【保留】新橋「酒津屋」 名古屋発、新進気鋭の大衆酒場でどて煮と一番搾り

【保留】新橋「酒津屋」 名古屋発、新進気鋭の大衆酒場でどて煮と一番搾り

2017年12月1日

新橋に名古屋の「酒津屋」ができた。と聞くと大衆酒場好きならば反応される方もいらっしゃるでしょう。名古屋の酒津屋は、栄駅地下街にあるお昼から千円ちょっとで飲める良い酒場として地元で大人気です。

名古屋の店舗は、酒津屋という創業1896年(明治29年)の大手老舗酒販卸の直営飲食店舗として、広義の意味で「角打ち」的な存在として1965年(昭和40年)開業。その後、酒販(現:サカツコーポレーション)と飲食部門(現:サカツシード)は経営がわかれるも両社は関連企業の関係です。

で、今回新橋にオープンした酒津屋はサカツシード系の酒津屋ではなく、サカツコーポレーション系のトライドリンクが手がけた店舗。名古屋の酒津屋とは源流が同じというわけです。

 

ピカピカの真新しい軒は、大衆酒場らしい風情を今風のデザインと調和させていて好印象。

店先の黒板には日本一おいしい一番搾りを目指し中という文字。一杯目ビール党として楽しみで仕方がない。お通しなし、生ビール380円、おつまみは290円と2,000円で十分仕上がる値段設定か嬉しい。

 

L字のカウンター席とテーブル数卓のちょうどいいサイズ。愛想がよいスタッフの皆さんが笑顔で迎えてくれます。

カウンター上に並ぶ品書きは、「味噌どて煮」など名古屋発の店舗らしい料理の姿もあります。

 

店長の荻原朋宏さんはドリ場を担当。キリン日本橋ビルでドラフトマスターズ・スクールを注ぎ手全員が受講済みとのこと。酒販店系の飲食店が最高の一番搾りを注ごうという意思、素敵です。クラフトビールの差別化と並行して、ナショナルビールの最高を競い合う時代が到来したように思えます。

 

生ビールはキリン一番搾り。二度注ぎと三度注ぎの二種類が用意されていると聞けば、ビール好きならばわかるはず。二度注ぎは標準的な泡載せタイプ。それでも荒い泡はスプーンで書き出してクリーム状の泡で丁寧に蓋をつくるので、霧状で極小の泡が液内に漂い美しくキリっと美味。

では乾杯!

乾杯のビールはふたまわりも大きいジョッキですが、これで600円。新橋のピカピカビールは安くておいしい。

 

あわせるおつまみは味噌どて煮。モツ料理が豊富な新橋でもドテは珍しい。濃厚な八丁味噌はビールを誘います。七味を気持ち多めにふりかけて。

 

次は三度注ぎ。勢い良くグラスのそこに当てるようにビールを落とし、時間をかけて泡をふっくらと作りつつ持ち上げていく方法。キリンシティ風といえばおわかりいただけますか。

もこもこの泡と優しい炭酸で丸く甘く感じるのが特長。同じビールでも注ぎ方次第でこんなに違うのかという体験、ここで楽しめます。

 

料理は続いて手羽先を。名古屋のお酒のお供といえばやはりこれ。パリパリの皮と甘じょっぱいタレ、胡椒の風味が効いています。名古屋で食べる味と変わらない美味しさ。

 

酎ハイもおもしろい。宝酒造の新デザインのタンブラーを使ったレモンサワーは、凍結果実。甘くなく、キリっとした味。量もしっかりあるので納得の一杯です。

 

焼鳥は串打ちしたものではなく、もも肉をまるごと。柚子胡椒をつけてさっぱりといただきます。鶏肉文化の名古屋ではこちらもお馴染みの酒の肴です。

 

酒販店ということで、お酒の一つ一つに想いがつまっています。芋と麦が選べる前割り焼酎はジョカにいれて南九州スタイルで飲めます。遠く熊本、鹿児島の思い出が蘇ります。

料理もお酒も手を抜かず真面目な雰囲気がとっても素敵な酒場「酒津屋」。新橋の新定番としてファンが増えていきそうです。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

新橋酒場 酒津屋
03-6450-1785
東京都港区新橋新橋3-17-8 第五ペリカンビル1階
16:00〜24:00(日祝休みあり)
予算2,200円