中野駅から北に広がる巨大な飲み屋街。銘店が多くここに入り込むと数日は梯子し続けられそう。毎日通っても飽きないのが中野という街。飲み屋横丁をぐんぐんと北上して駅から離れても離れても続く赤提灯。そこから左右の路地に曲がってもさらに広がる赤提灯。素晴らしい。もうここで暮らしたい。(笑)
Syupoでも様々な名酒場を紹介してまいりましたが、これでもまだ全然未掲載店だらけです。取材関係なしに日常的に縄のれんの向こう側でよく飲んでいるのですが。例えば通っているお店でここ「カッパ」も紹介せずにはいられません。
同名のもつ焼き屋が荻窪と吉祥寺にもあり、その系列店になります。天下の珍味と書かれていますがみんな大好きな豚もつ焼きのお店です。「やきとん」という言葉が広まった昨今、昔からの言い方の「もつ焼き」という言葉に改めて渋さを感じますが皆さんはいかがでしょう。
キレイな店先、パリっとした藍色の暖簾。この構えだけで「銘店だ」と見極めができます。
左側に焼き台とカウンター、右にはテーブル席。カウンターは常連の年配の男性がピンできて渋く老酒を片手にもつ焼きを楽しんでいます。テーブル席は会社帰りのサラリーマンやカップルの姿があります。
「そちらの席どうぞ」という声を聞くか聞かないかのタイミングでさっと席についてそのまま「大びん」と注文。カッパでは席についたらドリンクを素早く頼むべし(笑)
生ビールの取り扱いはなく大びん(570円)か小びん(380円)のみ。とととっと注いで、では乾杯!
もつ焼きは14種類と品揃えが多くて100円均一。おっぱいやヒモなどあまり見かけない部位もいくつか。適当におまかせで注文もできるし、一本ずつ焼き方の指定も可能です。1本あたりはさほど大きくはないのですが焼き方が丁寧でもつそのものも美味しいので100円という価格設定は実にリーズナブルに感じます。
店のつくりがもつ焼き店の一般と比べるとゆったりとした作りになっているので、新聞を広げながら飲む人もいれば、ブロードウェイで買ってきた大きな荷物をもった人もゆったりと過ごしています。
串はまとめて焼きあげるのではなく1種類ごとだしてくれるので、一度に注文しても冷めることがない。それなりのお店ならば当たり前ですが、1本100円でこういう対応は結構珍しいです。
シロのタレかタンの塩がお気に入り。店で串打ちした丁寧な下地ごしらえが施されたもつ焼きはやっぱり美味しい。
ピーマンなども100円。野菜は串のほかには漬物しかありません。
さらにお箸もないので、串の本数で勘定がきまるシンプルな仕組み。いまどきお箸を置かないもつ焼き屋も珍しいですよね。
日本酒は黄桜か白鶴。あとは電氣ブランもあります。サワー系がないので、そういうのが当たり前と思っていると何を飲もうか悩むかも?昔からの酒場って確かにドリンクメニューはかなり今と比べれば少ないですもんね。ここはビールで進めるか、日本酒をきゅっと飲むか、はたまた老酒というカッパらしい変化球を味わうか、そういう気持ちでどうぞ。
一番搾りスタウトの小びんがあるので、一番搾りとハーフ&ハーフにして飲むのもオススメ。
非常に硬派なもつ焼き店カッパですが、昔は焼台に渋い顔の大将が睨みをきかせていたので今以上にピンと張り詰めた空気でしたが、いまは結構優しい感じ。とはいえ今風に妥協をしない古き好き酒場らしさが保たれていてそれがここの魅力。中野でもつ焼きというと選択肢が豊富ではありますが、歴史あるカッパで飲むひとときもぜひお楽しみください。
ごちそうさま。
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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
カッパ 中野店
03-0123-4567
東京都中野区中野5-55-16
17:00~22:00(日祝定休)
予算1,600円