開発が進む国分町で、なんと一軒家のオーセンティックバーがあります。70年以上続く『酒場 門』です。店に入ればそこは別世界。歓楽街の喧騒から隔離された夢のような空間で、名物カクテルのモスコミュールをいただきましょう。
勇気を出して尋ねる価値あるバー
外観
バーといえば、ビルの地階や空中階でひっそり営業していることが多いです。知る人ぞ知る、隠れ家的な店であることが、よいバーの条件とも言えます。ですが、仙台の『酒場 門』は、この通り、なんと一軒家です。国分町にこうした路面店のバーが残っているのは奇跡。欧風に作られた店構えと黄色い看板は目立ちます。
創業は1949年。戦火の爪痕がまだ残っていたであろう仙台中心街では、珍しかったに違いありません。そうした年輪を感じさせる店構えは、確かな存在感を放っています。それがむしろ、ハードルを高めていて、外界を適度にシャットアウトしてくれているようです。
さあ、扉を開いてみましょう。
内観
一歩店内へ入ると、そこは酒飲みの宝物庫。店の歴史の分だけ集まった、数多の洋酒ノベルティーがそこかしこに、非常に状態のよい状態で飾られています。
にぎやかな居酒屋で軽く飲んでから来ましたので、なんだか夢を見ている気分。こんな空間が国分町にあるなんて。
カウンターとテーブルをあわせて席数は20ほど。どの席からも違った気づきがあるような、非常に楽しい空間です。ここで今日のナイトキャップを飲めることが嬉しくなってきます。
物腰柔らかなマスターの長嶋さんは、この道40年近いベテラン。初代マスターである父から店を受け継いだそう。店名『門』の由来は、このバーが洋酒の「門」となって、仙台に洋酒を広めようという意味を込めたものと聞きました。
バックバー
バーといっても、フレッシュカクテルからシングルモルト、ミクソロジーと様々なタイプがありますが、『酒場 門』は、昔ながらのカクテルバーです。レガシーカクテルをぴしっと提供してくれる正統派。
バックバーにならぶお酒をみてもそれが伝わってきます。
カクテルは1,000円前後。シグネチャーカクテルはモスコミュール。マティーニや、しぼりたて果汁のソルティ・ドッグ、バーテンダー協会55周年記念の「55(ゴーゴー)」が人気。
三陸穴子のスモークムニエルなどのオードブルもあります。
東北の夜が好きになる場所
スミノフウオッカのモスコミュール
スミノフウオッカ、フレッシュライム果汁、ジンジャビアーでつくるモスコミュール。銅製ミュールマグから伝わる冷たさが心地良いです。甘さ控えめ、キリッとしたいい味。
チャーム
特筆する点としては、チャームが2品でてくることです。この日は、東北の枝豆と、もうひとつはホイル包み焼きでした。魚介類やきのこがはいった滋味深い一品で、旅情を感じるには十分な内容です。
正統派カクテルやウイスキーハイボール
ウイスキーソーダ。純度の高い氷が浮かぶ美しい一杯。
サイドカーを飲みながら、国分町の話、洋酒の話をゆっくり伺う楽しいひとときです。
ごちそうさま
はじめてのバーに入る瞬間は緊張するものです。ですが『酒場 門』は、一度訪ねてみればきっと行きつけになる空間なので、一人でも勇気をもって!こういう店を知ると、その街へ飲みに行くことがもっと楽しくなります。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/キリンビール株式会社)
店名 | 酒場 門(モン) |
住所 | 宮城県仙台市青葉区国分町2-4-14 |
営業時間 | 営業時間 18:00~24:00 定休日 日・祝 |
創業 | 1949年 |