世界最最大級の古書店街であり、出版社が立ち並ぶ本の街、神保町。集英社のすぐ隣に店を構える『今荘』は、明治30年創業の鰻屋さん。メニューはうな重のみ。戦前建築の和洋折衷のレトロな建築の中が現役で、建築ファンにも注目の店です。今回は、歴史ある畳敷きの入れ込み座敷で楽しむ正統派うな重をご紹介します。
震災と戦火を乗り越えた東京の味

神保町駅や九段下駅からほど近い専大前交差点のそば、近代的な出版社の本社に囲まれて異彩を放つ木造3階建ての建物が現れます。1897年(明治30年)に牛鍋店として創業した『今荘』です。

現在の建物は1933年(昭和8年)に建てられたもので、角地の隅切りを活かしたファサード、唐破風の玄関、最上部の大きな丸窓など、和洋折衷の独特な意匠が目を引きます。

空襲を逃れたこの建物は、平成15年に千代田区景観まちづくり重要物件にも指定されました。

店内に入ると、女将さんが元気に迎えてくれます。厨房を囲むカウンター席と、重たい一枚板の机が並ぶ入れ込み座敷というつくりで、一人でも座敷に通されることが多いです。
空間を広く使った木造家屋の懐かしい雰囲気にホッとする。千代田区ではなく、どこか渓流沿いの川魚料理屋にやってきたような気分です。それでは、さすがは神保町。場所柄、古くから文人墨客や出版関係のファンが多く、現在も和やかな雰囲気の中で編集者たちが談笑する姿を見かけます。

メニューが一つだけのため、のれんをくぐり席に着いた瞬間から調理がスタート。ランチのピークを過ぎた13時以降に訪れると、比較的静かに過ごせます。夜の営業はありませんので、昼飲み一択ですね。
メニューにはない瓶ビールとうな重一本勝負
席に着くとご飯の量だけを聞かれます。品書きにはありませんが、瓶ビールをお願いしました。
アサヒスーパードライ

よく冷えたアサヒスーパードライの中瓶をもらい、手酌でグラスを満たして乾杯。丁寧にタレにくぐらせて焼き上げる香りがここまで漂ってきます。これだけでビールが空いてしまいそう。
肝吸いと香の物

15分ほどすると、女将さんがうな重一式を運んできてくれます。

まずは肝吸いから。お椀の中には立派な肝が2つも入っており、三つ葉と柚子の香りが上品に立ち上ります。

黄色いたくあんと浅漬けの香の物も、口の中をさっぱりとさせてくれる良い箸休めです。
うな重

少し蒸されたかな、というところで、いざ、お重の蓋をパカッと。
三河産など、付き合いのある問屋から仕入れている国産鰻は、照りが美しく脂がしっかり乗った状態。

浅めの蒸しと焼きで、プリッとした食感が残る仕上がりです。

砂糖を使わず醤油とみりんのみで代々継ぎ足されてきたタレは、辛めでキリッとした味わい。

かために炊かれたパラパラのご飯にタレがよく染み込み、箸が止まらなくなります。

期待どおりの正統派のうな重。やはり食通の作家が巡り歩いてきた千代田区は微食の宝庫ですね!
神保町のオアシスで過ごす贅沢な時間

千代田区の歴史ある名店でありながら、うな重は3700円と良心的な価格設定を続けているのも嬉しいポイント。地元の人や常連客がふらりと立ち寄れる大衆鰻が残っています。営業時間は、14時までですが、それくらいに店に入れば間に合うような営業をされています。

神保町散策の合間に、街の歴史と継ぎ足されてきたタレと技をつまみに鰻屋で昼飲みされてみてはいかがでしょう。
| 店名 | うなぎ 今荘 |
| 住所 | 東京都千代田区神田神保町3丁目15−1 |
| 営業時間 | 11時30分~14時00分 土日定休 |
| 創業 | 1897年 |
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