東伏見『蕎麦 三晃菴』駅が開業した年に創業。一世紀続く住宅街の名門蕎麦屋で冷やしたぬき

東伏見『蕎麦 三晃菴』駅が開業した年に創業。一世紀続く住宅街の名門蕎麦屋で冷やしたぬき

わざわざ都心まで足を運ばずとも、住宅街にはっとするようなレベルの高い老舗が隠れているものです。昭和2年(1927年)創業、一世紀近い歴史を誇る東伏見の『蕎麦 三晃菴』もそんな一軒。地元で長年愛されてきた確かな味を求め、今宵も暖簾をくぐります。

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住宅街に佇む、歴史が磨いた風格

西武新宿線・東伏見駅の北口階段を降りたら目の前に見える、線路沿いの駅前蕎麦屋。賑やかな駅前でありながら、どこか落ち着いた空気が流れるこの地に『蕎麦 三晃菴』(看板には蕎麥と表記)はあります。一見、街に溶け込む今風のスタイリッシュな蕎麦屋ですが、創業1世紀になると聞けば気になるというもの。さっそく暖簾をくぐります。

西武鉄道の東伏見駅の開業が1927年。なんと駅と三晃菴は同い年。駅の開業に合わせて創業したから、こんな駅前の一等立地にあるのでしょうね。

店内は、木を基調とした清潔感のある和の空間。カウンターで一人静かに杯を傾ける年配の常連さん、テーブルで家族と食事を楽しむ人。客層は様々ですが、皆さんこの店の雰囲気が気に入っている様子が伝わってきます。数駅西武新宿線に乗って食べに来る人も。

また、線路を挟んだ南側に早稲田大学伏見キャンパスがあることから、大学関係者も愛用しているようです。

職人の技が光る、レベルの高い肴

まずは瓶ビール(アサヒスーパードライ)で喉を潤し、続いて日本酒「高清水」を。

おつまみは、天ぷら、板わさといった定番だけでなく、なす煮浸しやあげそば、煮込みなど、幅広い品揃え。「蕎麦前」好きの心をくすぐります。

パリパリにんじん 450円

玉子焼き(700円) ※17時以降のメニュー

夕方から注文できる玉子焼きは、ぜひ味わってほしい一品。きめ細かく、美しい黄色に焼き上げられた姿からは、職人の丁寧な仕事ぶりが伝わってきます。口に運べば、ふんわりとした食感とともに、上品な出汁の風味がじんわりと広がります。日本酒との相性は言うまでもありません。

老舗の力が宿る、〆の「冷やしたぬき」

酒と肴で心地よくなったところで、〆の蕎麦をいただきましょう。

冷やしたぬき(850円)

涼しげな器に盛られた冷やしたぬき蕎麦は、老舗ならではの風格が漂います。具材はきゅうり、蒲鉾、揚げ玉、刻み海苔、そして冷やし中華を思わせる紅生姜。シンプルながらも、計算された彩りの美しさが目を惹きます。

しっかりと角の立った蕎麦は、啜れば力強い風味と心地よい喉ごし。長年培われてきた技術を感じさせます。出汁の効いたつゆは、甘さと辛さのバランスが絶妙で、蕎麦の味を最大限に引き立てています。揚げ玉のコク、紅生姜の爽やかさが渾然一体となり、あっという間に完食。

10年ほど前、とある酒類メーカーのベテラン営業担当さんに、「冷やしたぬきは酒の肴。これで何杯も飲めちゃうですよね」と聞いて以来、私も冷やしたぬきでお酒を飲むようになりました。

西武新宿線ユーザー御用達

武蔵関公園や東伏見稲荷神社からの散策帰りに立ち寄るにも最適。

一見、穏やかな住宅街の蕎麦屋。しかしその暖簾の先には、一世紀近い歴史に磨かれたレベルの高い味と、心地よい時間が流れています。近所にあった頻繁に通うなぁと思える一軒が、東伏見の駅前にはありました。ごちそうさま。

店舗詳細

黒板メニュー 地酒が豊富
店名蕎麦 三晃菴
住所東京都西東京市富士町4-13-21
営業時間1平日・祝日 11時〜15時 
土日11時〜20時(休憩時間あり)
創業1927年