今日は亀戸を梯子酒。お昼からやっている酒場が次々とオープンしている亀戸は、これからますます注目のエリアです。老舗のこれぞ下町の大衆酒場という雰囲気のお店から、美人女将が切り盛りするラム系個性派酒場まで様々。個性的なお店が多いのですが、ここ「高の」も、そんな亀戸の昼酒バラエティで大切なお店です。
駅から徒歩5分。団地の一階に入るお蕎麦屋で、前情報がないとよくある団地食堂のひとつに思えてしまいますが、ここがすごい。なんといっても、明るい時間から通しで営業し、お酒が安く料理はジビエが看板料理。シメのおそばにたどり着かなくても、ちびちびと富貴を飲みながら猪肉を食べていれば楽しくなること間違いない。
店主がお一人でやっている小箱のお店なので、時間帯によっては満席なこともありますが、入れたらラッキーという感じで。カウンターはいつも地元の奥様方や昼酒ラブなお父さんたちが頬を赤くし、早い時間から盛り上がっています。
馬肉、猪肉、鴨、ときには鹿肉などもおくお店で、店の雰囲気はどこか山村の郷土蕎麦屋のような佇まい。
まだ早い時間だけど、今日はいいよね。(今日も?)
日本酒の富貴をはじめ店主のこだわりが感じられるメニュー。樽生は珍しくオリオン。和蕎麦のお店でオリオンを見たのは、本州ではここが初めて。瓶はみんな大好き赤星で、酎ハイも安い。お通しが100円なのですが、おつまみも300円前後が中心なので、千円くらいで程よく楽しめる価格なのが嬉しい。
それでは、ここは当然赤星ということで、では乾杯!2012年オープンのお店ですが、内装がとてもシックで木のぬくもりがある空間になっています。カウンターのすべすべとした手触りが気持ちいい。
まずはお刺身から。亀戸のお昼から鹿刺しでビールが飲めるとは、こういう変化球は大歓迎です。店の両側の窓から入り込む午後の穏やかな日差しを浴びて、鹿も赤星も輝いています。鮮度自慢を感じるジビエ肉のラインナップ、どれも安いこともあって何を食べようか悩んでしまいます。甘い醤油をつけて頬張れば、噛む度に赤身の旨味が広がります。歯ごたえがありますが噛みきれないほどでもなく、余韻は鹿肉独特な爽やかなもの。
猪の煮込み(580円)はぜひとも挑戦してみてもらいたい。味はすき焼きのそれを想像していたら、けんちん汁のようで、地方で食べる郷土鍋のよう。たっぷり入った猪肉から脂がとけだしてきて、それが具材に絡み美味しそう。
固形燃料でぐつぐつと煮こむのですが、その間に飲むお酒もいいものです。香りだけで1合は飲めてしまう。一人酒でこの一品は、明るい時間に飲むのには十分過ぎるほど役立ちます。酔鯨をもらって、もう少しゆっくり過ごそう。
ジビエだけでなく、打ちたてで切っていない蕎麦をそのまま揚げたソバテーヤや、蕎麦前の定番の焼き鳥やだし巻き玉子なども充実しているので数人でシェアして色々食べるのも楽しそう。一人で来ると猪煮込みや鴨南蛮の頭あたりを肴にきゅっと飲むだけで満足しそうですが。
ここでおそばを食べてシメてしまうというのもありですが、せっかくの亀戸です。まだまだ梯子するためにお昼のおそばはお預けで。
ごちそうさま。
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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
養生料理 高の
03-6676-9055
東京都江東区亀戸2-6-1 亀戸二丁目団地 108
10:00~22:00(月定休・土日は17時まで ※火曜日のみ14:00~17:00は一時閉 )
予算1,600円