と娘さんで切り盛りするあったかい雰囲気の酒場。親娘の距離感がつくる酒場って、飲んでいていいものです。お二人とも接客上手で、お話も含めてお酒の肴になりました。

赤坂のたつきちという焼鳥屋で修行したご主人が、暖簾分けで開いた酒場「赤坂たつきち」。京成電車の踏切の音をBGMに、今日も中山の参道を美味しい香りと笑い声で照らします。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

赤坂たつきち
047-705-6189
千葉県船橋市本中山1丁目9−2
17:00〜23:00(月定休)
予算2,500円