【閉店】東武練馬「ひびき庵」 東松山の特上かしらを伝統の味噌で

【閉店】東武練馬「ひびき庵」 東松山の特上かしらを伝統の味噌で

2015年8月17日

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日本のやきとん文化といえば、戦後の闇市をきっかけに広がった東京のほかに、室蘭や今治などが有名です。そして、言うまでもなく関東の有名どころといえば東松山です。東松山駅前は100店舗近いやきとり(やきとん)屋が軒をつられ、まさに串焼きの専門店街といった雰囲気を醸し出しています。東松山がやきとんの街になったのもやはり戦後の食糧難から。

ここで東松山やきとん豆知識。

軍事工場と桑畑が広がっていた東松山も戦後、東京から離れて郊外に移り住む人が増えて人口が増加しましたが、街にあったやきとり店では鶏の入手がまだ不安定だったのだそう。ただ、偶然にも近くに食肉センターがあったことから、豚のモツである「かしら」が比較的容易に入手できることができて、いまの「やきとり」と書いてもつ焼きを出す東松山の基本が確立されました。

特長としては、やはり味付けにあります。塩・タレを選ぶ一般的なものではなく、塩が基本。これにたっぷりの辛子味噌をお客さん自身で塗り上げて食べるという方法。シロとかハツとか、東京のそれのように種類が豊富ではなく、基本的にカシラ一種を食べ続けるスタイルなのもおもしろい。

 

そんな東松山のカシラを食べられるお店が、同じ東武東上線でだいぶ都心に近づいた東武練馬にあります。東松山で人気のお店「やきとりひびき」の支店「ひびき庵」です。さっそく覗いてみましょう。

 

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まずは飲み物を。チューハイ300円とリーズナブルなのが嬉しいですが、やはり一杯目はビールから。本店と同じ黒ラベル(360円)を置いています。生ビールも安いでしょ。では乾杯!

瓶ビールは赤星なので、こちらも要チェック。

お通し(200円)が大根おろしなのは、よくある焼き鳥屋と同じですね。枝豆が入っていて、串に載せるだけでなくそのままでも十分素敵なおつまみです。

 

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おつまみは一品ものがほとんど270円均一なので、お財布を気にせずにあれこれ頼めます。チーズワンタン(270円)をおつまみに頼んだカシラが焼きあがるのを待ちましょう。

 

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やきとり(やきとん)は特選かしら180円を筆頭に、やきとん、焼き鳥がずらり。盛り合わせ(1,080円)を頼んで、お通しにビール・酎ハイ飲んで二千円でお釣りが来る計算。

 

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ひびきのやきとりはすごい。何がすごいかって、ベルトコンベアのような串の搬送機械があり、ここにやきとりを差し込むと、ぐるりと熱源のまわりを流れて焼きあがるという独特な焼き台があります。

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ここに差し込んでおけば、最後の微調整だけを手作業で焼くだけ。なんとも効率的。丁寧に炭火で気合を入れて焼いてくれるスタイルも好きですが、がしがしと食べるならばこういうのもありですね!

 

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180円と立ち飲みやきとりの相場からすれば高価ですが、ご覧のとおり立派な大ぶり串で登場します。つぼに入った辛味噌をたっぷりと載せていただきます。

うん、肉汁と味噌の旨味が混ざり、辛味がきいてすっきり美味しい。これにビールや酎ハイがあわないはずがありません。

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東松山の本店のほかにも、高坂や指扇などの埼玉県に「ひびき庵」を展開していて、都心部でも豚や鶏を看板商品とした居酒屋を多数展開されています。

大手町の全や連(全国やきとり連絡協議会)というお店にも出店していまして、東松山の味を各地に広めるアンテナショップ的な展開もされている「ひびき」。

 

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創業者が養鶏養豚場を経営していたことから、お肉に対するこだわりが強い。いまは店舗数を増やしていますが、本社や加工場も川越にあり、東上線沿線に根付いた外食チェーンとして成長されています。

東松山まで食べに行かなくても、本場の雰囲気がたのしめる「ひびき庵」、千円ちょっとで楽しまれてみてはいかがでしょう。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

やきとりひびき庵 東武練馬駅前店
03-3933-7797
東京都練馬区北町2-37-2
15:00~23:00(不定休)
予算1,900円