王子は昔から工業が盛んな街で、となりの赤羽もふくめ夜勤明けの人たちを飲み込む朝酒酒場が多いです。いまは宅地化で交代制の製造現場は少なくなりましたが、タクシーや鉄道、消防、医療といった眠らない仕事をされている人たちが足繁く通っています。
王子駅界隈の飲み屋でもっともスタートの早い山田屋はなんと7:30から開店します。口開けと同時に入ったことが一度だけありますが、まるで夜の酒場のような光景がそこにあり、「夜勤お疲れ様ー」なムードがなんとも心地よかったです。
お昼まで朝酒営業を続け、中休みを経て16時になると夜営業がスタート。さぁ本番だとばかりにホワイトカラーの人たちがネクタイをゆるめて突入してきます。広い店内は18時頃には満席に。相席ごめんで詰めあわせても入れなくなるほど。
山田屋の魅力はなんといっても、30年間時計が止まっているかのような世界。内装もお酒もおつまみも、そして各設定まで昭和のまま。100円から350円までのメニューが豊富で、あれこれをカフェテリアの小鉢感覚で注文していっても、飲み代含めて2,000円でお釣りが来るのだから素晴らしい。
飲み物は基本は瓶ビールではじめてホドル焼酎か日本酒へと流れるのが常連の”基本動作”。
瓶ビールは空いているときは自分で冷蔵ケースに取りに行き、自分で栓抜きをするセルフスタイルが楽しいのですが、混んでくるとあまりチョロチョロ歩くと邪魔になりそうでお店の方にお任せしましょ。
ということで、ビールで乾杯!ふぅー、ガツンときますね!
おさしみは310円。今日はコハダと紋甲イカを肴に。お刺身をリーズナブルに提供するお店が昨今増えてきましてこの価格設定に驚かなくなりましたが、スーパーのお惣菜と比較しても負けないというのは実はスゴイことで。
さて、つづいて日本酒に。日酒販系の「八重寿」が定番ですが、その他老舗地酒もひと通り揃います。この昔ながらのガス式お燗器は、上部にお酒を流し込むと注ぎ口からお燗酒がでてきまして、これが見ていて楽しいです。ちょっと前までは都内各地でも見られた機械ですが、いまはもう山田屋や銀座升本など極わずかになりました。
季節感のあるタラの芽天ぷら。たっぷりの大根おろしも嬉しいですね。
さて、ここの酎ハイは他の酒場とちょっと違います。なんと甲類ではなく乙類で作るのです。レモンをきゅーっと絞っても、味はやっぱり乙類ソーダ。好きな人にはたまらない!?逆に下町酒場に慣れていると、どうも甲類じゃないと落ち着かない(笑)
氷含めていりますが、グラスの7割りに焼酎が入っていることに感動しながら、スイスイと飲んでいきます。
昭和の酒場といえばはんぺん焼きは外せません。お腹にたまらず、それでいてお酒との相性もイイ。子供の頃ははんぺんが苦手でしたが、いつからかな、すっかりオヤジ味覚が好きになっています。
山田屋といえば?と質問をすると、「天井が高い」と返してくれた酒場好きの友人がいますが、まさにその通り。酒場は箱が大きいとビヤホールのような開放感ができていいもんですよね!
席数も多く、皆さん思いもおいに飲んでいる様子に「ここは酒飲みの天国か」(笑)
メニュー豊富で庶民派。きばらず飲める個人経営の大衆酒場、たまりませんねー!
王子はお花見シーズンが過ぎて日常が戻ってきています。立ち飲みの人気おでん店などはしごするのも楽しい街です。たまには飛鳥山とは反対側の飲み屋街を散策されてみてはいかがでしょう。
ごちそうさま。
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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
山田屋
03-3911-2652
東京都北区王子1-19-6
07:30~13:00 16:00~21:00(日祝定休)
予算1,500円