吉祥寺「美舟」 昭和のハモニカ横丁にタイムスリップ!多満自慢とマグロぶつ

吉祥寺「美舟」 昭和のハモニカ横丁にタイムスリップ!多満自慢とマグロぶつ

2020年6月15日

中央線沿線屈指の人気タウン「吉祥寺」。人気の理由のひとつには、きっと多摩地域屈指の酒場密集エリア・ハモニカ横丁の存在があるはず。南の井の頭公園、北のハモニカ横丁を歩けば、吉祥寺が持つ街の奥行きがみえてきます。

闇市由来のバラックの雰囲気を残す昭和の空間、ハモニカ横丁。約100軒の居酒屋が密集しています。近年は、増加中のオシャレ酒場に若い人たちが集まり、ディープな横丁に現代的なレトロモダンのテイストが増えてきました。とはいえ、老舗も元気に営業中。創業から半世紀「美舟」は素晴らしき大衆酒場です。

JR吉祥寺駅すぐのハモニカ横丁。横丁の中でもより駅に近い場所にあり、はいってすぐ。紅白の電照看板に「多満自慢」の文字が目印です。いぶし銀の店構えに敷居の高さを感じるかも知れませんが、一見さん大歓迎、その名の通り大衆的な店。

一階は10席ほどのカウンター。雰囲気は新宿思い出横丁の小箱の店と同じよう。ですが、実は2階があり、一階の雰囲気からは想像つかないほど広く、宴会にも対応できる畳敷きの広間が存在します。

壁を覆い尽くす短冊の品書き。

まずはビールでしょう。樽生(550円)、ビンともにサッポロ黒ラベル。大ビン(620円)を傾け、ビヤタンを満たしたら、はい乾杯!

酎ハイ、ウーロンハイ、ホッピー割りなど380円。定番酒は入り口の看板の通り、多満自慢。東京都福生市にある石川酒造のお酒です。

とにかく品数が豊富。しかも500円前後と手頃な価格設定で、あれもこれも食べたくなってきます。

今日の日替わり刺身は黒板から、イワシ〆さば風(490円)、生ツブ貝(700円)、〆サバ(490円)、イワシタタキ(490円)、生タコ(550円)、アジタタキ(550円)、マグロブツ(550円)、イカ刺(490円)、タコブツ(550円)。お刺身だけでもこの通り。

整理されていないので、よく見渡さないと、見落としてしまいます。突然みつかるポテトサラダ(400円)。

インドオムレツ(550円)はカレー味。ハムカツ(350円)、豚角煮(550円)、参りました。なかなか決まりません。

カウンターの内側には、ずらりとマグロの部、イワシの部。イワシ水戸造り(500円)ってなんでしょう。薄々気づいていましたが、尋ねてみると、やはり納豆入りのお刺身とのこと。マグロ皮、マグロなめろう、マグロさんが焼き、マグロスタミナ珍味、いろいろあります。

さらにやきとりもやっています。1本100円からと良心的。

悩んだら、初心に帰ってマグロブツ(550円)。マグロのバリエーションがあるということは、推しということ。期待以上のマグロブツがやってきました。

すじは少なく、ねっとりとした食感と赤身の爽やかな美味しさを楽しめる一品。

“ポテトサラダは酒場のリトマス試験紙です。”

と意味ありげなようで、適当なことを話しながら、美味しい自家製ポテトサラダをいただきます。400円と手頃なのにボリューム満点。マッシュでねっとり。きゅうりと人参、エッジを効かせる黒胡椒に、追いマヨネーズがいい仕事をしています。

東京の酒場ではポテトサラダにソースをかけるのです。(一部の人)

ポテトサラダには酎ハイがあいます。プレーンな酎ハイ(380円)。

開け広げた扉からときより吹き抜ける横丁の風。爽やかというよりは、しっとりとした感じ。どこかのお店の煮物の香りが混ざっていたりするのですが、こういうのが好き。厚切りカットのレモンの酸味を感じて、濃いめの酎ハイが進みます。

さてさて、椅子に根がはえてきたところで、そろそろ日本酒を。多満自慢1合(340円)。燗をつけてもらって、ちびりと一口。これは三品目もお刺身ですね。

いわしタタキ(490円)。取材時は、ちょうど梅雨入りの時期。入梅イワシで美味しくなっている上、イワシ料理を得意とされる美舟ならばやはり頼まなくては。

ピンとしたイワシ。脂ののりも抜群で、気持ち多めの生姜を載せて食べれば、お酒をお代わりすること間違いなし。

昔ながらの横丁にあるカウンター酒場の雰囲気そのままの空間は、まるで昭和にタイムスリップしたような気分。お店の人やお客さん同士、人と人の心の距離が近く(実際は時節柄、適当な距離を離しています)、あったかい気分になれるお店です。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

美舟
042-221-1460
東京都武蔵野市吉祥寺本町1-1-2 ハモニカ横丁 中央通り沿
17:00~24:30(基本無休)
予算2,300円