創業20余年になる石神井公園の人気店。飲食の道一筋の大将がつくる料理は、どれもアイデアと技が詰まった逸品揃い。住宅街の酒場らしい、ご近所付き合いのお客さんたちが集まる町の集合場所的な存在です。
目次
いい酒場があると、街は豊かになる
はんこで押したような街は、どんなに生活に便利でも、本当の意味で豊かな暮らしといえるのでしょうか。大手企業の店舗が整然と並ぶ明るく清潔で整った街は確かにいいものです。でも、毎日そんな場所にいたら筆者は息が詰まりそうに思います。
更地から建てられたビル群ではない、横丁や旧街道、畑のあぜ道がやがて商店街や飲み屋街になった場所。入り組んでいて誰もコントロールしていない街。
職場と家の間にふらりと立ち寄りオンをオフにする酒場は、そういう場所にあるのではないでしょうか。普段ピシッとしている人も、そこではフワフワとした気持ちになれる――。今回訪ねた『須みず』はそれを改めて感じる一軒です。
外観
西武池袋線・石神井公園駅。急行も停まる練馬区の拠点駅のひとつです。駅の高架化や駅前広場の整備が進行中で、駅前の姿は大きく変わりました。かつて商店街を電信柱スレスレに走っていた路線バスの姿はありません。
そんな石神井公園ですが、駅前の再開発エリアを一歩外にでると、変わらぬ街並みがありホッとします。
『須みず』は、そんな変わらない石神井公園の一画で約25年続いてきた人気の居酒屋です。飲食一筋の大将が厨房に立ち、お手伝いの皆さんと一緒に、手頃な価格で美味しい料理を食べさせてくれます。
内観
厨房に向いた厚い板のカウンターと、その対面にテーブル席。最もポピュラーな酒場のつくりです。
店内は全体的に飴色で使い込まれた味のある雰囲気。それでいて清潔感もあり、家族や友人と一緒でも喜んでもらえるのではないでしょうか。実際、ご夫婦など家族連れの姿が多いです。
壁に多数貼られたレッテルからわかるように、推しは日本酒です。いろんな地酒が揃っています。
品書き
お酒
- 生ビール(キリン一番搾り)中:528円
- 瓶ビール(サッポロラガー)中瓶:605円
- レモンサワー:418円
- バイスセット:390円
- ハイボール(ホワイトホース):418円
- 定番酒(高清水)小:495円・大:770円
- 真澄:737円
- 佐久の花:737円
- 天明:737円
- 陸奥八仙:737円
本格焼酎もいろいろと揃っています。甲類のキンミヤ焼酎は600mlボトルで1,518円。
一部のもつ焼き店グループやその系譜では大定番の「ふるふれ抹茶」:580円を発見。
料理
- 名物は海老のふかふか揚げ:605円。創業時からのメニューとのこと。
- 若鶏竜田揚げ葱生姜三杯酢がけ:660円
- 手羽先塩焼き:495円
- ポテト明太子チーズ焼き:715円
- チーズ入り肉詰めキンチャク焼き:550円
- 納豆キツネ焼き:495円
そのほか、日替わりメニューには…
- 特製 マグロのづけ:715円
- カンパチの刺身:715円
- 塩サバ焼き:528円
- 赤魚の煮付け:528円
- 豚キムチ豆腐:638円
- ぶた肉どーふ:528円
- やきとん:528円
- 地鶏もも肉の網焼き:715円
- 豚角煮のタレかけ:880円
早くて美しい、オリジナル料理の数々
サッポロラガービール(605円)
まずは赤星ことサッポロラガービールをもらって、乾杯!
お通し(350円)
この日のお通しはブロッコリーとジヤコのサラダ。柿やりんごなどのフルーツ入。
特製 鮪のづけ(715円)
日替わりのホワイトボードから、漬けマグロを選びました。みてください、この美しい盛り付け。マグロのねっとりと濃厚な旨さが漬けでより強調され、より力強いおつまみになっています。
キリン一番搾り生ビール中グラス(528円)
これはたまらないと思わずビールを追加。二杯目は銘柄を変えてキリン一番搾りにしました。鮮度バツグン、注ぎ方も丁寧で非常にレベルの高い生ビールです。
栃尾の分厚いあぶらあげ焼き(448円)
栃尾揚げなど定番の料理もしっかり美味しいです。薬味しっかり、焼き加減ばっちり。
坦々グラタン(660円)
漬けマグロにつづき、坦々グラタンも飲兵衛の心を鷲掴みにするような逸品でした。
名前の通り坦々麺風のオリジナル料理です。ひき肉を、生姜、豆板醤などで和え、クリームソースといっしょにマカロニにかけてオーブンで焼いたもの。白ネギのアクセントも素敵です。自宅でも真似してみたくなります。
バイスサワー(セットは390円)
ピリ辛味とチーズが効いた酒場の創作料理には、甘いようで甘くないバイスがぴったり!すっきりとした味わいで、気持ちよく酔いが進みます。
お隣で飲んでいたご夫婦は、石神井公園近くで暮らしていたという方。いまは別の街で暮らしているそうですが、石神井公園の飲み屋が好きで、わざわざ電車に乗って飲みに来ているのだそうです。
ベッドタウンにある腕のいい大将の店。こういう店があると、地域のコミュニティの輪が広がりますし、なにより毎日の暮らしがちょっと楽しくなりますね!
ごちそうさま。
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(取材・文・撮影/塩見 なゆ Special Thanks/ブログ「喜酔人は今日も直行直帰!」)
店名 | 酒菜 須みず |
住所 | 東京都練馬区石神井町3丁目18−16 ラベンダーハウス |
営業日時 | 17:30~23:00(日定休) |
予算 | 2,000円 |
創業 | 1997年 |