富士の雪解け水が育む「うなぎ」が有名な静岡県三島市。ですが、駅前にはもう一つの名物丼があります。JR三島駅の南口ロータリーすぐという、まさに“駅前”に構える『お食事処 みしまや』。丼からピンッと立ち上がる「あなご天丼」は、その見た目のインパクトと美味しさで、多くの人を惹きつけています。
国鉄時代から続く、三島の「駅前食堂」

お昼時、伊豆箱根鉄道(いずっぱこ)に乗って三島駅に戻ってきました。三島は昔から国鉄・JRの幹線が通る拠点駅。かつては、こうした拠点駅の前には必ず、国鉄マンや汽車旅をする人たちを受け入れる「駅前食堂」がありました。
『みしまや』も、そんな古き良き時代の雰囲気を今に伝える一軒です。駅徒歩1分という絶好の立地に、個人店が今も元気に営業されているのは嬉しい限り。

店内は昭和の空気が流れる、どこか懐かしく落ち着いた空間。カウンター席にテーブル席、小上がりの座敷もあって、一人客から家族連れまで幅広く対応しています。家族経営ならではのアットホームな雰囲気も心地よいです。
圧巻のビジュアル、あなご天丼

まずは樽生ビール(アサヒスーパードライ)をお願いして、喉を潤します。旅先で、しかもお昼から飲むビールの味はまた格別ですね。

そして、目的の「あなご天丼」(お新香・小鉢・みそ汁付)が運ばれてきました。
これは……すごい!思わず声が出るほどの、圧巻のビジュアルです。店内に貼られていた紹介記事の「ピンッ!と立ち上がった」という表現がまさにぴったり。

丼の中央から天高くそびえる長い穂先は、なんとアスパラガス。そして主役の大きな穴子の天ぷらが2本、丼からはみ出すように盛り付けられています。
さっそく頂きましょう。衣は軽くサクサクとした食感。対照的に、中の穴子の身は驚くほどふわふわで、しっとりとしています。甘すぎず辛すぎない、絶妙な塩梅のタレがご飯と天ぷらを見事にまとめ上げています。
味の決め手は「梅干し」の天ぷら

この天丼、主役の穴子以外にも名脇役が潜んでいます。かぼちゃや茄子などの野菜天に混じって、衣の中から現れたのは、なんと「梅干し」。
店内に掲示された記事によれば、これは「梅干の天ぷらはできないの?」という常連さんからのリクエストで生まれたものだそう。
この梅干しが、実に見事な仕事をします。穴子の旨味とタレの甘みが広がった口の中に、梅干しのキリッとした酸味と塩気が加わる。この酸味が揚げ物の油分をすっきりと洗い流し、完璧な口直しになるのです。だからこそ、このボリュームでも最後まで飽きずに美味しく食べ進められます。
穴子を尻尾から、次に梅干し、そしてアスパラでさっぱりと。計算された味の変化が楽しい一杯です。
とんかつから続く、揚げ物へのこだわり
実は『みしまや』、元々はとんかつ専門店だったそう。今でも神奈川県の銘柄豚「やまゆりポーク」を使ったとんかつ(とんかつ定食160g:2,300円)は人気の定番メニューです。
とんかつで培われた揚げ物への確かな技術があるからこそ、この見事なあなご天丼が生み出されたのでしょう。他にも餃子やかつ丼など、町の食堂らしいメニューが揃い、地元の人に長く愛され続けている理由がわかります。
店舗詳細

| 店名 | お食事処 みしまや |
| 住所 | 静岡県三島市一番町17−60 |
| 営業時間 | 11時00分~15時00分 17時00分~19時30分 |
| 創業 | 1937年 |
![Syupo [シュポ]](https://syupo.com/wp-content/uploads/2022/01/syupo-logo.png)
