『鳥の小川』は、錦糸町の酒場を語る上で外せない存在です。創業はなんと1919年(大正8年)。世紀を越えて続く酒場です。看板料理の焼鳥をはじめ、蒸し鳥、親子煮など鳥料理が勢ぞろい。聞き慣れない「塩鳥鍋」は、冬季でなくても食べたくなる絶品メニューです。
目次
震災・戦災・疫病を乗り越え100余年。
墨田区随一の繁華街・錦糸町に佇む、こぢんまりとした焼鳥店『鳥の小川』。
一見するとどこにでもある酒場のように見えますが、この店は100年以上続いている老舗の酒場です。創業時に提供していたという「蒸し鳥」など、味覚で店の歴史が楽しめると評判です。
厨房に向いてL字のカウンターを配したつくりで、席数は20ほど。数年前に改装して明るく清潔感ある店になりましたが、レトロな酒場特有の味わいが随所から感じられます。
「いらっしゃい!」
先代からタスキを預かった若き店主が女将さんと二人三脚で迎えてくれます。炭の香りとテレビから聞こえる音声。適度な距離感で接してくれるお店の皆さん。ホッとできる空間です。
品書き
お酒
- 樽生ビール キリン一番搾り:小580円・中680円・大940円
- 瓶ビール アサヒスーパードライ・キリンラガー:680円
- 菊正宗(兵庫県西宮市・菊正宗酒造):490円
- 松翁(高知県香美市・松尾酒造):660円
- 白鷹(兵庫県西宮市・白鷹):880円
- 八海山(新潟県南魚沼市・八海醸造):880円
- チューハイ:390円
- 生搾りレモンハイ:390円
- バイスセット:440円
- かっぱハイ:390円
料理
- やき鳥 おまかせ5本:660円
- やき鳥 正肉・皮・ぼんじり・ヤゲン・砂肝など:各140円
- やき鳥 すきみ・むね肉・つくね:各170円
- 蒸し鳥:660円
- 塩鳥鍋:660円~
- 親子煮:660円
- 鳥もつ煮込み:390円
- からあげ:440円
- 手羽から:440円
- カリカリ皮おろし:550円
- 和風麻婆豆腐:550円
- やき鳥丼:330円~
- 鳥スープ:330円
タレで味わう店の歴史
キリンラガービール中瓶(680円)
カウンターに滑り込み、軽く挨拶を済ませたら、瓶を受け取り流れるようにビアタンを満たし、はい乾杯!
現在、樽生ビールはキリン一番搾り、瓶ビールはアサヒとキリンの2銘柄を揃えています。
塩豆
お通しは、塩豆。実に老舗らしい!
鳥もつ煮込み(390円)
焼鳥を焼いてもらう間、塩豆だけでは寂しいので煮込みをお願いしました。女将さんがさっと盛り付け、すぐにでてきます。鳥ハツやキンカン、皮など様々な部位をみりん、醤油などで煮込んだもの。甘くコクがあり、苦味を楽しむキリンラガーと好相性です。
菊正宗(490円)
ビールをさっと飲み干したら、次は日本酒を。定番酒は灘の酒「菊正宗」です。軽くお燗をつけてもらい、焼鳥を迎える準備は完了です。
おまかせ5本(660円)
焼鳥はおまかせ5本がお得です。正肉、ムネ、すきみ、ぼんじり、レバー。焼けた順に少しずつ出してくれるのが嬉しいです。
甘辛くエッジの効いたタレが印象的でした。店主さんによると、大戦時には先々代が空襲の中、壺を持って逃げ、タレを守り抜いたそうです。代々継ぎ足し守り続けてきた店の味。
ぼんじりとすきみは炭の香りが食欲をそそる塩焼きです。骨を残して大胆にカットされたぼんじりは、骨周辺の脂が実に美味しく、すきみも香ばしくジューシーです。
塩鳥鍋(660円)
一人飲みだと鍋を頼まない方が多いと思います。ですが、ここの塩鳥鍋は他では食べられない逸品なのでぜひ試してお試しあれ。
鶏団子やモモ肉などと一緒にしいたけ、キャベツ、つま状にした大根と人参をたっぷり盛り付けたもので、鶏出汁の塩スープが味をまとめています。ネギも味のアクセントになっていて、一人でもぺろりと食べられるはずです。
湯豆腐
同じく鶏出汁をつかった湯豆腐などもあり、おつゆだけで何杯でもお酒が進みそうです。※お酒は適量で。
かっぱハイ(390円)
日本酒やビールに合う鶏鍋ですが、変わり種のかっぱハイも頼みたくなります。江戸の物流を支えた堀川の街・錦糸町にちなんで、「置行堀」の主・カッパに向けたチューハイです。ご想像の通り、きゅうりがゴロンと沈んでいます。
ごちそうさま
錦糸町のややディープなエリアにあるので、偶然通りかかって入るよりも「ここを目指して向かう」という方が多い焼鳥店『鳥の小川』。女将さんの物腰柔らかな接客と若い店主さんのキャラクターもあって、老舗であっても敷居の高さは感じません。最近は若い世代のお一人飲みも多いそうです。
近くの酒場
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 鳥の小川 |
住所 | 東京都墨田区江東橋4-13-3 |
営業時間 | 営業時間 17:00〜22:30 定休日 日曜・祝日 |
開業時期 | 1919年 |