西船橋といえば、県内屈指のターミナル駅。乗り換えで利用する人は多くても、駅を降りてゆっくりと街を歩く機会は意外と少ないかもしれません。北口の賑やかな歓楽街も嫌いではありませんが、今回目指すのは静かな南口。駅から10分少々、住宅街の路地を抜けた先に、わざわざ訪ねる価値のある一軒があります。赤い外観が頼もしい『菜来軒』。創業から半世紀近く、この地で愛され続ける町中華です。
駅前の喧騒を離れ、目指すは赤い看板

駅前のロータリーを抜け、線路沿いや大通りを南へと歩を進めます。先ほどまでの喧騒が嘘のように静まり返った住宅街。Googleマップを頼りに進むと、突如として立派な店構えが現れました。

昔は街道沿いによくこうした大型の中華料理店があったものですが、ファミレスに押されて随分と減ってしまいました。それだけに、この堂々とした佇まいには、どこか郷愁を誘われます。

暖簾をくぐれば、そこは昭和の時間が流れる穏やかな空間。カウンターだけの小さな店も良いですが、こちらは丸い中華テーブルも置かれたゆったりとした造り。「ラーメン屋」ではなく、しっかりと「中国料理店」の風格があります。

ご家族で切り盛りされていて、迎えてくれる雰囲気はとてもアットホーム。夕飯を楽しむ家族連れや、仕事帰りにネクタイを緩める会社員グループなど、客層は様々。日常の中に溶け込んでいるこの空気感、初めて訪れても不思議と心が解けていきます。
個性的な町中華はテンションが上がります

近くにサッポロビールの工場がある千葉県・湾岸エリア。やはりここはサッポロ黒ラベルを選びたいところ。瓶ビール(中瓶650円)をお願いして、まずは乾杯。よく冷えたビールが喉を潤します。
名物・揚げ餃子甘酢タレの輝き

品書きを眺めると、麺類や飯類だけでなく、酒飲み心をくすぐる一品料理がずらり。なかでも常連さんたちがこぞって注文するのが「揚げ餃子甘酢タレ」(6個650円)です。

運ばれてきた瞬間、その艶やかな照りに目を奪われます。こんがりとキツネ色に揚がった大ぶりの餃子に、琥珀色の甘酢餡がとろり。

口に運べば、カリッとした皮の軽快な食感のあとに、餡が染みた部分がジュワッと解け、肉の旨味が広がります。

揚げ物なのに不思議と重くないのは、甘酢の酸味が油を程よく切ってくれるから。これはビールが進んで困ります。
プリプリの海老が踊る、正統派の炒飯

締めには、ご飯もので評判の「海老炒飯」(1000円)を。

ドーム状に盛られた黄金色の炒飯の頂には、大きな海老がゴロゴロと5つも鎮座しています。

このビジュアル、大人だって嬉しいに決まっています。

具材には刻んだカマボコが入っていて、そのプリッとした食感と塩気が良いアクセント。

奇をてらわない正統派の味付けで、ボリュームがありながらも食べ飽きないバランスの良さ。

先ほどの揚げ餃子の甘酢タレを少し炒飯にかけてみると、これまたいい感じ。中華はいろいろ混ぜると楽しい!
西船橋で貴重な町中華

駅からは少し距離がありますが、その分、静かな環境で落ち着いて食事や会話を楽しめるのが『菜来軒』の魅力。しっかりとしたボリュームがありながら、価格は良心的。お腹いっぱい食べて飲んで、心まで満たされる。近所にあったら間違いなく通ってしまう、そんな温かみのある大箱町中華でした。
店舗詳細



| 店名 | 菜来軒 |
| 住所 | 千葉県船橋市本郷町649−3 |
| 営業時間 | 11時00分~14時00分 17時00分~21時00分 水木定休 |
| 予算 | 2,000円 |
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