文教地区として知られる本郷三丁目。東京大学のほど近くに店を構える『蒲焼 石橋亭』は、明治時代から130年以上続く老舗の鰻専門店です。紀州備長炭で焼き上げる静岡県吉田町産の鰻は、ふっくらとして極上の味わい。今回は、歴史ある街の風情を感じながら、こだわりの日本酒と良心的な価格の特上うな重を肴に、ゆったりとした晩酌の時間を楽しむ大人の酒場使いをご紹介します。
130年以上の歴史が息づく本郷の老舗で、心安らぐひとときを

本郷三丁目駅から徒歩5分ほど。湯島や不忍池からも徒歩圏内ですが、本郷台地特有の高低差がある地形を抜けた先のレトロなビル1階に『蒲焼 石橋亭』は静かに佇んでいます。

創業は1895年(明治28年)に遡り、現在は4代目の店主が伝統の味を守る家族経営の鰻屋です。
店内は隅々まで清掃が行き届き、ピカピカに磨かれた調味料入れや冷蔵庫から、店主の誠実な姿勢が伝わります。

客層は近くの大学の教員や学生、長年通う地元の常連客、そして鰻を肴に一人静かに杯を傾ける黒帯のノンベエまで多種多様。個室や小上がりも完備されており、地域の会合から一人飲みまで幅広い用途に応えてくれます。

鰻は、静岡県吉田町産の良質な国産鰻。焼き方は創業時からからず炭火にこだわり、紀州備長炭を使用しているとのこと。背開きで焼きの途中に蒸す伝統的な関東風の調理法を採用。
白焼きにしてからしっかり蒸しを入れ、長年継ぎ足されたタレをまとわせて焼き上げ完成。お米は本郷の米店から仕入れた厳選米をガス火の羽釜で炊いているそうです。時代を超えて愛される職人の手仕事を、気取らない大衆的な雰囲気の中で味わえるのが魅力です。
待つ時間も最高の肴!天狗舞のお燗と極上「特上うな重」

席に着き、まずは「天狗舞 山廃純米」のお燗を注文しました。お通しとして提供される昆布と椎茸の甘煮を少しずつ味わいながら、厨房から漂う香ばしい煙を肴に杯を進めます。鰻屋において注文から焼き上がるまでの時間は、酒飲みにとって豊かな時間。

しばらくして運ばれてきたのは「特上うな重(4,200円)」。昨今の価格高騰のなか、特上クラスがこの価格帯で提供されるのは驚きの良心価格です。

漆塗りの重箱を開けると、見事な飴色に輝く蒲焼がご飯を覆い尽くしています。

紀州備長炭で丁寧に焼かれた身は、ほどよく脂を保ちつつ口のなかでとろける柔らかさ。さらさらとした甘さ控えめのタレが、鰻本来の力強い旨味を見事に引き立てます。

少し固めに炊かれたご飯は、タレや鰻の脂と混ざり合うことで完璧な一体感を生み出すよう緻密に計算された仕上がり。重箱のなかで蒸されてご飯と馴染む過程も、美味しさを構成する要素の一部になっています。

卓上には追加用のタレや粉山椒も常備。タレの染みた熱々のご飯に直接山椒を振ることで、鰻の風味を損なわずに爽やかな香りを楽しめます。

肝吸いはうな重ならすべてについてきます。出汁の効いたおつゆをお腹に入れてほっこり。

麦焼酎「中々」のソーダ割りを追加し、爽快な余韻とともに大満足。いやいやそれにしても、ここは安くて美味しい。
街の食堂としての矜持を保つ、頼れる名店

常に質の高い国産鰻を提供しながら、うな丼は1,900円から用意する良心的な価格設定を維持し続ける『蒲焼 石橋亭』。支払いは現金のみ、家族で切り盛りされているのも、手頃な価格を守るための努力だと思います。

開店直後は静かだった店内も、時間が経つにつれて予約客や常連客で満席に。混みすぎず静かすぎない絶妙な空気感は、長年地域に寄り添い続けてきた老舗の証拠。仕出しやお弁当も対応されていて、本郷の街の食事処としてしっかりと根付いています。
老舗のつんけんさを感じさせない温かな接客と、確かな職人技が光る逸品料理。本郷散策の締めくくりに、極上の蒲焼と美酒で満たされる夜を過ごしてみるのも良い選択です。
| 店名 | 蒲焼石橋亭 |
| 住所 | 東京都文京区本郷3丁目24−3 石橋ビル |
| 営業時間 | 11時30分~14時00分 17時00分~21時00分 日祝定休 |
| 創業 | 1895年 |
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