名物はハラミの一枚焼き。創業から50年になる国分町のやきとり『くろ田』を訪ねます。ベテランの女将さんが切り盛りするカウンター数席の酒場。サッポロ黒ラベルやホッピーを片手に、ニンニクたっぷりのハラミややきとりを堪能しましょう。
目次
国分町の老舗に吸い込まれる
東北一の歓楽街、仙台・国分町。郷土料理を揃えた居酒屋をはじめ、数多の酒場が立ち並ぶのんべえ垂涎のエリアです。
国分町・稲荷小路の角にある『くろ田』は、そんな国分町の中でも一際渋いオーラを醸し出しています。創業は1972年頃。仙台弁がチャーミングな女将さんが切り盛りされています。
外観
暖簾がかかるのは、だいたい午後4時過ぎ。国分町は夜型の街ですし、飲食店も17時や18時頃に開くことが多い中、『くろ田』はひと足早く飲ませてくれる貴重なスポットです。
入り口は2つあり、どちらから入っても大丈夫。開けたらすぐに7席ほど用意されたカウンターがあり、正面の女将さんと目があいます。構造としては屋台の店とかわりありません。なお、2階もあって、テーブル席が用意されています。
乾杯は「サッポロ黒ラベル」の大瓶で
いらっしゃい!と、迎えられ、適当な席に腰掛けます。
まずは、サッポロ生ビール黒ラベルの大瓶を。ラベルに書かれた固有記号は「N」。名取にあるサッポロビール仙台工場で製造されたご当地の黒ラベルです。それでは乾杯。
品書き
お酒
ビールはサッポロ黒ラベル。樽生はなく瓶ビール大瓶:600円のみの取り扱いです。
また、東北では珍しく、古くからホッピーを取り扱ってきた貴重な店のひとつでもあり、ホッピーセット:450円も人気の飲み物です。ベースとなる焼酎は、宝の甲類焼酎です。
ほかに、酎ハイ:350円、日本酒は、大崎市の酒蔵・一ノ蔵2合:550円。
おつまみ
砂肝:130円、正肉:130円、ハツ:130円、レバ:130円、はらみ一盛:650円、おしんこ:350円。
やきとりにする?ハラミにする?
煮込み(セット)
『くろ田』の注文には一つだけルールがあります。最初の注文は「セット」(2000円ほど※飲み物次第)と決められています。飲み物、煮込み、やきとり5本もしくはハラミ一盛か選ぶ、合計3点のセットです。
やきとりが焼けるまでの間にどうぞ、と出てくる煮込みは、しょうゆ味。とろふわなシロと豆腐がはいったもので、お好みで一味などをふりかけていただきます。
はらみ(単品では650円)
店の中央に鎮座する焼鳥台で、次々焼かれているのがハラミ肉。やきとりと並ぶ店の看板メニューです。串は一般的ですが、こういう調理方法でハラミを食べさせてくれる店は少ないので、私のおすすめはハラミです。
細かく包丁が入っているのがわかります。なんだか牛たん焼きの調理法みたいですね。結構下ごしらえが大変なのだとか。
焼き上がった数枚を、ハサミで一口サイズに切り、醤油タレとすりおろしニンニクで味をまとめて出来上がり。想像の通りの濃い味でビールが進みます。串5本分かそれを上回る量です。これと煮込みで、居酒屋一軒でのおつまみとしては十分過ぎる内容です。
細かくはいった包丁のおかげで、意外なほど食べやすいハラミ肉。仙台といえば牛タンが名物ですが、同じく網焼きのくろ田のハラミも、筆者にとっては仙台の味です。
酎ハイ(350円)
宝の甲類に炭酸を注ぎレモンエキスをいれた、甘くない酎ハイ。結構焼酎が濃いのでご用心を。串の余韻をきれいに流してくれて、口の中をリセット。まだまだ飲めそうです。
小一時間、昭和の残り香に浸る癒やしのカウンター
いぶし銀の大衆酒場が好きな方ならば、きっと通い詰めたく一軒です。女将さんの人柄に惹かれて訪れるお客さんが多いようで、地元の飲み慣れた方ばかり。一杯飲み屋で楽しむ仙台の夜もいいものです。一時間弱の楽しいひとときでした。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | くろ田 |
住所 | 宮城県仙台市青葉区国分町2-11-23 |
営業時間 | 16:00過ぎ頃~23:00頃(日定休) |
開業年 | 1972年 |