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地元の酒場を発掘お手伝い!ということで、今年に入ってからターミナル立地だけでなく、ベッドタウンの駅前酒場のなかから「ここは!」というお店をご紹介します。私が常連になっている都心部各店と同様に、足を運ぶ価値のあるお店だけをご紹介していきます。地元の飲兵衛さんや酒造・酒販業界などの各方面のご協力をいただきながらの取材ですので、持つべきものは酒の友という感じで(笑)
さて、やってまいりました東武練馬。駅前の旧川越街道を通りすぎて、こんなに駅から離れてお店あるの?と不安になってきたところで、見えてきました渋い藍色の暖簾がかかる「棟梁」。贅沢に海鮮いろいろ食べて飲むならばココ!ということで、早速おじゃましましょう。
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店内は昔ながらの居酒屋な雰囲気。まずは腰掛けて、悩むことなく生ビール(500mlジョッキで570円)。なにはともあれ、乾杯しましょう!
昔のサッポロのデザインの「赤星」ジョッキが使われていることからもお店の歴史がわかります。長く続くお店は地元に愛されているなによりの証拠。よーく磨かれたディスペンサーには黒ラベルの20L樽が繋がれているので、お店の繁盛具合もこんなところから見えたり。
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よく冷えたジョッキ、暑いなか歩いてきた先でこういうのがでたら、もう涙が出ちゃう!あらためて、二杯目で乾杯。
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モロヘイヤとしらすの小鉢が突き出しです。お出汁の使い方が上手。このお店に案内してくださった東上線界隈に詳しい方によると、ここの料理はどれも割烹クラスなのだそう。都心にわざわざ食べにいかずにも近辺でこんなお店があるというのは素晴らしい。
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そんなお話を聞いてしまうと、もう期待せずにはいられません。料理人の技が感じられるであろうしめ鯖を注文。これはまた、盛り付けもキレイで味付けもちょうどいい。エッジがピシっとたっているレベルの高い一品で、最初からノックアウト。
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くじら料理のお店として昔からやられているそうで、今も品書きには随所にくじら料理の名前が。そうときけば、頼まないわけにはいかないでしょう、特上くじらの刺身(870円)。プリっとしていてサシの入った絶妙な脂が口の中でとろけるように広がります。
一品ずつの盛りがしっかりしていて、価格もそれなりになるので、ここは3人以上で来るのがおすすめ。予め予定が決まっていれば、予約しておけば豪華な盛り合わせも用意してくれるそうなので、地元のちょっとした記念日に魚をおもいっきり食べるぞ!というときに利用したい。
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生ビールから瓶ビールに切り替え。どちらも黒ラベルですが、最初にごくごく飲むのは生、そのあとはちびちびと瓶ビールを傾けるのが一番しっくりする飲み方だと思います。ジョッキ同様、これまたクラシカルなサッポロビヤタンブラーがでてきて嬉しいな。
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常連さんのイチオシ、カニクリームコロッケ。お店の自家製、中をあけてみてからのお楽しみ…ということ。見た感じは普通ですよね。
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中をあけてびっくり。クリームよりも多いのでは!?と思うほど、ぱんぱんにつまったズワイ蟹の身。さすが海鮮で長く愛されている老舗。自家製というからには、やはりこれくらいサービスしないとということでしょうか。
いろいろな酒場でコロッケを食べてきていますが、最近は惰性で食べていることが多いんです。これは、久しぶりに「おおお!」となる逸品でした。ほかにもカニグラタンなども人気だそうで、これは何度も通っていろいろ食べ比べてみないと。
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帆立貝のタルタル焼き(680円)。これがまた絶品。ホタテの身がたっぷり乗ったおおぶりホタテ殻にみりんベースのタレとマヨネーズで味を整えた、海の家的な料理。ホタテの旨味がしっかり感じられ、ビールとの相性も抜群です。
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本日のメインディッシュ。くじらステーキ(1,800円)!刺し身用のくじらをたっぷり、にんにくの効いた特製タレで味付けし、レアな状態で焼き上げています。これにあわせるのは、日本酒。初代地酒ブームのときに知名度を高めた日本酒銘柄を多く揃えていますが、ここはあえて愛飲酒の菊正宗(400円)をぬる燗で。口の中に残るくじら独特の旨味を追いかけるようにキクマサをきゅっと。幸せな瞬間です。
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お店の雰囲気は大衆酒場ですが、なるほど料理は確かにハイクラス。普段から大人気のお店で、満席になることもしばしば。
温かい雰囲気のご夫婦がお二人で切り盛りしているお店ですので、そんなほっとする雰囲気もこちらの魅力。季節によってクエ鍋が登場するなど、魚系で飲むなら一度はここを体験してみてほしいお店です。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 棟梁 |
住所 | 東京都練馬区北町2-19-9 |
営業時間 | 営業時間 17:30~22:00 日曜営業 定休日 月曜日 |