【閉業】豊洲「居酒屋にしかわ」 見た目は街中華。中身は鮪の元セリ人が営む海鮮居酒屋。

【閉業】豊洲「居酒屋にしかわ」 見た目は街中華。中身は鮪の元セリ人が営む海鮮居酒屋。

2020年7月13日

今日は変化が加速しているウォーターフロント・豊洲から、不思議な海鮮酒場をご紹介します。

豊洲は大正時代後期から昭和にかけて造成された埋立地「五号地」で、1940年頃より豊洲の名前が浸透してきたそうです。埋立地といっても、豊洲の歴史はすでに1世紀。

変貌を続ける東京でも特に変化の激しい豊洲は、いまや夢の未来都市のパースをそのまま再現したような世界になっています。そんな中に、ぽつんと残る昭和のテイストをみると、なんだか不思議な気持ちになります。豊洲駅前にある中華料理「秀華」の看板をつける建物を訪ねてみます。

見た目は街の中華屋さんですが、実はここはまぐろを得意とする居酒屋「にしかわ」というお店なのです。

 

東京メトロ有楽町線の豊洲駅。かつてここに東京石川島造船所があったことをまったく感じさせない、ガラス張りのピカピカなビルや高層マンションが立ち並びます。

 

石川島播磨重工の工場閉鎖は2002年。きっとこの中華「秀華」は、造船所などで働く作業員などで大いに賑わったことでしょう。

 

さてさて、そんな昭和の中華屋さんですが、店先には居酒屋の暖簾が。2018年に中華の店をそのまま使った開店したお店です。

 

赤い化粧板のテーブルと丸椅子が並ぶ店内は、やっぱり中華屋さんそのもの。

 

ですが、壁をみると魚のポスターが。やはりここは海鮮居酒屋のようです。

豊洲4丁目でマグロや旬の鮮魚を販売する、鮮魚販売店「まぐろ問屋 西川」の直営店。築地市場でまぐろのセリ人をされていた方が開いた居酒屋です。

 

まずはやっぱりビールでしょう。生ビールはキリン一番搾り。ジョッキ400円とリーズナブル。メガジョッキは650円。

それでは乾杯!

 

チューハイ(360円)、ウーロン割り(400円)、ホッピーセット(白のみ・セット450円)。日本酒は定番が「ばくれん」(亀の井酒造)と「作」(清水清三郎商店)という、ご主人のこだわりを感じる2銘柄と、燗酒は酒道粋人(沢の鶴)という品揃え。

 

おつまみはやはりまぐろ推し。本マグロぶつ(600円)からはじまり、刺身でホタテ、真鯛、白いか、タコ、アジなど。タイカブト塩焼き(600円)もあります。

 

こちらが定番メニュー。まぐろは、本マグロとメバチマグロ(400円)の2つから選べます。マグカツ(150円)やまぐろの竜田揚げ(400円)も気になるところ。

 

おとおしは卵焼きとたくわん。パリパリつまんでいると、お待ちかねのまぐろがやってきました。

 

あれ、私、大トロか中トロを頼んでしまいましたか。え、これが本マグロぶつですか。霜ふりの美しさはもちろん、ねっとりした切り口も非常に美味しそうです。

 

ピカピカな豊洲のレトロ中華な建物で、つやつやの本マグロトロを食べる…なんとも狐につままれた気分です。濃厚な旨味とコク、これは日本酒と合わせなければいけませんね。

 

三重県・鈴鹿のお酒「作(恵乃智)」(500円)。純米吟醸酒が500円ということにも驚きます。吟醸らしい洋梨のような香りと、ほどよい酸味。余韻の旨味、旨味もバランスがとてもよいです。まぐろと合わせるだけでなく、このままちびりと味わいたくなるくらい。

 

さてさて気になるマグロの揚げ物から「マグカツ」(1枚150円)を。

 

サクサクの衣にジューシーなまぐろが包まれています。まぐろに火を通すとパサパサ…なんてことはないです。ソースもよいですが、醤油もよく合います。

高層ビルや商業施設ばかりが目立つ豊洲、こういう庶民的なお店は貴重です。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

居酒屋にしかわ
03-36228-2045
東京都江東区豊洲4丁目4−25
17:00~22:30(日定休)
予算2,500円