広島でお好み焼きといえば麺入りですが、三原では関西のように麺入りは「モダン焼」と呼ばれています。また、鶏モツが入ることも特長で、大阪・京都・広島それぞれのお好み焼きとも違ったものが親しまれてきました。そんな三原焼を60年提供してきた三原駅前の『お好み焼 てっちゃん本店』をご紹介します。
港町に漂うソースの香り
瀬戸内海に注ぐ沼田川の河口に位置する山と海に囲まれた三原市。この街は旧三原城の城下町として栄え、さらに旧山陽道に沿って整備されたJR山陽本線や呉線、山陽新幹線、国道2号線が集まる交通の要衝としても成長してきました。また、三菱重工や帝人、今治造船、大日本印刷などの重工業・プラントが立ち並ぶ工業都市という側面もあり、その結果、決して広いとは言えない平地に濃縮して中心市街地が形成されています。
漁業も盛んで、ブランドになっているタコをはじめ、タイ、キジハタ、カサゴ、ヒラメ、サワラ、ガザミ、シャコなどが水揚げされています。JR三原駅周辺にはこれらの地魚を食べさせる磯料理の店がいくつもありますが、それと並んで多いのがお好み焼き店です。
外観
三原駅前で60年続いてきた『てっちゃん』は、地元の人たちが変わらぬ味を求めて列をつくるほどの人気店。今回のテーマにしている『三原モダン焼』発祥の店と言われています。
三原で有名な店ですが、お好み焼きは今でも500円からと手頃な価格設定。先代の味を受け継ぐ2代目が実直に営む、家族経営の店です。
内観
店はそれほど広くはありませんが、お店の方は5人ほど仕事をされています。それだけ店内飲食に加えテイクアウトニーズも多いということ。
特等席は、寡黙な大将がもくもくと焼き続ける焼台を前にした7席ほどのカウンター席でしょう。
4卓あるテーブル席にも鉄板が埋め込まれていますが、自分で焼くことはなく、すべて大将やお店の皆さんが焼いたものを運んできてくれます。
品書き
お酒
- 樽生ビール キリン一番搾り:550円
- 瓶ビール キリンクラシックラガー:550円
- 酎ハイレモン:450円
料理
- お好み焼き:500円
- モダン焼:600円
- 焼そば・焼うどん:550円
- てっちゃん焼:950円
- てっちゃんモダン焼:1,050円
- スペシャル焼(そばうどんなし):1,150円
- ねぎ焼・きのこ焼・キムチ焼:各450円
- タマネギ焼・コンニャク焼:各400円
三原焼は、お好み焼きまたはモダン焼きに鶏モツ+150円が入ったもの。
鶏モツが入ると食感も味もこんなに変わる
キリン一番搾り生ビール(550円)
ビールは樽生、瓶ともにキリンビールです。それでは乾杯!
モダン焼 玉子、鶏モツ等追加 600円~
三原では広島市内とは異なり、麺を混ぜたお好み焼きを関西風のように「モダン焼き」と呼び、生地・キャベツでつくる通常のお好み焼きとは別名で呼んでいます。
また、三原焼の特長である砂ズリ、たまひも、鶏レバーをブレンドした鶏モツはぜひ追加しておきたいところ。この鶏モツは、砂ズリの弾力、レバーの苦味など食感と味のインパクトが想像以上に大きいです。三原は養鶏が盛んな地域で、鶏モツが手に入りやすかったことが鶏モツを使うきっかけとなったそうです。人参や蒲鉾が入っているのも特徴。
たっぷりかかる辛口超濃厚ソースは、三原市内にある中間醸造がつくる『てっちゃん』向けオリジナル。焼き目はラードでパリッと仕上がっています。具だくさんで、ボリューム満点。大満足。
ごちそうさま
大将は必要以上に派手なパフォーマンスはせず、淡々と焼き続ける姿勢で、寡黙ながらも笑顔で話してくれる気さくな方でした。個人店ということで、初めはややハードルが高く感じるかもしれませんが、実際に入ってしまえばきっと安心できるでしょう。
どことなく工業都市特有のパワフルさがある雰囲気の中で楽しむ三原ならではのお好み焼き、おすすめです。
お隣、尾道で飲むなら
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | お好み焼き てっちゃん 本店 |
住所 | 広島県三原市城町1-5-25 |
営業時間 | 営業時間 11:00~20:30(L.O) 材料切れによる早期閉店あり 日曜営業 定休日 木曜、第3水曜 |
創業 | 1963年 |