都立公園などの大きな都市公園には、その経緯から今も個人で経営している店がいくつか残っています。上野恩賜公園、その東照宮の鳥居横にある『東照宮第一売店』は、昭和28年(1953年)創業の貴重な一軒。動物園帰りに立ち寄った思い出がある方も多いのでは。家族連れが行き交うのんびりした公園の景色を眺めながら、大人はビールやおでんで一休みできる、まるで天国のような時が止まった空間です。
動物園帰りの思い出が蘇る、昭和28年創業の「生き残り」

上野の山は、美術館や博物館、動物園など見どころが多い場所。散策に疲れたら、少し休憩したくなります。

お店は上野東照宮の参道入口、大きな鳥居のすぐ隣。上野動物園(弁天門出口)からも駅へ向かう通り道にあります。子供の頃、ここでかき氷やラムネを買ってもらった記憶が蘇る都民も少なくないはずです。

創業は1953年(昭和28年)。まさに戦後復興期から、この場所で営業を続けています。お店の方によれば、かつて上野公園には同様の個人経営の売店が20軒以上あったそうですが、今ではほとんどが姿を消しました。ここは、上野の移り変わりを見つめてきた「生き残り」とも言える一軒です。

店内はテーブル席が数卓と小上がりの座敷があり、壁一面に貼られた手書きの短冊メニューが郷愁を誘います。会計は品物と引き換えに支払う「都度会計」制です。
公園の景色と味わう瓶ビールとおでん

まずはキリンラガービール(中瓶:800円)をもらって一息。桜や紅葉の美しい上野公園。家族連れや観光客が行き交うのんびりとした景色を眺めながら飲むビールは格別です。 それでは乾杯!

肴には、やはりおでんが似合います。
おでん(盛り合わせ:600円)は、注文するとすぐに出してくれます。

内容は、大根、こんにゃく、しらたき、さつま揚げ、ちくわに玉子という定番のラインナップ。

出汁がよくしみています。

焼鳥(3本400円)も頼んでみましょう。

柄の部分に部位の名前が書かれた、いわゆる業務用のものですが、この昭和な空間、公園の緑と人々の賑わいをBGMにすれば、不思議と特別なごちそうに感じられます。
品書きには「ところてん」(400円)や非常に珍しい「カレーソーメン」(650円)、「おでんライス」(820円)など、食堂メニューも充実しています。寒い季節は酒(正一合:500円)を注文し、お燗にしてもらうのも良さそうです。
芸術の秋、美術館めぐりの後にいかが

創業から70年以上。美術館や博物館を巡った後、あるいは動物園で楽しんだ後、のどかな公園の景色の中で楽しむ、この天国のような昭和のオアシスで一休みするのはいかがでしょう。
JR上野駅公園口からも徒歩圏内。10時から夕方までの通し営業(※月曜定休)なので、少し遅めの昼食や、明るいうちからの「昼飲み」にも利用できます。上野散策のコースにぜひ組み込んでみてください。
| 店名 | 東照宮第一売店 |
| 住所 | 東京都台東区上野公園9−86 |
| 営業時間 | 10時00分~16時30分 月曜日定休 |
| 創業 | 1953年 |
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