徳島駅近くでお昼から営業している角打ち「両国酒店」。夜の徳島は焼鳥や郷土料理など選択肢が豊富ですが、日中から開いているお店は少ないです。ここは貴重な昼酒スポット。徳島観光や出張で少し時間ができた際にはぜひ立ち寄って欲しい一軒です。
1階が酒販店で二階が飲食コーナーというつくり。現在は酒販店の営業は行っておらず、女将さんが一人、二階で常連さん相手でお酒や食事を提供しています。
やや下がったシャッターと角度がきつい2階への階段に、店の敷居が高く感じられるかもしれません。ですが、入ってみればそこは楽園。ゆっくりとした時間が流れる、古き良き飲みの場が広がっています。
新町川の水の流れが街のリズムをつくる
店名の両国は、店の近くを流れる新町川にかかる両国橋から来ているそうです。川が流れる繁華街というものは、水の雄大な流れにあわせるようにどっしり・ゆったりしているように感じます。
徳島市の中心街。日中は穏やかですが、昨今の状況以前は夜になると多くの人が赤提灯を目指して歩いていたものです。飲み屋街の正面には、街のシンボル「眉山」がみえています。
そうした街にある、いぶし銀の角打ち。呉のお酒「千福」と魚住の明石酒類醸造がかつて定番ブランドとしていた「灘扇」(現在は明石鯛)のレトロな看板に誘われます。
急な階段の先に、女将さんの笑顔がある
急な階段を登っていくと入口が見えてきます。
物腰が柔らかい女将さんが、角打ちとは思えないほど優しく迎えてくれます。来てくれてありがとうね!という気持ちが表情や会話からも溢れています。
取材は平日の16時頃ではあるものの、すでに常連さんが2名、それぞれ穏やかに日本酒を飲んでいます。
品書きはありませんが、どれもリーズナブル
四国の隣県、香川県は岡山と言葉が似ています。それが徳島ではだいぶ関西寄りの言葉で、常連さんは大阪弁に近いイントネーションで話しています。その煮魚はカレイ?じゃあそれを。そんな感じで、料理の注文をいれていきます。
出来合いの料理が棚に並び、焼き魚、煮魚、おひたしなどが並びます。このほか、湯豆腐、関東煮、刺身なども用意されています。常連さんに人気の料理はスパゲティサラダです。
品書きに値段は書かれていませんが、高くはないのであまり気にしなくてもよいかと思います。
キリンラガービール大びん
まずはビールから。樽生はなく、大瓶(450円程度)でアサヒスーパードライとキリンラガーから選べます。では乾杯。
芯までじっくり冷えたキンキンの瓶ビール、これを明るい時間から飲める。至福のひとときです。
阿波のちりめんたっぷりのおひたし
女将さんの手料理ばかりで、どれも体に優しそう。ほうれん草のおひたしをお願いしたら、たっぷりとちりめんじゃこを振りかけてくれました。もちろん、これはご当地・阿波のちりめん。こんなところにも旅先を楽しむ土地の味がありました。
つづいて、日本酒を1杯。コップに注がれてストンとだされます。銘柄は白鹿(270円ほど)です。
カウンターにはかわいい金魚ちゃん。小さなガラスを組み合わせたレトロなサッシの窓ごしに、穏やかなひかりが差し込み、カウンターを暖かく包みます。
女将さんの人柄もあり、酔うために行く場所というよりは、徳島のお母さんに会いに行く、そんな気持ちにさせてくれるお店です。
酒販店はおやめになっており、厳密には角打ちではありませんが、漂う雰囲気は角打ちそのものです。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 両国酒店 |
住所 | 徳島県徳島市南内町1-23 |
営業時間 | 営業時間 13:00~22:00 定休日 第1日曜日 |