新橋で50余年。現在5店舗を構える町を代表するもつ焼き酒場のひとつ『新橋やきとん まこちゃん』。創業時から受け継がれた肉の大きな串と、継ぎ足してきた伝統のタレは、新橋の飲兵衛さんの心をつかんで離しません。今回は本店をご紹介します。
目次
山手線のドアが開くと、やきとりの香りがする街
2022年、新橋駅は開業150年を迎えます。日本最初のターミナル駅である新橋駅は、その長い歴史の分だけ、街に数多の表情を作り続けてきました。赤レンガアーチ、ガード下、ヤミ市を整備した駅前ビル、汐留シオサイト。とびきり人間味に溢れたこの街には、大衆酒場がよく似合います。
串焼き・やきとりの店だけでも駅周辺に300軒近くあり、夕暮れの新橋駅はほんのりと燻されたような香りに包まれています。山手線や東海道線のドアが開いたとき、「あ、新橋だ」と匂いだけで気づいたことがある人は多いでしょう。
新橋で50年。店名の由来は創業者の名前から
外観
そんな新橋で、最も席数が多く、かつ長年続いてきた酒場といえば『新橋 やきとん まこちゃん』です。
店名の由来は、創業者の西田真さんの名前からきています。まこちゃんこと、西田真さんは開業の2年前(1966年)に、麻布十番の「あべちゃん」で修行。1968年(昭和43年)に国鉄目黒駅前で「やきとんまこちゃん」を創業しました。
1970年には新橋に2号店(現在のまこちゃん本店)を開店し、その後新橋を中心に店舗数を増やしていきました。目黒の1号店は残念ながら閉店しており、新橋西口にある最古の店舗が本店です。現在は二代目となる西田勇貴さんがグループを率いています。
芝浦直送の新鮮豚モツを大きくカットする
新橋にもつ焼き屋が多い理由は、ひとつに芝浦の食肉市場が近いことが関係していると言われています。
まこちゃんでも、つぶしたての鮮度がよい豚モツが店のウリです。切り分けた肉のひとつひとつが大きいのも特長。現代のチェーンやきとん店と比べれば1.5倍ほどはあるでしょう。これを火力の強い炭火の上で、位置を少しずつずらしながらパリっと焼き上げていきます。どちらも創業時から変わらぬ方法です。
合わせ味噌仕立てのもつ煮込みも変わらない名物です。店数は増え、店に携わる人々が世代交代した今でも、ベテランの常連さんが足繁く通う理由がここにあります。
内観
目黒の1号店は5坪ほどだったそうですが、現本店は60席もある大箱となりました。別館、新店、からす森口店、ガード下酒場店と、新橋西口に本店含め5店舗も展開しており、その席数は300席以上。それでも、週末となればすべての店の席が埋まっているのですから、その人気ぶりは凄まじいです。
一番好きな席は、本店のカウンター。今回もそんなカウンター席からお届けいたします。
品書き
お酒
樽生ビールはサントリー ザ・プレミアム・モルツ:545円。瓶ビールはキリンクラシックラガー:649円。
割材系はホッピー(ホッピー・黒ホッピー):319円、プレミアムホッピー(55ホッピー):429円、コダマバイス:253円。いずれもナカは別で、ナカは宝モダン:352円、宝焼酎:319円。
サワー、ハイボール系は、宝焼酎ハイボール:435円、チューハイ:374円、レモンサワー:429円、沖縄産シークワーサーサワー:429円、角ハイボール:435円など。日本酒は菊正宗:330円、本格焼酎は知心剣:435円など。
串焼き
定番の串は、シロ、レバ、タン、ハツ、ハラミ、ナンコツ、コブクロ:各160円。やきとん盛合せ5本:798円、やきとん盛合せ7本:1,117円。数量限定串は、カシラ:171円、ほほ肉:171円、アブラ:171円など。
その他、豚巻きピーマンチーズ:429円、串トマト:330円、とりつくね:160円、豚ナンコツ大ガリ焼:209円。もつ煮込は512円~。
刺し、炒め、一品料理
名物のひとつである牛ハツ刺:660円や、センマイ刺:660円、ガツ刺:627円、コブクロ刺:512円。
唐揚げは力を入れている料理で、2個:303円。ニラ玉子:512円も人気料理です。ほかにも、ポテトサラダ:479円、焼きギョーザ:545円、豚バラおろしポン酢:545円など。
なにより串焼きが美味しい!ただし頼み過ぎにご用心
キリンクラシックラガー大瓶(649円)
乾杯は昔ながらの熱処理ビール、キリンクラシックラガーで!
トクトクと注いで、それではいただきます。コクと苦味のある味わいは大衆酒場に似合います。
ナンコツ、ハラミ、シロ(各160円)
まこちゃんはサイドメニューが豊富ですが、やっぱりやきとんが一番です。新鮮で大きくとってもジューシー。半世紀にわたって継ぎ足し育ってきたタレのコクも大変素晴らしいです。
一度に注文しすぎると冷えてしまいますから、一度にひとり3本くらいかせおすすめ。
たっぷりの練り辛子を塗りつけて、がぶっと頬張ります。刺しでなくとも、モツの鮮度はとても大切なのだと改めて感じさせます。
にら玉子(512円)
フルフルと揺れるようなにら玉子は人気のサイドメニューです。
かなりふっくらとした仕上がりです。シンプルで優しい料理ですが出汁が効いており、これまたビールや酎ハイを誘います。
抹茶ハイ(429円)
人気の濁った抹茶ハイもあります。まこちゃんのジョッキは昔ながらの寸胴型なので、氷が入っていても結構な飲みごたえがあります。
活気が戻りつつある新橋西口の飲み屋街。その賑わいに包まれて、吹き抜けるそよ風の中で一人飲みを楽しむもよし、数人で昔のような飲み会時間を満喫するもよし。
長く続く店特有の包容力の高さを感じる『まこちゃん本店』です。お店の皆さんがフレンドリーなので、一人飲み入門の方にもおすすめ。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | まこちゃん本店 |
住所 | 東京都港区新橋3-18-7 桃山ビル 1F |
営業時間 | 16:00~23:00(土は15:00~・日祝は22:30まで) |
開業年 | 1970年(創業は1968年) |