大宮駅東口の細い路地「さくら小路名店街」に店を構える『末広』は、昭和の面影を色濃く残すおでん酒場。仙台で創業後、大宮に移り約半世紀という老舗。ひょうたんが描かれた藍色の暖簾をくぐれば、常連さんたちの熱気に包まれたコの字カウンターが広がります。今回は、夏でも楽しめる大宮おでんの名店をご紹介!
大宮の歴史を見守るコの字カウンターの特等席

再開発が進む大宮駅周辺において、東口のさくら小路名店街は戦後のヤミ市由来の記憶を残す貴重なエリア。1日平均60万人以上が利用する有数のターミナル駅前にこれだけ立派な飲み屋街が広がっているは、今の時代、奇跡と言えます。
いくつも老舗があり、近年は若者や外国人の挑戦もあって店のバリエーションはますます多様化。まだまだ大宮の夜の深度化は止まりません。
ここでおでんといえば『末広』でしょう。仙台での創業後、現在の店主が大宮へ移り、この地で約半世紀の歴史を刻んできました。木造りの外観と年季の入った看板が、長年街の移り変わりを見守ってきた風格を漂わせています。
店内は、中央の厨房を囲むように配置されたコの字カウンターのみ。どこの席に座っても店員さんとの距離が近く、空間全体の一体感を共有できる造りです。

連日開店直後から満席近い盛況ぶりですが、客層は紳士的な方が多く、一人で静かにグラスを傾ける人もいれば、隣同士で会話を弾ませる人も見受けられます。取材で訪ねた私も、小田原から飲みに来たというお客さんと、ちょっとした酒場話で楽しい時間を過ごすことができました。
支持される理由は、店主の娘さんらによる細やかな気配りと、アナログで柔らかい接客にあります。一見さんでもすぐに溶け込めるアットホームな空気があり、ネットの通知から解放(スマホをしまって飲みたい店)されるような安心感でいっぱい。
透き通る出汁が染みたおでんと銘酒の素晴らしい調和

席に着いたら、まずはサッポロラガービールの中瓶(700円)で乾杯。よく冷えたグラスに注ぎ、喉を潤します。
看板メニューのおでんは、一年を通して提供されています。夏場でも冷房をしっかり効かせた店内で熱々を頬張るのが、この店の粋な楽しみ方。

今回は、定番の「大根(150円)」、「はんぺん(250円)」、さらに「ちくわぶ(220円)」を選びました。
徹底した温度管理のもと、長時間かけてじっくりと冷ます工程を挟むことで、昆布と鰹節の旨味が具材の中心まで均一に染み込んでいます。おでん種によっては数日煮込むものもあるそう。

大根は箸がすっと入る柔らかさで、ちくわぶは出汁をたっぷりと吸った深い味わい。練り辛子を少しつけて、ビールの苦味と合わせると最高の肴に変化します。
優しい出汁を堪能する一人鍋の煮やっこ

おでんの熱気にあわせて、次は冷酒に切り替えます。秋田の銘酒「高清水 生貯蔵(960円)」を注文。すっきりとした口当たりが、出汁の風味をさらに引き立ててくれます。

追加で頼んだ品は、おでん鍋とは別に作られる「煮やっこ」。小鍋にたっぷりの出汁と豆腐、ネギが入った一人用の湯豆腐です。

火にかけられた熱々の状態で提供され、一口すするとじんわりと全身に旨味が広がります。

おでんの力強い味わいとは異なる、豆腐の甘みを活かした繊細な仕立てに、思わず盃が進んでしまいます。
手間暇かけたおでんの仕込みや、名物の「ねぎいっぱい玉子焼き」など手作りの料理も評判です。
変わらない味と人情が迎えてくれる名酒場

スマートな最新店舗が増える中、人と人との温かい交わりを感じられる昔ながらのスタイルが、多くの呑兵衛の心を掴んで離さない理由なのでしょう。
大衆価格で美味しい料理と旨い酒、それに加えて居心地の良い空間。大衆酒場の理想形です。駅前の大きな酒場で昼飲みもよいけれど、おでん屋のカウンターで静かに街に浸るという楽しみ方もオススメです。
店舗詳細



| 店名 | 大衆酒場 おでん屋 末広 |
| 住所 | 埼玉県さいたま市大宮区大門町1丁目14 |
| 営業時間 | 18時00分~23時00分 日定休 |
| 創業 |
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