豊洲市場の青果棟1階。市場関係者が忙しく行き交うエリアに隣接してのれんを掲げる『天房』。築地市場の開設とともに創業し、市場で働く人々の舌を満足させてきた天ぷらの老舗です。2018年の移転とともにこの豊洲の地へ。その歴史と味は、今もしっかりと受け継がれています。
市場の天ぷらは特別

現在の豊洲市場は日本橋→築地→豊洲と移り変わってきた「江戸の台所」の最新形。また、江戸前天ぷらも、江戸時代、日本橋界隈の屋台から大衆に広まり、当時の市場や町の賑わいの中で発展してきました。芝海老やキス、穴子など、東京湾の“江戸前”で獲れた魚介をごま油で揚げて楽しむスタイルは今も健在です。
つまり、豊洲市場と天ぷらの関係は歴史的に見ても切っても切り離せない関係なんです。そんな豊洲市場で天ぷらといえば『天房』。

豊洲市場の場内飲食店はとくに寿司店が人気ですが、食堂や洋食店、有名牛丼チェーンの1号店の系譜など意外と多彩。『天房』は、水産棟からやや離れたやっちゃ場の近くにあります。
気軽に一杯、赤星と天ぷら

市場の喧騒が少し落ち着いた朝の時間。引き戸を開ければ、ごま油の香ばしい香りに包まれます。寿司店が注目されがちな豊洲ですが、「市場の天ぷら」もまた格別です。

テーブル席に腰を下ろし、まずは瓶ビール「サッポロラガー(赤星)」をお願いします。手酌でグラスに注ぎ、きゅっと一口。天ぷらが揚がるのを待つこの時間も、市場飲みの醍醐味。
つまみに選んだのは、エビ、キス、メゴチ、ギンポウを注文。

まずは海老から。サクッとした衣の中から、プリッとした身の甘みが弾けます。思わず頬がゆるむ美味しさ。芝海老のような伝統の味も良いですが、この王道の海老はやはり外せません。

続くキスは、ふっくらとした白身が上品な甘さを運びます。そして天ぷらの王道ネタ、メゴチ。ほろりと崩れる柔らかな身から、豊かな旨味と脂がじゅわっと広がります。足の早い小魚も鮮度抜群。これぞ市場で味わう天ぷらの真髄。

天つゆも控えめな甘辛さで、素材の味を邪魔しません。揚げ場の忙しさを眺めながら、赤星をちびちびやる朝の一杯は、特別感があります。
ごちそうさま

豊洲市場『天房』で味わう天ぷらと赤星は、歴史と今が交差する市場ならではの楽しみ。揚げたての天ぷらをつまみに朝から一杯。少し早起きして、歴史とともに味わう「市場飲み」、ぜひ一度試してみてはいかがでしょう。
店舗詳細

- サッポロラガービール:700円
- 白鷹:700円
- えび・きす・ほたて・めごち・ギンポウ・天然ちゆ:400円
- 穴子:1100円(穴子半分:600円)
- 大えび:900円
- 芝海老::600円
店名 | 天ぷら 天房 |
住所 | 東京都江東区豊洲6-3-1 豊洲市場 5街区 青果棟 1F |
営業時間 | 07:00 – 13:00 日祝水など豊洲市場の休市日に休み |
創業 | 1935年 |